GHS分類結果

名称:二塩化硫黄
CAS番号:10545-99-0

結果:
物質ID: 20A2253
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - 引火点118℃(開放式)(HSDB, 2002)であり、110℃以上であるため区分外とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団、および自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が234℃(HSDB, 2002 ; ICSC(J), 2007)で70℃超である。よって、区分外とした。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 なお、本物質は水と激しく反応し(Sax 11th, 2004)、塩化水素および二酸化硫黄を生成するいずれも不燃性のガス(ICSC(J), 2007)(ホンメル(1996))。
13 酸化性液体 分類できない - - - - ハロゲン(Cl)を含む無機化合物であるが、データがなく分類できない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - UNRTDG クラス8に分類されている(UNRTDG Rev.15, 2007)が、試験データがなく分類できない。なお、「水の存在下で、多くの金属を侵す」(ICSC(J), 2007)、「湿った状態では、鋼、鋳鉄(cast iron)、アルミニウム、ステンレス鋼、銅と銅合金(copper alloys)、多くのニッケル系物質を侵す」(HSDB, 2002)との記述がある。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データなし。なお、ラットにおけるLD50値 293 mg/kg 体重(安定化されない状態), 343 mg/kg 体重(安定化された状態)(GESTIS, access on Dec. 2008)のデータがある。 本物質は水と激しく反応し塩化水素を生成する(ICSC(J), 2007)ことから、塩化水素(CAS番号 7647-01-0 : ID 567)も参照のこと。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
塩化硫黄類として、蒸気は皮膚、眼、呼吸器への刺激性、液体では皮膚と眼への重篤な刺激性(火傷)との記載があり(IUCLID, 2000)、EUリスク警句ではR34で腐食性(C)である(EU-Annex I, access on Dec. 2008)。GESTISにおいても、主な毒性作用として皮膚への強い刺激性と化学火傷が記載されている(GESTIS, access on Dec. 2008)。ICSC(J)においても、皮膚への影響として発赤、痛み、重度の皮膚熱傷との記載があり、短期暴露は皮膚に対して腐食性を示すとされている(ICSC(J), 2007)。以上のことから、区分1とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
本物質の試験データは無いが、皮膚腐食性物質であることから区分1とした。なお、塩化硫黄類として、蒸気は皮膚、眼、呼吸器への刺激性、液体では皮膚と眼への重篤な刺激性(火傷)との記載があり(IUCLID, 2000)、GESTISにおいては、主な毒性作用として眼への強い刺激性と化学火傷、眼の重大な損傷性が記載されている(GESTIS, access on Dec. 2008)。ICSC(J)においても、眼への影響として発赤、痛み、重度の熱傷との記載があり、短期暴露は眼に対して腐食性を示すとされている(ICSC(J), 2007)。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(呼吸器) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトへの危険性として、暴露による肺疾患が記述されている(HSDB, 2002)。GESTISにおいて、主な毒性作用として気道への刺激性と化学火傷、肺の重大な損傷性が記載されており(GESTIS, access on Dec. 2008)、ICSC(J)においても、短期暴露の影響として気道に対する腐食性と吸入による肺水腫の可能性が示されている(ICSC(J), 2007)。以上のことから、吸入経路では区分2(呼吸器)とした。なお、EUリスク警句はR37である。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(呼吸器) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトへの危険性として、暴露による肺疾患が記述されている(HSDB, 2002)。GESTISにおいては、主な慢性毒性として、本物質の取り扱いによる皮膚と気道の刺激性の記載(GESTIS, access on Dec. 2008)がある。よって、区分2(呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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