GHS分類結果

名称:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
CAS番号:143-22-6

結果:
物質ID: 20A2053
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - 引火点が143℃(Sax(11th, 2008))であり、93℃を超えている。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性および自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が203℃(SIDS(2002))であり、70℃を超えている。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - List 1の情報源(SIDS(Access on July. 2008), DFGOT(vol.9 2007))から得られたラットLD50値(5300 mg/kg, 6660 mg/kg, 5170 mg/kg)に基づき「区分外」とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギLD50 = 3540 mg/kg(SIDS(Access on July. 2008))に基づきJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットLCLo > 200mg/L/1H = 50 mg/L/4H(SIDS(Access on July. 2008))より、「区分外」とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた24時間適用による複数の皮膚刺激性試験で、刺激性なし(not irritating)、軽度の刺激性または中等度の刺激性(moderately irritating)と結果に差が見られた(SIDS(Access on July. 2008)。しかし、中等度の刺激性とされた試験では毛細血管の充血が顕著であったが、刺激性の程度はグレード3(スコアの計算が合計8点ではなく10点法でのグレード3は強い毛細血管の鬱滞を標記していると考えられる)であったことから、紅斑と浮腫の所見はなかったものと推察された。また、24時間の適用のために刺激が強く出る可能性がある。刺激性なしの試験結果と考え合わせ「区分外」とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギ眼に適用後全観察時点で全動物に結膜の発赤および浮腫が認められ、総スコアが21(最大110)であった(SIDS(Access on July. 2008))。また、試験物質の濃度を変えて刺激性を評価した別の試験では強い刺激性(highly irritating)を示し、スコアは5(最大10)に達した(SIDS(Access on July. 2008))。これらの結果に基づき区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vitro変異原性試験(Ames Test)の結果は陰性(SIDS(Access on July. 2008), DFGOT vol.9)であるが、in vivoにおける試験データがないので「分類できない」とした。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットの器官形成期の経口ばく露により、仔の発生に影響は認められなかった(SIDS(Access on July. 2008))が、親動物の性機能および生殖能に及ぼす影響に関してはデータがなく分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分外(経口、経皮、吸入) - - - - 経口、経皮および吸入(ミスト)のいずれにおいても、区分2のガイダンス値上限以上の用量(経口3200mg/kg、経皮2000mg/kg、吸入(ミスト)200mg/L)を投与しても影響が見られていない(SIDS(Access on July. 2008))ことから、区分外(経口、経皮、吸入)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ウサギに21日間経皮投与した試験が本物質の反復ばく露試験として唯一の試験であり、試験物質による影響は認められていない(SIDS(Access on July. 2008))。しかしながら、ウサギの経皮投与による1用量(1000 mg/kg/day)のみの試験では、全身毒性の評価には不十分であり分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間EC50が>920 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50及び魚類(メダカ)の96時間LC50が>100 mg/L(環境省生態影響試験, 1998)から区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度:1,000,000 mg/L(SRC, 2005))、急性毒性が区分外であることから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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