GHS分類結果

名称:炭酸ナトリウム
CAS番号:497-19-8

結果:
物質ID: 20A2055
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(IUCLID(2000))の記載がある。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(HSDB(2003))の記載がある。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(HSDB(2003))の記載がある。
12 水反応可燃性化学品 分類できない - - - - データなし。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - データなし。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 有機化合物ではない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 融点55℃を超える固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50 = 2800mg/kg、および4090mg/kg(SIDS(access on July 2008))はいずれもJISの分類基準の区分外に該当する(国連GHSでは区分5に該当)。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギLD50 > 2000mg/kg(SIDS(access on July 2008))により区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットLC50(4時間換算)1.2 mg/L(SIDS(access on July 2008))より区分4とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギ皮膚に4あるいは24時間適用した試験で紅斑および浮腫ともスコアは0、刺激性なし(not irritating)の結果(SIDS(access on July 2008))が得られ、さらにヒトのパッチテストでも4時間適用により紅斑および浮腫ともスコアは0、刺激性なし(not irritating)の結果(SIDS(access on July 2008))が得られていることに基づく。なお、ウサギおよびヒトとも損傷皮膚に適用した場合には一次刺激性指数は2以上となり若干の刺激性が報告されている(SIDS(access on July 2008), ECETOC No.66(1995))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いた試験において、「刺激性なし(not irritating)」〜「強い刺激性(highly irritating)」と相反する結果(SIDS(access on July 2008))が出ている。その中の一つの試験で、非洗浄眼の場合全例に角膜、虹彩、結膜(発赤、浮腫)に症状が発生し、14日の観察期間終了時も症状が残り、ドレイズの最大スコア平均(MMTS)が105と報告されている。また、別の試験の非洗浄眼では、ばく露後1時間で角膜混濁を生じ重度の影響が7日まで持続し、ドレイズの平均評点が角膜で3.8、虹彩で2であり、一部の動物で角膜パンヌスおよび円錐角膜を起こしていた。以上の結果は重篤で不可逆的眼損傷性を示しており、区分1に該当する。なお、pH = 11.58(5 wt% aqueous sol. at 25℃)(HSDB(2003))である。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データ不足。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラット、マウスおよびウサギのそれぞれ器官形成期に経口投与した試験でいずれも母体への毒性および催奇形性を含め発生毒性は認められていない(SIDS(access on July 2008))が、親動物の性機能、生殖能に対する影響に関してデータはなく分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット、マウスおよびモルモットを用いた試験において、吸入ばく露直後に呼吸障害を起こし、呼吸困難、および喘鳴音が認められ、3-4時間後に治まった(SIDS(access on July 2008))との記載より区分3(気道刺激性)とした。一方、ラットに経口投与後の症状として運動失調、虚脱、嗜眠が記述され、生存例では5日目までに症状が消失している(SIDS(access on July 2008))。また、経皮投与後24時間の間に嗜眠が観察されたが死亡の発生はなかったと記載されている(SIDS(access on July 2008))。したがって症状には回復性があり、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットに70 mg/m3/4h(0.0467 mg/L/6h)を3.5ヵ月間吸入ばく露した試験で、局所影響として気管支上皮の肥厚と剥離、脈管周囲の浮腫が観察された(SIDS(access on July 2008))が、この所見のみで重大な毒性影響とは判断できない。さらに、雄のみ、一用量のみの試験であり、ばく露による影響についてその他に記載もなく分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 甲殻類(ミジンコ)での48h-EC50=250mg/L(SIDS 2002)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性ではなく(水溶解度=5307mg/L、PHYSPROP Database 2008)、急性毒性が区分外であることから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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