名称:酸化銅(I)
CAS番号:1317-39-1
物質ID: | 20A2219 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性固体である。(不燃性(ICSC(J)(1997))、Not combustible(ICSC(1997))、Not flammable(IUCLID(2000))) |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性固体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性固体である。(不燃性(ICSC(J)(1997))、Not combustible(ICSC(1997))、Not flammable(IUCLID(2000))) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水に対して安定。(水溶解性 <0.007 mg/l(25℃)(IUCLID(2000))、practically insoluble in water(practically insoluble in water(PM(14th, 2006))、practically insoluble in water(Merck(14th, 2006))) |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 有機化合物でない。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの試験でLD50値は470mg/kg bw(EHC 200(1998))、1340mg/kg bw(OECD TG 401)(IUCLID(2000))といずれも区分4に該当している。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ラットの試験でLD50値は>2000mg/kg bw(OECD TG 402 GLP)(IUCLID(2000))はJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)である。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
ラットの試験でLC50値はca.5mg/L(OECD TG 403 GLP)(IUCLID(2000))、>50mg/L(OECD TG 403 GLP)(IUCLID(2000))のデータがあるが、危険性の高い区分4とした。(飽和蒸気圧濃度は5.7×10-7mg/L以下である。) | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギの試験(OECD TG 404 GLP)でnot irritating(IUCLID(2000))の結果から、区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ウサギの試験(OECD TG 405 GLP)でirritating及びslightly irritating(EC classification : irritating)のデータ(IUCLID(2000))及び電気アークで生成される銅酸化物の細かい粉塵による眼の一時的な刺激性の疫学情報(HSDB(2003))から区分2とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | モルモットのMaximization test(OECD TG 406)で not sensitizing の結果(IUCLID(2000))があるが、他に区分外とするだけのデータがなくデータ不足により分類できないとした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | 疫学情報として、電気的な銅の精錬作業者にsexual impotenceが観察された(DFGOT Vol. 22(2006))、子宮内で使用される銅で製作された医療器具が未分化胚芽細胞の発生及び着床阻害の可能性(DFGOT Vol. 22(2006))の報告があるが、金属銅か酸化銅によるものかの記述はない。これらのデータでのみでは酸化銅(I)毒性の評価には情報不足で分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(全身)、区分3(気道刺激性) |
危険 警告 |
H370: 臓器の障害(全身) H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
銅の精錬または銅の溶接工程で銅ヒュームの吸入による上気道刺激で悪寒、筋肉痛ともなう典型的な金属ヒューム熱を引き起こす可能性があり、銅ヒューム熱になった多数の作業者の血清中の平均銅濃度は1.26mg/lであった(HSDB(2003))。電気トーチによる真鍮パイプの切断作業者に金属ヒューム熱を引き起こし、症状は発熱、呼吸困難、悪寒、頭痛、吐き気であった(HSDB(2003))。銅ヒュームの吸入は上気道を刺激し、インフルエンザ様の症状を示す金属ヒューム熱を引き起こし、症状としては発熱、悪寒、咳、疲労感などがあり、白血球の上昇(後遺症がなく、通常は」早期に回復する)が認められる(HSDB(2003))。これらの疫学情報には、銅酸化銅(I)が原因との具体的な記述はないが、銅ヒューム中には銅酸化銅(I)の存在も推定されることから、区分1(全身)、区分3(気道刺激性)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ラットの14週の吸入試験で0.004mg/L/6H のばく露で血清成分(e.g. TP, bilirubin, cholesterol)の変化及び赤血球数の変化が観察され(RTECS(2008))、ガイダンス値区分1の範囲で血液への影響が疑われるが詳細情報は記載されていない。これらの試験データ以外に適切な情報がなく、データ不足で分類できない。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(オオミジンコ)での48h-EC50=0.026mg/L(EHC 200 1998)であることから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
金属化合物であり、急速分解性は無いと考えられ、急性分類が区分1であることから、区分1とした。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |