名称:塩化アルミニウム
CAS番号:7446-70-0
物質ID: | 20A2239 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性固体(ATSDR(2008); ホンメル(1996); ICSC(2005))である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ATSDR(2008); ホンメル(1996); ICSC(2005))である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ATSDR(2008); ホンメル(1996); ICSC(2005))である。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水溶解度が45.1g/100g H2O(25℃)(Lide(88th, 2008))で、水に対して安定である。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 無機物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値は370mg/kg bw(ATSDR(2008))、1100mg/kg bw(JECFA(series24 : 2007))、3700mg/kg bw(JECFA(series24 : 2007))のうち区分4に該当するデータが最も多いことから区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギの試験(open irritation test)で severe(RTECS(2008))、マウスの試験(open irritation test)で severe(RTECS(2008))、ヒトの試験でcorrosive(IUCLID(2000))およびmoderate(IUCLID(2000))の情報より区分1とした。なお、ヒトにおいては被検物質を3日間以上適用した場合、弱い刺激性が観察された(HSDB(2005))、塩化アルミニウム含有薬剤を用いた多汗症の治療で汗疹を悪化させた(HSDB(2005))ことなどが報告されている。また、EU分類はC;R34である。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
ヒトの試験でhighly corrosive(IUCLID(2000))の結果、ヒトにおいて角膜熱傷の事例(HSDB(2005))があること、皮膚刺激性/腐食性が区分1であることから区分1とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | モルモットのBuehler testでnot sensitizing(IUCLID(2000)), モルモットのMaximization testでnot sensitizing(IUCLID(2000)), ヒトのMaximization testでnot sensitizing(IUCLID(2000))、ヒトのパッチ試験でnot sensitizing(IUCLID(2000))の情報に基づき区分外とした。なお、塩化アルミニウム含む制汗剤で痒みを伴う皮膚炎を悪化させた患者が塩化アルミニウムのパッチテストで陽性を示した(EHC No.194(1997))、アルミニウムの過敏症予防のため幼児期にアルミニウム結合ワクチンを注射された子供が塩化アルミニウムのパッチテストで陽性を示した(EHC No.194(1997))などのデータがあるが塩化アルミニウムとの関連が明確ではない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
マウスの腹腔内投与による骨髄細胞小核試験(体細胞を用いる in vivo 変異原性試験)の陽性結果(ATSDR (2008))に基づいて区分2とした。なお、in vitro 試験では、ヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験及び小核試験で陽性(ATSDR (2008))、エームス試験及びマウスリンフォーマアッセイで陰性の結果(ATSDR (2008))が得られている。 | |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの飲水による(19.3mg/kg/day)3世代試験(JECFA(series 24 : 2007))およびラットの混餌による発生毒性試験(妊娠6-19日:91mg/kg/day)で、影響は認められなかった(IUCLID(2000))との情報があるが、マウスの強制経口試験(妊娠7-16日:41mg Al/kg/day(202mg AlCl3/kg/day))で、親の毒性は不明であるが胚吸収の増加が観察された(ATSDR(2008))こと、ラットの混餌投与試験(妊娠1-20日:272mg Al/kg/day(1343mg AlCl3/kg/day))で、親の毒性は不明であるが、仔に立ち直り反射、握り反射の有意な障害が認められた(ATSDR(2008))こと、ラットの強制経口投与(妊娠15日:900, 1800mg/kg)試験で、親の毒性の記述はないが、仔の耳介展開、開眼の時期、学習・取得などに有意な影響が認められ、妊娠前期の被検物質のばく露は生殖及び仔の行動に影響すると記載されている(IUCLID(2000))ことから、区分2とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ウサギ及びマウスの経皮毒性試験の報告(RTECS(2008))があるが、適用部位の刺激性、炎症の記述のみで、その他の毒性症状についての具体的な記載がないことから、データ不足で分類できない。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(神経系) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(神経系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの60日間の強制経口投与試験でガイダンス値の区分外に相当する320mg Al/kg bw(90日換算値:213mg/kg/day)の用量で、嗅球の神経細胞、視床下部神経細胞、大脳基底核線状体中のアセチルコリンエステラーゼ活性の減少(CaPSAR(2000))など神経系への影響が推定され、ラットを用いた180日間の飲水投与試験のガイダンスの区分2に該当する 12mg Al/day per rat(59mg AlCl3/day per rat)の用量で自発運動の低下、自発的課題の忌避、学習障害などが認められ(CaPSAR(2000)、ラットを用いた3ヶ月間の飲水投与試験でガイダンスの区分2に該当する43.1mg/kg/day の用量で回転刺激後に誘発される眼振試験で障害を示す(ASDR(2008))ことより区分2(神経系)とした。なお、ラットを用た21日間の強制経口試験において、赤血球、ヘマトクリット、血清中の鉄含量の有意な減少、血小板の増加とヘモグロビンの減少が認められることからアルミニウムのばく露で生じる正球性貧血が示唆されるとの記載(IUCLID(2000))があるが、本試験のばく露量は494mg/kg/day(90日換算値:115mg/kg/day)であり、ガイダンス値の区分外であった。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(大西洋サケ)での96h-LC50=0.37 mg/L(EHC 194 1997)であることから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、無機物であり急速分解性が無いと判断されることから、区分1とした。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |