名称:チオりん酸S‐[2‐(エチルスルフィニル)エチル]O,O‐ジメチル(別名オキシデメトンメチル)
CAS番号:301-12-2
物質ID: | 20A2114 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 引火点が概ね110℃以上であるので、区分外とする。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 化学構造に半金属(P)を含む化合物であるが、試験データがなく分類できない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に2価の-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分2 | 危険 | H300: 飲み込むと生命に危険 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLD50=30-75 mg/kg(JMPR 102(1967)、LD50=50 mg/kg(HSDB, 2004)は区分2に該当する。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分2 | 危険 | H310: 皮膚に接触すると生命に危険 |
P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。 P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLD50=1350 mg/kg(HSDB, 2004)、ラット雌=LD50は112 mg/kg(Technical grade)(HSDB, 2004)、ラットLD50=130mg/kg(Pesticide manual(1994))のうち2つが区分2に該当し、EUリスク警句がR24である(EU-Annex I(access on Aug. 2008))ことから区分2とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分2 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLC50=1.5mg/L/h(HSDB(2004))は4時間暴露のデータに換算すると0.35 mg/L/4hであるので区分2に該当する。 | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた皮膚刺激性試験において72時間まで発赤。浮腫は認められないとの記述より(JMPR 699(1984))区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | ウサギの試験において、5分間の適用により6匹中5匹が24時間後までに軽度の結膜発赤および1時間後に軽度の結膜腫脹が観察されるが7日後にスコアが0になるまで回復するとの記述(JMPR 699(1984))があるが、他に情報がなくデータ不足で分類できない。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
チャイニーズハムスターの強制経口投与による骨髄細胞を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)は陰性だが(HSDB(2004))、マウスの腹腔内投与による骨髄細胞を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)において染色分体切断、ギャップを示した(染色体交換型の異常は見られない)との結果(いずれもHSDB(2004))があるが、経口による陰性結果は40mg/kgの1用量のみでその適切性が不明であり、腹腔内投与による陽性結果(1-3 mg/kg)は染色分体ギャップを含んでおり結論付けが容易ではない。HSDB(2004)にはマウスの腹腔内投与による優性致死試験の陰性(4.5 mg/kg)、ラット経口投与による優性致死試験の陰性(0.15-5 mg/kg)、マウスの経口投与による試験(28-80 mg/kg)で、小核、染色体異常、精子形態異常誘発の記載がある。これらから、生殖細胞への影響はないが体細胞に影響あると判断できないことから区分2とした。なお、in vitro変異原性試験:エームス試験、ヒトリンパ球を用いる染色体異常試験、マウスリンフォーマ試験、CHO細胞株を用いる染色体異常試験(HSDB(2004))は陽性の結果が得られている。 | |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | マウスを用いた21ヶ月経口投与試験において発がん性は見られていないが(HSDB, 2004)、マウス以外の動物での発がん性のデータがないことからデータ不足により分類できないとした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの器官形成期に経口投与した発生毒性試験において発生毒性は確認されていないJMPR 1004(2002)、また、他のラットの器官形成期の経口投与試験において仔の発育不全、睾丸形成不全が見られているが、親の毒性影響とされているJMPR 699(1984)。一方、雄ラットの強制経口投与による生殖毒性試験において雌の妊娠率の低下(JMPR 1004(2002)、ラットの2世代繁殖試験においては副睾丸の空胞形成、黄体の減少、同腹仔数の減少が見られ(JMPR 1004(2002))、ラットの3世代繁殖試験においてはすべての世代で妊娠数、同腹仔数の減少が認められている(JMPR 102(1967))ことより区分2とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系) | 危険 | H370: 臓器の障害(神経系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットに2.5〜50 mg/kgを単回経口投与した試験において全用量で血漿、赤血球および脳のコリンエステラーゼ活性が低下し、ピーク時で55〜61%の低下を示し、10 mg/kg以上でコリンエステラーゼ阻害による中毒症状が認められた(JMPR(2002))。ヒトに0.0125〜2 mg/kgを経口ばく露した試験では抗コリンエステラーゼ中毒の症状こそ現れなかったが、1 mg/kg以上で血漿および赤血球のコリンエステラーゼ活性の低下が見られ、最大で対照の約70%まで低下した(JMPR(2002))。また、症例報告もなされており、その中の1例では本物質(12g)を飲み自殺を図り入院したケースで、縮瞳、反射亢進、筋収縮、昏睡などの症状を呈し、血液コリンエステラーゼが正常レベルの10%まで落ちた(HSDB(2004))。以上のように、ラットでコリンエステラーゼ阻害とそれに基づく神経症状がガイダンス値区分1に相当する用量で見られ、ヒトでもコリンエステラーゼの阻害のみならず、事故例などではコリン作動性症状も報告されていることから区分1(神経系)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経系) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた15日間の強制投与による神経毒性試験 (用量:2.5, 10, 50 mg/kg)においてガイダンス値の区分1に相当する用量において振戦, 失調性歩行、立ち上がり数の減少、縮瞳、体温低下、運動量の低下が認められ、脳コリンエステラーゼ活性の阻害が認められている(HSDB (2004))。また、ラットを用いた13週間の経口投与による神経毒性試験(用量:雄 0.062, 0.62, 5.4 mg/kg、雌: 0.074, 0.75, 6.6 mg/kg) においてガイダンスの区分1に相当する用量で、振戦、攻撃的行動、後肢握力減少、体温低下、血漿、赤血球、脳コリンエステラーゼ活性の阻害が認められている(HSDB (2004))。さらにマウスの21ヶ月経口投与試験(JMPR 1004 (2002))、ラットの21日間経口投与試験(JMPR 102 (1967))、6ヶ月経口投与試験(HSDB (2004))、14日間強制経口投与試験(HSDB (2004)の区分1のガイダンス範囲の用量において赤血球および脳のコリンエステラーゼ活性阻害が認められ、ヒトのボランティアにおいても血漿および赤血球のコリンエステラーゼ活性阻害が認められることより(HSDB (2004))区分1(神経系)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(オオミジンコ)の48h-LC50=0.24mg/L(HSDB 2004)であることから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性が無い(推定値:SRC: BioWin V4.10)と推定されることから、区分1とした。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
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