名称:シクロヘキサン‐1,2‐ジカルボン酸無水物
CAS番号:85-42-7
物質ID: | 20A2143 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団、および自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が395℃(IUCLID(2000))である。分類指針より70℃以上は区分外である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 融点が32℃(Lide(88th, 2008), HODOC(3rd, 1994))であり、融点が140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットにおけるLD50値 2700-2800 mg/kg(ACGIH(2004))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギの2000mg/kg 用量での死亡なしのデータ(ACGIH(2004))に基づき区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 | - | - | - | - | ラットにおけるLC50値>1100 mg/m3/4h (ACGIH (2004)) は、飽和蒸気圧濃度0.056mg/Lを超えているため、ミストに相当する。JIS分類では区分外、国連分類区分5あるいは区分外に相当する。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ヒトに対して刺激性あり(IUCLID(2000))、およびウサギを用いたドレイズ試験(ACGIH(2004))においても刺激性が認められている。ウサギの試験においては、元文献にて「slightly irritating; スコア0.92」とされていることから区分外(国連分類における区分3)とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
工場での気中よりの暴露にて、作業員が結膜炎を発症したと報告がある(ACGIH(2004))。ウサギ(ドレイズ試験)においては、眼の洗浄処理をおこなった群で、暴露4秒後に重篤な刺激性が認められ、この症状は可逆的であるが腐食性に分類された症例がある(ACGIH(2004))。ウサギの試験における「腐食性」の記載に基づき、区分1とした。EU分類ではR42(区分1相当)(EU-Annex I, access on 9. 2008))。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 区分1 | 危険 | H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ |
P304+P341: 吸入した場合:呼吸が困難な場合には、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P285: 換気が十分でない場合には、呼吸用保護具を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質を扱う労働者において、IgE、IgG介在性過敏症(鼻炎、喘息等)を発症した報告が複数あり、皮膚プリック試験においては8/13人で陽性反応を示した(ACGIH(2004))。EU分類においてもR42/43(区分1相当)(EU-Annex I(access on 9. 2008))、DFG: Saマーク(MAK/BAT(2007)), ACGIH: SEN(ACGIH-TLV(2007))が表記されていることから、区分1とした。 | |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトにて、空気暴露による接触性じんましんの発症例があり(ACGIH(2004))、モルモットによるMaximization試験(OECDガイドライン406, 非GLP)においては、19/20匹で陽性反応を示し、評価結果は「感作性(sensitizing)」である(IUCLID(2000))。EU分類においてもR42/43(区分1相当)(EU-Annex I(access on 9. 2008))である。以上の結果から区分1とした。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | in vivoのデータがなく、in vitro変異原性試験(エームス試験)の陰性結果(ACGIH(2004))のみで分類できないとした。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(麻酔作用) | 警告 | H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた強制経口試験において鎮静作用(sedation)、運動失調、めまいがみられた(IUCLID(2000))ことから、区分3(麻酔作用)とした。ヒトにおいては一般的に貧血、頭痛、目まい等の症状がみられるとの記載(IUCLID(2000))がある。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
藻類(Scenedesmus subspicatus)での72h-EC50=95.6mg/L(IUCLID, 2000)であることから、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急性分類は区分3であるが、藻類(Scenedesmus subspicatus)での長期毒性試験データ;72h-EC10=45.4mg/L(IUCLID, 2000)であることから、区分外とした。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |