名称:メチル=ベンゾイミダゾール‐2‐イルカルバメート(別名カルベンダジム)
CAS番号:10605-21-7
物質ID: | 20A2069 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットLD50値 >15000 mg/kg(EHC 149(1993))、>17000 mg/kg,、>11000 mg/kg、>10000 mg/kg(JMPR 892(1995))が全て区分外に該当している。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値 >2000 mg/kg(EHC 149(1993))、ウサギのLD50値 >10000 mg/kg(EHC 149(1993))が全て区分外に該当している。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | ラットのLC50値(4時間換算値で>1.47mg/L(ミスト)(EHC 149(1993))であるが、このデータのみでは分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足で分類できない。なお、同系統の物質の水和剤(加水分解すると分類対象物質となる)を用いたウサギのDraize 試験で、刺激性なしの結果(EHC 149(1993))があるが、分類に用いなかった。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた試験で、刺激性が認められない(JMPR 892(1995))ことから区分外とした。なお、水和剤の試験でirritatingとの試験結果があるが、これは水和剤中の副成分の影響と推定されている(JMPR 892(1995))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | モルモットの試験(EHC 149(1993))で感作性なしの結果から区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分1B | 危険 | H340: 遺伝性疾患のおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
マウスの経口投与または腹腔内投与による優性致死試験では陰性結果が得られているが(PATTY(5th, 2001);EHC 149(1993))、マウスあるいはラットを用いた骨髄細胞 小核試験や生殖細胞染色体異常試験での陽性知見、ならびに本物質の生殖細胞暴露知見(Mutation Res., 512, 1-35, 2002)から、区分1Bとした。なお、in vitro変異原性 試験のチャイニーズハムスター細胞を用いる突然変異試験(HGPRT)で陰性、エームス試験で陽性(NTP DB(access on July 2008))、マウスリンフォーマ試験で陽性、ヒトリンパ 球細胞を用いた染色体異常試験で染色体異常は起こさないが小核を形成することが報告(EHC 149(1993))されている(専門家判断)。 | |
6 | 発がん性 | 区分外 | - | - | - | - | CD-1系マウスの2年間経口投与試験で、雄において用量依存した肝細胞腺腫の増加を示した(EHC149(1993))。また、SPF-swiss系マウスの試験では、雄で肝細胞腺腫および肝細胞がんの発生率の増加、雌で肝細胞腺腫の発生率の増加を示した(EHC149(1993))が、NMRKf系マウスの試験では、用量依存性のある肝細胞腺腫の発現は認められなかった((EHC 149(1993))。カルベンダジムは肝腫瘍の自然発生率の高い系統(CD-1系、SPF-swiss系)のマウスにおいて肝腫瘍を増加させたと推察されること、ラットの反復ばく露/発がん性コンバイン試験ですべての腫瘍について検査し対照群と差がないと記述(EHC149(1993))されていることから区分外とした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分1B | 危険 | H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
3世代のラットの生殖試験でカルベンダジムの中等度用量(500mg/kg diet)までの投与で有害な影響がなかった(EHC 149(1993))。一方、ラットにカルベンダジムを50, 100, 200 or 400 mg/kg bw/day 強制経口試験で200, 400mg/kg/dayの投与で雄に精子の形態、精巣及び精巣上体重量、精子数、精巣の組織構造に変化を及ぼし、雌では高投与で着床後の死亡例、100, 200mg/kg bw/dayの投与で胎仔の奇形が数例見られた(EHC 149(1993))。雄のラットに400mg/kg bw/dayの10日間の投与で精巣、輸精管の萎縮が見られ、受精能力が回復しないラットが観察された(PATTY 5th(2001))。ラットの雌に妊娠7-16日にカルベンダジムを投与(0, 5, 10, 20, or 90 mg/kg bw/day)した試験で、90mg/kg bw/dayの投与で妊娠率の減少、早期吸収胚の増加、20および90 mg/kg bw/dayの投与で、胎仔の重量の減少、90mg/kg bw/day で胎仔の奇形(水頭症、小眼球症、無眼球症、肩甲骨の奇形等)の増加が認められた(EHC 149(1993))。また、ウサギにおいて、妊娠7-19日に20, 125mg/kg bw/day の投与で着床率の軽度の減少、125mg/kg bw/dayの投与で吸収胚の発生率の増加が観察された(EHC 149(1993))等の試験結果から区分1Bとした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足により分類できない。なお、ラットの経口試験で1000mg/kg bw以上の用量で精巣と副睾丸に変化が観察され、70%以上に精細管の変性が観察された(JMPR 892(1995))とのデータがあるが、ばく露量との関係が明確でない。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(肝臓) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラット、マウスおよびイヌを用い、13週(90日)あるいは2年(104週)の反復経口ばく露における複数の試験が実施されている(EHC 149(1993)、JMPR(1995))。ラットに90日間投与による32あるいは64 mg/kg/dayで、GPT、アルカリフォスファターゼ活性および血清ビリルビン濃度の増加に加え、炎症による浸潤から変性に至る用量依存的変化が報告されている(JMPR(1995))。イヌに2年間ばく露した試験では、500 ppm(約25 mg/kg/day)以上で血清GPTの上昇、肝細胞の肥大と空胞化、細胞浸潤を伴う門脈三管の僅かな増殖が見られ、さらに最終検査時の所見として肝硬変および肝炎の記載がある(JMPR(1995))。また、マウスの2年間ばく露の結果として、雄の1500〜7500 ppm(約75〜375 mg/kg/day)で小葉中心性肝細胞の肥大と壊死により肝毒性が見られたと記述されている(JMPR(1995))。上述のように複数の動物種において、肝臓に対する悪影響がガイダンス値区分2に相当する用量まで及んでいることから、区分2(肝臓)とした。なお、その他の所見として、尿細管拡張と水症変性、気管支肺炎、胸腺のリンパ球枯渇などが記述されている(EHC 149(1993)、JMPR(1995))が、複数の動物種を用いた複数の試験の中で整合性を欠いたり、あるいは単発的な発生であったため証拠としての確からしさに疑義が持たれ、分類対象としなかった。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(アメリカナマズ)の96時間LC50=0.01mg/L(EHC, 1993)から区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(難分解、BODによる分解度:0%(既存点検データ, 1985))ことから区分1とした。 |
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