GHS分類結果

名称:塩基性酢酸鉛
CAS番号:1335-32-6

結果:
物質ID: 20A2061
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(NAERG,2004)
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(NAERG(2004))
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(NAERG,2004)
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水溶解度の数値が(6.25g/100ml)が得られている(Ullmanns(2003))。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - データなし。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 融点が55℃を超える固体状物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - 本物質のデータは見つからなかったが、酢酸鉛(CAS 301-04-2 : ID 47)など無機鉛としての健康に対する有害性を参照することが望ましい。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - DFGOT 17(2002)ではヒトへの影響の項で鉛および無機鉛化合物による皮膚および粘膜への局所的影響を示すデータはないとしている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - DFGOT 17(2002)ではヒトへの影響の項で鉛および無機鉛化合物による皮膚および粘膜への局所的影響を示すデータはないとしている。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質のデータはみつからなかったが、酢酸鉛(CAS 301-04-2 : ID 47)でIARC 23(1980)、NTP DB(Access on February 2006)、DFGOTvol.17(2002)の記述から、経世代変異原性試験で陰性、生殖細胞in vivo変異原性試験なし、体細胞in vivo変異原性試験(染色体異常試験)で陽性、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験なし、であることから区分2とした。
6 発がん性 区分1B 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARCの評価では無機鉛がグループ2A、有機鉛がグループ3にそれぞれ分類されている(IARC 87(2006))。塩基性酢酸鉛は単体として分類されていないが、実験動物で発がん性の十分な証拠があるとされている(IARC 87(2006))。事実、マウスおよびラットを用いた長期経口ばく露による複数の試験で、腎臓腫瘍の高率な発生が報告されている(IARC 87(2006))。一方、EUの評価ではカテゴリー3に分類されている(EU-Annex 1(access on 7.2008))。以上より、IARCによる鉛化合物の分類および評価結果を考慮して区分1Bとした。
7 生殖毒性 区分1 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質のデータはみつからなかったが、無機鉛化合物はヒトで、発生神経毒性物質、生殖毒性物質として知られていることから、専門家の判断に基き、区分1とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(腎臓、消化器、脳神経系) 危険 H370: 臓器の障害(腎臓、消化器、脳神経系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質については、無機鉛化合物の影響を基に分類するものとする。 鉛急性中毒により血中鉛濃度が1250または1500μg/lのヒトで近位尿細管上皮の機能障害が報告されている(DFGOT 17(2002))。一方血中鉛濃度が400〜1750μg/lの31人の鉛中毒患者で毒性症状や腎臓障害はみられなかったとの報告もある(DFGOT 17(2002))。疝痛は高濃度の急性鉛中毒の初期症状で、腹痛、便秘、けいれん、悪心、嘔吐、食欲不振、体重減少などが特徴である。重篤な消化管障害を起こす濃度では脳症を起こすとの報告もある(ATSDR, 2007)。 以上より、区分1(腎臓、消化器、脳神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(血液系、腎臓、神経系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(血液系、腎臓、神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質については、無機鉛化合物の影響を基に分類するものとする。 DFGOT 17(2002)の「鉛および無機化合物」の項では、腎臓、血圧、甲状腺、神経系について記載し、閾値濃度設定の項で以下のようにまとめている。「鉛の毒性作用で男性女性とももっとも鋭敏な項目は神経行動系の抑制である。他に鉛特有の影響として末梢神経系、腎臓、血液合成系の阻害がより高濃度でみられるようになる。鉛の職業暴露における閾値濃度は中枢神経系での無毒性量から導き出される。」の記述があることから、血液系、腎臓、神経系が標的臓器と考えられた。 以上より、区分1(血液系、腎臓、神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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