GHS分類結果

名称:ヘキサフルオロアルミン酸三ナトリウム
CAS番号:13775-53-6

結果:
物質ID: 20A2257
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - Non Flammable(IUCLID(2000))である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団、および自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - Non Flammable(IUCLID(2000))である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - Non Flammable(IUCLID(2000))である。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水溶解度は0.41g/L(25℃)(IUCLID(2000))で、水に対して安定である。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 酸素を含まずフッ素(F)を含む無機物質であるが、試験データがない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機物質である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立されていない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - 本物質(CAS No.13775-53-6: 合成鉱物)による、ラットのLD50値 >2000 mg/kg bw(GLP対応), >2500mg/kg bwおよび>5000 mg/kg bw(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。なお、天然鉱物CryoliteはCAS No.15096-52-3である。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットのLD50値 > 2000 mg/kg(GLP対応, IUCLID(2000))に基づき、区分外(国連分類基準は区分5または区分外)とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - 本物質を用いたウサギによる8または24時間暴露試験(IUCLID(2000))にて刺激性は認められないことから、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - 本物質によるウサギ試験にて刺激性は認められない(IUCLID(2000))ことから区分外とした。Cryoliteにおいては、労働者の眼への刺激性(PATTY(5th, 2001))、接触による眼の損傷(HSFS(2000))および接触による重度の刺激、炎症(burns)および失明の可能性が記載されている(Sittig(5th, 2008))。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 本物質(合成鉱物)の試験データは得られなかったことから分類できないとした。Cryolite(天然鉱物)に関して、労働者に発疹(rash, eruption)およびアトピー性皮膚炎(eczema)が認められている(PATTY(5th, 2001))。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - 本物質(合成鉱物)によるラットの骨髄細胞を用いたin vivo試験(染色体異常試験)において、3mg/m3群で染色体異常の増加がみらた(IUCLID(2000))が、詳細データが得られずデータ不足により分類できないとした。なお本物質におけるin vitro試験(エームス試験)(IUCLID(2000))において陰性結果を示した。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 本物質(合成鉱物)による試験データなし。Cryolite(天然鉱物)によるマウス強制経口試験(妊娠期6-15日、0-300mg/kg/day)において骨格異常(肋骨および肩甲骨の弯曲)が認められたが親動物の生殖毒性に関する記述がなく(HSDB(2000))、その他動物試験においてもデータ不足で区分の特定には不十分と判断し分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質(合成鉱物)による試験データなし。Cryolite(天然鉱物)において、ヒトにて口内および咽頭に刺激性(PATTY(5th, 2001))、作業員に吐き気および嘔吐の発症例(HSDB(2005))、吸入による鼻、喉および肺の刺激に起因する咳(HSFS(2000))、気道刺激性、高用量暴露により肺水腫を引き起こす可能性あり(Sittig(5th, 2008))の記載に基づき、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - 本物質(合成鉱物)によるラット混餌試験(35日間, 4 or 7mg/kg diet)において、骨のフッ素含有量の増加が認められたが健康に対する影響としては分類できない(IUCLID(2000))。なお、Cryolite(天然鉱物)においては、作業員(20mg/m3暴露)に骨密度の増加、暴露2.5年後では骨硬化症が認められた(IUCLID(2000))。その他、工場での長期暴露による骨のフッ素沈着症が複数認められている(IUCLID(2000))。ラット混餌試験(3ヶ月, 0-5000ppm)においても全投与群にて、骨にフッ化物の蓄積(HSDB(2005))が認められている。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ミジンコ)の48h-EC50=5.0mg/L(IUCLID 2000)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分2であり、無機物であることから急速分解性はないと判断されるが、藻類での96h-EC0=5,000mg/L(IUCLID 2000)であることから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る