GHS分類結果

名称:ブタン-2-オン=オキシム
CAS番号:96-29-7

結果:
物質ID: 20A2151
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点58℃(Closed Cup; ホンメル, 1996)または62℃(Closed Cup; IUCLID, 2000)より区分3または区分4となるが、引火点58℃に基づき区分3とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が315℃(IUCLID(2000))であり、70℃を超えていることから区分外とした。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 化学構造に金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)が含んでいない。
13 酸化性液体 分類できない - - - - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素(窒素)と化学結合しているが、データがなく分類できない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50(930mg/kg(雄)、1620mg/kg(雌)、2326mg/kg(雌雄)、>900 mg/kg(雌雄)(SIDS(J), Access on 10. 2008))のうち、4個中2個と最も多くのデータが該当する区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分4 警告 H312: 皮膚に接触すると有害 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギの試験においてLD0=1000 mg/kg、LD100=1800 mg/kgの結果から(SIDS(J), Access on 10. 2008)LD50値が区分4の範囲内にあると考えられることにより区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットLC50=20 mg/L/4h(IUCLID, 2000:Federal register USA(1986)51, 220, 41430-41432)より区分外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いたドレイズテストでslightly irritating、ウサギを用いた試験(おそらくUSAガイドライン)でmoderately irritating(slightly irritating)の結果よりJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした(専門家判断)。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギの複数の試験結果は刺激性(irritating)〜強い刺激性(highly irritating)とされている(IUCLID, 2000)ことから区分2Aとした。なお、EUリスク警句はXi; R41である(EU Annex-I(access on 9. 2008))。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットのmaximization test(OECDガイドライン406)において皮膚感作性を示している(IUCLID, 2000)。また、EU分類においてXi; R43に分類されている。以上のことから区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスの経口投与による骨髄細胞および末梢血液を用いた小核試験(NTP DB Access on 9. 2008)、ラットの経口投与による骨髄細胞を用いた染色体異常試験(IUCLID(2000)(以上体細胞in vivo変異原性試験)で陰性結果に基づき区分外とした。なお、in vitro変異原性試験として、CHL細胞を用いた染色体異常試験(厚生労働省報告 access on 9. 2008; NTP TOX-51)、エームス試験(厚生労働省報告 access on 9. 2008)、マウスリンパ腫試験(Access on 10. 2008)の報告があるが、概ね陰性の結果である。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの2年間吸入試験において、雄の肝臓に対して肝細胞がん、腺腫の発生率の上昇が認められ、マウスの同様の試験において雄の肝臓がんの発生率の上昇が認められている(IUCLID, 2000)、かつ、EUの発がん性評価ではカテゴリー3に分類されていることから区分2とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットに経口投与によるOECD予備生殖毒性スクリーニング試験において、高用量群(100 mg/kg)の分娩率が低値を示したが、交尾能、受胎能および性周期に影響は見られず、仔動物の出生および発育にも影響は認められなかった(厚生省報告、access on 9. 2008)。また、ラットの二世代にわたる経口投与においても、生殖および出生に関して影響が見られなかった(SIDS(J)Access on 10. 2008))。一方、ラットおよびウサギの器官形成期に経口投与した試験では、催奇形性を含め発生に及ぼす影響は認められなかった(IUCLID(2000))。以上のように試験物質によるばく露の結果、親動物の性機能および生殖能、および仔動物の発生に悪影響がなかったたことから区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(造血系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(造血系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに反復経口ばく露により、28日間 20 mg/kg/day(90日補正:6.2 mg/kg/day)以上で、赤血球数、ヘマトクリット値およびヘモグロビン濃度の減少、肝臓におけるクッパー細胞肥大とヘモジデリン貪食、脾臓におけるうっ血、髄外造血亢進、ヘモジデリン顆粒増加など(厚生省報告(access on 9, 2008))、また、13週間 50〜65 mg/kg/day以上で、脾臓の造血細胞の増殖。骨髄の造血細胞の増殖、肝臓クッパー細胞の赤血球貪食とヘモジデリン色素沈着、腎尿細管のヘモジデリン色素沈着など(NTP TOX-51(1999))がそれぞれ報告されている。ラットに吸入ばく露した場合にも血液指標への影響を含め同様な影響が示され(IUCLID(2000))、マウスにおいても経口あるいは吸入により反復ばく露した試験で軽度ながら血液指標への影響が見られている(NTP TOX-51(1999)、IUCLID(2000))。以上のように反復ばく露の結果として造血系への影響が特徴的であり、ガイダンス値に関して経口では区分1、吸入では区分2に相当する範囲で発現していることから、区分1(造血系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間EC50=16 mg/L(環境省生態影響試験, 2001)から区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分3であり、急速分解性がない(難分解性、BODによる分解度:24.7%(既存点検, 1982))が、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC=2.6 mg/L(>1mg/L)(環境省生態影響試験, 2001)であることから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る