名称:吉草酸
CAS番号:109-52-4
物質ID: | 20A2096 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分4 | - | 警告 | H227: 可燃性液体 |
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点が86℃(ICSC(J)(2002))であり、60℃を超え及び93℃以下である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が400℃(NFPA(13th, 2006))であり、70℃を超えている。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At))を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素および塩素を含まず、酸素を含むが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラット:LD50=1844mg/kg(JECFA(1997))、1055mg/kg(PATTY(5th, 2001)vol.5)により、区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 | 危険 | H311: 皮膚に接触すると有毒 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギ:LD50=660mg/kg、290mg/kg(PATTY(5th, 2001)vol.5)により、区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
マウス:LC50=4.1mg/L/2h(2.1mg/L/4h)(PATTY(5th, 2001)vol.5)であり、飽和蒸気圧濃度を超えているためミストと判断し、区分4とした。 | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
吉草酸は無希釈では皮膚に対して強い刺激性を示すとの記述(PATTY(5th, 2001))があり、かつEUによりiC;R34に分類されている(EU-Annex I(Access on Aug. 2008))ことから区分1とした。なお、ウサギに異性体混合物を24時間適用した皮膚刺激性試験では、組織の壊死が報告されている(PATTY(5th, 2001))。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
ウサギを用いた眼刺激性試験で、1〜10の10段階評価の8(重症度最大10)であり(HSDB(2006))、皮膚に対し腐食性を示すことから区分1とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | in vivo試験のデータがなく分類できない。なお、in vitro試験ではCHO細胞を用いたHGPRT前進突然変異試験で陰性、CHO細胞を用いた染色体異常試験で陽性結果が得られている(PATTY(5th, 2001))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | C3H/HeJ系マウスに80週経皮投与により、50 mg/kgで開始後4回目投与で毒性が強く現れたため25 mg/kgに用量変更された試験で、生存率の低下と皮膚に扁平上皮癌、線維肉腫、線維腫を含む皮膚腫瘍の発生が報告され(PATTY(5th, 2001))、またラットに5%混餌投与により胃幽門部に乳頭腫形成が報告されている(JECFA(1997))。しかし、いずれも1用量のみの試験であり、マウスの経皮投与では途中で用量が変更されたことからも設定に問題があり、ラットの混餌投与の場合は実施年度(1953年)が古く、動物数、対照群との比較などの記載もなく、判断するにはデータ不足で分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットの器官形成期に経口投与した試験において、催奇形性、胎児毒性などの仔に発生に悪影響は認められなかった(PATTY(5th, 2001)、JECFA(1997))が、交配前からのばく露による親動物の性機能、生殖能に関してはデータ不足のため分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ウサギに経口投与により昏睡を生じない(PATTY(5th, 2001))、あるいは0,7 または l.35 g/kgを静脈内投与により中枢神経系抑制を起こす(PATTY(5th, 2001))と記述されているが、経口投与の場合は用量も含めそれ以上の記載がなく、もう一方は静脈内投与のデータのため分類に適用できない。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ウサギに500 mg/kg/dayを2週間経皮投与(90日補正:約77 mg/kg/day)により、1匹が呼吸低下、運動亢進を示し死亡したが、試験の主な所見は浮腫、壊死、痂皮など重度の皮膚症状の悪化であった。全身毒性については一過性の体重減少を除き記述はなく、本試験のデータのみでは分類できない。また、分類根拠とし得るその他の試験データも見出されていない。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(オオミジンコ)での48h-LC50=48mg/L(HSDB, 2006)であることから、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急性分類は区分3であるが、急速分解性があり(BOD分解度=87%(HSDB, 2006))、生物濃縮性が低いと推定される(logPow=1.39(PHYSPROP Database, 2008))ことから、区分外とした。 |
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