GHS分類結果

名称:2-メルカプトベンゾチアゾール
CAS番号:149-30-4

結果:
物質ID: 20A2054
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団、および自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点が628℃(ICSC,(2004))で、70℃以上である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素及び塩素を含まない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値3800mg/kg以上(PATTY,(5th, 2001))に基づき、区分外(国連分類基準の区分5あるいは区分外)とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギLD50値7940mg/kg 以上(PATTY,(5th, 2001))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ラットLC50(4h換算値)は722mg/m3以上および1270mg/m3以上(BUA Report 74,1991)であるが下限値しか示されていないため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験(PATTY(5th 2001))において刺激性が認められなかったことから区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験において、眼への刺激性は認められなかったことから(PATTY(5th 2001))区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットを用いたmodified Buehler法((PATTY (5th 2001))およびmaximization法(ECETOC 77 (1999))でいずれも感作性ありの結果に基づき区分1とした。なお、加硫促進剤として使用される本物質が、ヒトで履物による接触性皮膚炎の重大な原因であることが示されている(ECETOC 77 (1999))。また、EU分類ではR43(区分1相当)に分類されている(EU-Annex I, access on 7 2008)。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスの優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)で陰性(IUCLID(2000))の報告があり、また、ラット、マウスを用いる骨髄および末梢血小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陰性(IUCLID(2000))、他のマウスの小核試験でも陰性の結果(IUCLID(2000)、HSDB(2003))が得られていることから区分外とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口試験において、雄で単核球性白血病、膵臓腺房細胞腫瘍、副腎褐色細胞腫(悪性・良性)、包皮腺腫が増加し、雌で副腎褐色細胞腫と下垂体腺腫が増加した。マウスを用いた経口試験では、雄では腫瘍の増加はみられなかったが、雌では低用量群でのみ肝細胞腺腫と肝細胞癌が増加している(NTP TR 332, 1988)。以上の結果から、区分2とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットを用い、交配前から妊娠、授乳期間を通して二世代にわたり混餌投与した生殖試験(2500、8750、15000 ppm)において、8750 ppm以上でF1仔の体重が低下したが、各用量とも生殖の指標に投与の影響は認められなかった。一方、妊娠ラットの器官形成期に経口投与した催奇形性試験(300、1200、1800 mg/kg)において、1200 mg/kg以上の用量で母動物に毒性症状が見られたが、催奇形性を含め仔の発生に対する悪影響の報告はなく、また、妊娠ウサギの器官形成期に経口投与した催奇形性試験(50、150、300 mg/kg)でも、各用量とも胎仔または発生毒性の徴候は認められなかった(PATTY (5th, 2001))。以上より、ラットを用いた二世代生殖試験において性機能および生殖能に対する悪影響はなく、かつラットおよびウサギを用いた発生毒性試験で両動物種とも仔の発生に対する悪影響がなかったことから区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットを用いた13週間の経口試験の結果において、188、375、750、1500mg/kgの用量で雄の肝腫大以外の悪影響はみられていない(NTP TR 332, 1983)。また、マウスを用いた13週間の経口試験の結果において、375mg/kgの用量で昏睡、750、1500mg/kgで間代発作の症状が見られ1500mg/kgで半数の動物が死亡している。区分2のガイダンス範囲以上の値で中枢神経系への影響が示唆されるが、その他の詳細な情報はない(NTP TR 332, 1983)。他のラットを用いた4週間の混餌による試験においても最大25000ppm(500mg/kg bw)の用量で影響が見られていない(IUCLID(2000))。その他に詳細なデータはなくデータ不足により分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間EC50=0.5mg/L(環境省生態影響試験, 1999)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(難分解、BODによる分解度:2.5%(既存点検データ, 1977)ことから区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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