GHS分類結果

名称:(4R)‐パラ‐メンタ‐1,8‐ジエン(別名:d‐リモネン)
CAS番号:5989-27-5

結果:
物質ID: 20A2233
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点48℃ (closed cup) (HSDB (2006), ICSC (2005), ICSC(J) (2005))に基づいて、区分3にした。 UNRTDG3III(UNRTDG, Rev.15. 2007)である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団、および自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が237℃(HSDB(2006), ICSC(2005), ICSC(J)(2005))である。分類指針において発火点70℃以上は区分外である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットにおけるLD50値 雄 4.4g/kg, 雌 5.1g/kg(CICADs(No. 5, 1998))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギにおけるLD50値 >5 g/kg(DFGOT(vol.1, 1991))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ヒト(パッチテスト)において、刺激性が72時間継続し、経皮暴露(2時間)によって火傷、そう痒、痛み、紫斑発疹がみられた(CICADs(No.5, 1998))。ウサギの試験(OECD TG 404)において、皮膚一次刺激指数が8ランク中3.5位を示した。以上の結果およびEU分類でR38(区分2または3相当)である(EU-Annex I, access on 12. 2008)ことから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - ウサギにおいて、刺激性が認められている(CICADs(no.5, 1998))が、このデータだけでは区分が特定できないことから、データ不足のため分類できないとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒト(パッチテスト)において、10-15分で感作性がみられ(CICADs(No.5, 1998))、モルモットによるMaximization testにおいて感作性が認められた(CICADs(No.5, 1998))。以上の結果およびEU分類においてR43(区分1相当)(EU-Annex I, access on 12. 2008)、DFGにてSh(MAK/BAT(2007))であることから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞in vivo変異原性試験(マウススポット試験)で陰性である(IARC(vol.73, 1999))ことから区分外とした。in vitro試験では、マウスリンフォーマ試験、CHO細胞を用いた染色体異常試験、エームス試験にて陰性結果を示した(CICADs(No.5, 1998)), IARC(vol.73, 1999))。
6 発がん性 区分外 - - - - IARCでGroup3(IARC Vol. 73,1999)に分類されており、ラット(F344/N)を用いた強制経口投与、生涯試験において、雄でのみ尿細管腺腫がみられ、雌に発がん性は認められなかった(CICADs No.5, 1998)。マウス(B6C3F1)を用いた強制経口投与、生涯試験(IARC vol.73, 1999)において、発がん性は認められなかった。ラット雄にみられた所見は、種および性依存性のものであると記述がある(CICADs No. 5, 1998)。したがって、ヒトに対する発がん性は疑われないことから区分外とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットおよびマウスを用いた催奇形性試験において、母獣に一般毒性がみられる用量で胎児の臓器(胸腺、脾臓、卵巣)重量の減少、骨格変異(腰肋、肋骨の癒合)、化骨遅延がみられた(CICADs(No.5, 1998))が程度が不明であり、親の生殖能力に対する影響の情報がないため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ヒト8人による2時間吸入試験(10, 225, 450 mg/m3)において、高濃度群で軽微な肺活量の減退が見られたのみで中枢神経系に関連する異常は見られなかった(CICAD(No.5, 1998))。ボランティアによる経口試験(20g)において下痢、痛みを伴う収縮(painful constriction)およびタンパク尿が認められたが、肝臓(総タンパク、ビリルビン、コレステロール、酵素群)に異常は見られなかった(CICAD(No.5, 1998))。ラットの強制経口試験(0-1200mg/kg bw)において、肝トリグリセリド、microsomal proteins、肝チトクロームb5および薬物代謝酵素類に異常は見られなかった(JECFA(1993))。以上の結果、ヒトおよび動物において重大な変化が認められなかったことから経口、吸入経路では区分外相当であるが、経皮暴露のデータはなく分類できないとした。ラット(Sprague-Dawley)の単回投与試験(雌雄, 0-409mg/kg)にて、409mg/kg群で硝子滴が10を示した(対象群; 3)が、本物質とα2uグロブリンの関連性が記述されていることから、種および性依存性と判断し分類根拠には採用しなかった。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットによる16日間強制経口試験(0-6600mg/kg(90日換算:73-1173mg/kg))において1650mg/kg群およびそれ以下の投与群において毒性症状および本物質に起因する組織学的変化は認められなかった(JECFA(1993))。ラットによる30日間経口試験(0-2770mg/kg(90日補正: 92-923mg/kg))においては、雄の腎髄質の外側部位に顆粒円柱が認められた以外に臓器重量、尿、血液および生化学検査において変化は認められなかった(JECFA(1993))。以上の結果から経口経路では区分外相当であるが、経皮、吸入暴露のデータはなく分類できないとした。なお、ラット雄で見られた所見は、α2uグロブリンの影響が示唆されるため分類根拠には採用しなかった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 0.421 mg/L(NICNAS, 2002)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性でない(BIOWIN)ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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