名称:ジアリルフタレート
CAS番号:131-17-9
物質ID: | 20A2051 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 引火点166℃(ICSC(2006),(NFPA(13th, 2006))であり、GHSの定義により引火点が93℃以上であるため、区分外とした。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団、および自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点358℃(ICSC(2006))であり、GHSの分類指針により70℃以上なので区分外とした。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 融点-70℃(Chapman(ver.16.1, 2008), HSDB(2002), ICSC(2006))であり、融点が140℃以下の液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた試験でLD50値656(雌), 891(雄), 896mg/kg bw(SIDS, 2004)および970mg/kg bw(DFGOT, 2007)のデータから区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた試験でLD50値3.4ml/kg, 3300, 3360, 3800mg/kg bw(SIDS, 2004), 3800-3900mg/kg bw(DFGOT, 2007)のデータからJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
飽和蒸気圧濃度は0.002mg/L(ICSC (2006))である。ラットを用いたLC50値8.3mg/L(1h)(SIDS, access on 7. 2008)は、飽和蒸気圧濃度より高い濃度であるため、「粉塵・ミスト」としてmg/L濃度基準値で分類を行い、8.3mg/L(1h)(換算値:2.1mg/L/4h)に基づき、区分4とした。 | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギ(New Zealand White)による24時間暴露試験(GLP対応)にて皮膚一次刺激指数0.5(SIDS, access on 7. 2008)、ウサギの4時間暴露試験(DOT法)において皮膚一次刺激指数0(SIDS, access on 7. 2008)、また試験法は不明であるがウサギを用いた試験結果において刺激性は認められていない(PATTY(5th, 2001))ことから区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた3試験において刺激性は認められなかった(SIDS(2004))ことから、区分外とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
マウス(CBA/CaBkl)皮膚感作性試験(マウス局所リンパ節増殖試験)において、Stimulation Index(SI値)が5%群で3.23、50%群で10.74、評価結果は「感作性(sensitizing)」(SIDS, access on 7. 2008)である。以上の結果から区分1とした。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分1B | 危険 | H340: 遺伝性疾患のおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
in vivo変異原性試験(マウス骨髄小核試験)における陽性結果(SIDS, access on 7. 2008)に基づき、区分1Bとした。 | |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | マウス(B6C3F1)に103週間経口投与試験(0-300mg/kg)の結果、前胃において扁平上皮乳頭腫がみられ投与物質に起因する症状と考えられるが、最大耐量を満たしていず、データ不足で明確ではないと結論されているNTP TR 242, 1983)。ラットの103週間経口投与試験(0-100mg/kg投与)にて、雌100mg/kg投与群で単核細胞白血病が顕著にみられ、胆管過形成の所見が得られたが、個体によってばらつきがあるため不明瞭な発がん性と記述がある(NTP TR 284, 1985)。以上、発がん性における情報が不足しているため分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ラット(SD)を用いた一世代生殖試験において、親に毒性影響の出た150 mg/kg/dayの雌で、出産の阻害(p208:failed to complete parturition)が見られたが、「p206: Dystocia is frequently observed as a secondary consequence of general toxicity...」と記載がある(2次的なもので生殖毒性ではない?)。黄体数、着床部位、着床前後の損失率、仔の生存率に異常は見られなかった。雄においては精巣上体の萎縮がみられたが、精巣上体の重量は体重に対して相関的相違はないと記述がある(SIDS, access on 7. 2008)。その他、雄における生殖毒性の情報が得られないため、データ不足で分類できないとした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(肝臓) | 警告 | H371: 臓器の障害のおそれ(肝臓) |
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの吸入(エアロゾル)試験において、4470mg/m3/4h群において眼および気道刺激性、中枢神経系に症状が見られたとの記載があるが、死亡動物における所見である(DFGOT(vol.9, 2007))。ラットの経口投与試験およびイヌの経皮投与試験では、肺、腸および肝臓の出血性浮腫、肺のうっ血が主な所見であると記載があるが、投与量が不明である。イヌでは更に門脈周辺の細胞に壊死が見られ(投与量不明)、800mg/kg群ではAST、ALTおよびアルカリンフォスファターゼの高値が見られた(DFGOT(vol.9, 2007))。ラット(Fischer344)の経口投与400mg/kg群およびマウス(B6C3F1)の点滴投与(i.v.)900mg/kg群でALTの高値を示した(DFGOT(vol.9, 2007))。以上、イヌおよびラット(Fischer344)に見られた酵素群の高値、および本物質は肝毒性であるとの記載(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分2(肝臓)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(肝臓) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラット(Fischer 344)を用いた13週経口投与試験(GLP対応)で、門脈周囲において細胞変性: 50, 100, 200mg/kg群(雄: 3/10, 2/10, 9/10), 雌: 0/0, 8/10, 10/10), 壊死: 200mg/kg群(雄5/10, 雌7/10), 線維化: 200mg/kg群(雄5/10、雌4/10), 肝硬変: 400mg/kg群(雄10/10), 胆管過形成: 200mg/kg群(雄8/10)の所見がえられた。ラット(Crj:Cd)の40-54日間経口投与試験(0-150mg/kg, OECDガイドライン421, GLP対応)においても, 150mg/kg群(90日補正: 67-90mg/kg)で門脈周囲に線維化(雄6/10, 雌9/10匹), 壊死(雄5/10, 雌7/10匹)および胆管過形成(雄6/10, 雌9/10匹)がみられている。マウス(B6C3F1)の0-400mg/kg経口投与試験においては、顕著な病理変化はみられていない。以上、ラットにおける所見(SIDS, access on 7. 2008, NTP TR 284, 1985, NTP TR 242, 1983)に基づき、区分2(肝臓)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(メダカ)による96h-LC50=0.44mg/L(環境省生態影響試験, 1999)であることから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急性分類は区分1であるが、急速分解性があり(28日でのBOD分解度=82.3%(既存化学物質安全性点検データ, 1996))、生物濃縮性が低いと推測されることから(LogPow=3.23(PHYSPROP Database, 2008))、区分外とした。 |
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