GHS分類結果

名称:酢酸ターシャリ‐ブチル
CAS番号:540-88-5

結果:
物質ID: 20A2117
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点(HSDB(2005))は23℃未満であり、初留点Merck(14th, 2006)は35℃以上なので、区分2とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、または自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が425℃(HSDB(2005))で70℃越である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含むが、この酸素は炭素あるいは水素のみと結合している有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値3420 mg/kg、雄4100 mg/kg;、雌4750 mg/kg(いずれもCICAD 64(2005))およびラットLD50値3300 mg/kg(DFGOTvol.19(2003))はJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)に該当する。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギ2000mg/kg(24時間ばく露)で死亡がみられず(CICAD 64(2004))、ウサギapprox. 1800-20700 mg/kg(24時間ばく露)で毒性がみとめられない(CICAD 64(2004))の記載により区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットLC50値13.3 mg/L(4時間ばく露)(気体2800ppmV相当)(CICAD 64(2005);DFGOTvol.19(2003))、ラットLC50値20 mg/L(6時間ばく露)(4時間換算、24.6 mg/L; 気体5000ppmV相当)(CICAD 64(2005))は区分4に該当する。なお、飽和蒸気濃度は61842ppmVであり、その90%値よりも低いため、ほとんどミストを含まない蒸気で試験されたと判断した(気体の評価値を使用)。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いたDraize試験において、4時間適用後の24時間において6匹中4匹がスコア1であり、これらは48時間で回復している(CICAD 64(2005))。また、他の複数のウサギを用いた試験においても24時間で発赤以外の症状は認められないことから区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギを用いた試験において1、24、48、72時間のDraizeスコアの平均は14.5、6.8、2.0、0であるが、角膜混濁、虹彩炎、結膜炎の各症状はすべて3日目〜7日目までには回復(CICAD 64(2005))することから区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - ラットの吸入ばく露(6時間)による赤血球を用いる小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陰性(CICAD 64(2005))結果があるが、他に吸入経路以外の体細胞あるいは生殖細胞in vivo遺伝毒性試験のデータがなく情報不足他により分類できないとした。なお、in vitro変異原性試験(Ames試験、染色体異常試験)では陰性(CICAD 64(2005))の結果が得られている。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの経口投与試験において動物の死亡が見られる2000mg/kg以上の用量において、運動失調、弛緩性筋緊張、嗜眠、呼吸困難、正方向反射の欠如、立毛、振戦、昏睡などの症状が認められているが、生存動物の病理所見上の異常は見られていない(CICAD 64(2005))。また、ラットの吸入ばく露試験においても動物の死亡が見られる13.4mg/L以上(4時間換算値)の用量において不活動、嗜眠が認められているが、生存動物の病理所見上の異常は見られていない(CICAD 64(2005))。さらに他のラットの吸入ばく露試験においても不活動・鎮静状態・麻酔・嗜眠などの症状が認められる(CICAD 64(2005))との記載から区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットの14日間吸入ばく露において区分2のガイダンス値の用量で肝小葉中心部肝細胞の肥大ならびに雄における硝子滴変性の増加が認められているが、他にデータがないことからデータ不足で分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ファットヘッドミノー)での96h-LC50=327mg/L(AQUIRE(2008))であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性ではなく(水溶解度=8333 mg/L(PHYSPROP Database(2008)))、急性毒性が区分外であることから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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