GHS分類結果

名称:1,3,5-トリオキサン
CAS番号:110-88-3

結果:
物質ID: 20A2172
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS分類で固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS分類で固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS分類で固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHS分類で固体である。
7 可燃性固体 区分1 危険 H228: 可燃性固体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
UNRTDG 4.1II、ERG133に属する。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団及び自己反応性に関わる原子団を含まない物質である。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHS分類で固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点が410 ℃((Ullmanns(E)(6th, 2003)vol. 15 p.24-27)で『概ね70℃を超えることが確認』できたので区分外とした。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団及び自己反応性に関わる原子団を含まない物質である。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHS分類で固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素を含んでいるがこれらの元素が炭素とのみ結合している有機物質である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - ラットLD50= 8190 - 9500 mg/kg bw(GESTIS(Access on 10 2008))は区分外に該当するが、区分外にするにはリスト3のデータであり文献の引用もなく、他にデータがないことからデータ不足で分類できないとした。なお、容易に加水分解されホルムアルデヒドが生成されるので、以下の有害性についてはホルムアルデヒドの分類(NITE公表ID69(Access on Jan. 2009))も参照の事。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - ウサギLD50 >3980mg/kg、>15000mg/kg(GESTIS(Access on 10 2008))は区分外に該当するが、区分外にするにはリスト3のデータであり文献の引用もなく、他にデータがないことからデータ不足で分類できないとした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS分類における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - ラットに6.5mg/L(1523ppm)、26mg/L(7072ppm)の区分3以上の用量で4時間ばく露した試験のデータがある(GESTIS(Access on 10 2008))が、死亡の記載がなくLC50が特定できないことから分類できないとした。飽和蒸気濃度はca.23000ppm(25℃)、84mg/Lであることから試験はミストをほとんど含まない蒸気で試験された。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - ウサギおよびモルモットを用いた試験(OECD TG 405)において刺激性なし(GESTIS(access on 10 2008))のデータがあるが、区分外にするにはリスト3のデータであり文献の引用もなく、他にデータがないことからデータ不足で分類できないとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - ウサギを用いた試験において軽度の刺激性(GESTIS(access on 10 2008))とされているが、具体的な記載がなく他にデータがないことからデータ不足で分類できない。なお、容易に加水分解されホルムアルデヒド(既存分類:区分2A NITE公表ID69(Access on Jan. 2009))が生成される。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットを用いた試験(OECD TG 406)において皮膚感作性は確認されていないが(GESTIS(access on 10 2008))、区分外にするにはリスト3のデータであり文献の引用もなく、他にデータがないことからデータ不足で分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo試験のデータがなく、複数指標のin vitro変異原性試験の結果もないので分類できない。なお、エームス試験の結果(in vitro変異原性試験)は陰性である(NTP DB(access on 10, 2008))。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 仔における発生毒性の記述があるが、動物種、試験結果の具体的な記載がなく(GESTIS(access on 10 2008))データ不足で分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系) 危険 H370: 臓器の障害(中枢神経系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの吸入ばく露(4時間)においてガイダンスの区分外に相当する26mg/Lの用量においてよろめき歩行、振るえ、筋弛緩などの神経症状が見られ(GESTIS(access on 10 2008))、ラットの吸入ばく露(8時間)においてガイダンスの区分1に相当する6.5mg/Lの用量においてもよろめき歩行、振るえ、筋弛緩などの神経症状が見られる(GESTIS(access on 10 2008))ことから区分1(中枢神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(中枢神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた2週間吸入ばく露(6時間/日・5日/週)において、ガイダンス値を超える用量(18.4 mg/L)で中枢神経影響と鼻腔における壊死を伴う扁平上皮化生が見られ、ラットを用いた12ヶ月の吸入ばく露(5時間/日・5日/週)において区分1のガイダンス用量に相当する用量0.05mg/L以上において運動機能の障害増加、血清中のコリンエステラーゼ活性の低下が認められる(GESTIS(access on 10 2008))ことから区分1(中枢神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50が5950 mg/L(AQUIRE, 2008)から区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度:175000 mg/L(SRC, 2005))、急性毒性が区分外であることから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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