GHS分類結果

名称:5‐クロロ‐2‐(2,4‐ジクロロフェノキシ)フェノール(別名トリクロサン)
CAS番号:3380-34-5

結果:
物質ID: 20A2228
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。(融点:54-57.3℃(Merck(14th, 2006))、融点:60-61℃(Ullmanns(E)(6th, 2003))、融点:54-57.3℃(Howard(1997)))
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素を含まず、塩素及び酸素を含む有機化合物であるが、この塩素及び酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値3700mg/kg(RTECS(2003))、マウス4530mg/kg(RTECS(2003))のデータがあり、ラットLD50値3700mg/kgはマウスのLD50 と大差ないことからJIS分類で区分外(国連分類で区分5)とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - LD50値9300mg/kg(RTECS(2003))のデータがあるが、区分外にするにはリスト3のデータでありデータ不足で分類できないとした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギのDraize test でmild(RTECS(2003))及びヒトのDraize test でmild(RTECS(2003))のデータから、区分外(国連分類で区分3)とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 動物試験の報告はないが、症例および疫学情報として、被検物質含有石鹸水を用いたヒトの感作性試験で陰性の結果(HSDB(2004))がある、一方、blind half-side usage test でそう痒や紅斑を引き起こしたことから、感作性物質の可能性の報告(HSDB(2004))及び被検物質含有の脱臭効果のある足用のパウダーが原因のアレルギー性接触皮膚炎の患者が被検物質のパッチテストで陽性(HSDB(2004))で感作性の可能性とあるが、陽性と陰性の判断がつかないことから分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo のデータとして、マウススポット試験で、毒性を示す用量域で試験を実施したが、メタノールを投与したコントロールに比べて投与群の体細胞突然変異の有意な上昇はみられない(HSDB(2004))と記載されている。毒性を示すばく露範囲の試験であることから、この試験のみでは分類できないとした。in vitro の試験情報はない。
6 発がん性 分類できない - - - - マウスを用いた18ヶ月間の経皮毒性試験で、発がん性はなく、病理的な異常、腫瘍形成の異常は認められなかった(HSDB(2004)))との報告があるが、このデータ以外に適切な情報がなくデータ不足で分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットの雌に妊娠7-17日間に経口投与した試験で、胚への影響、胎児死亡の記述(RTECS(2008))はあるが、毒性所見の詳細な記載はない、この報告のみではデータ不足で分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットの4週間の経口投与試験で、病理組織学的検査を実施と記載(HSDB(2004))されているが、詳細なデータの記述はない。またラットの亜急性経皮毒性試験では、毒性所見として全身毒性は認められなかったとの記述(HSDB(2004))がある。これらの情報のみではデータ不足で分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間EC50が0.0034 mg/L(環境省生態影響試験, 2001)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(難分解性、BODによる分解度:0%(既存点検, 1984))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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