GHS分類結果

名称:ジメチル 4,4'‐(オルト‐フェニレン)ビス(3‐チオアロファナート)(別名チオファネート‐メチル)
CAS番号:23564-05-8

結果:
物質ID: 20A2263
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHS定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値 >5000 mg/kg(JMPR(1977),、6640-7500 mg/kg(EHC No. 64(1986))はいずれも区分外である。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットのLD50値 >2000 mg/kg(JMPR(1977)、>10000 mg/kg(EHC No. 64(1986))はJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5または区分外)に該当する。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットのLC50値が1.8 mg/L(JMPR(1998))に基づく。なお、飽和蒸気圧濃度は、1.28E-05 mg/Lであり、本試験は飽和蒸気圧以上で実施されたと推定される。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用い0.5gを4時間適用した試験で、72時間まで観察したが刺激性なし(JMPR(1977)との報告に基づき区分外とした。尚、ウサギを用い1gを21日間適用した試験で、回復性のあるわずかな紅斑が見られた(JMPR(1993))との報告もある。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験で適用後洗浄しない動物の4/6匹と洗浄した3匹で角膜に発赤が観察されたが、1匹を除いて24時間後には回復した。残りの1匹は48時間後には回復した(JMPR(1977))との報告に基づき区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Maximization testで陽性(sensitizing)(JMPR(1977))の報告があり、EUの分類もR43としていることより区分1とした。尚、Buehler testで陰性(not sensitizing)(JMPR(1977))との試験報告もある。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 生殖細胞を用いるin vivo経世代変異原性試験(マウスを用いる腹腔内投与による優性致死試験)で陰性、生殖細胞を用いるin vivo変異原性試験(マウスの腹腔内投与による精母細胞を用いる染色体異常試験)、および体細胞を用いるin vivo変異原性試験(マウスの腹腔内投与による骨髄を用いる染色体異常試験)で陰性(JMPR(1977))の報告に基づき区分外とした。なお、in vivo変異原性試験:Ames試験結果は陰性および陽性、CHO細胞を用いる染色体異常試験は陰性、V79細胞を用いる遺伝子突然変異試験は陰性の結果(いずれもJMPR(1977))である。
6 発がん性 区分外 - - - - ICRマウスを用いたに2年間の混餌投与試験で発がんガン性の影響はなかった(EHC No.84(1986))。およびCD1マウスに18ヶ月間、混餌投与した試験でコントロールのヒストリカルデータと比べて腫瘍の増加は認められていない(JMPR(1977))。SDラットに2年間投与した試験で発育抑制以外の影響はなかった(EHC No.84(1986))。一方、Fischer ラットに2年間、混餌投与した試験で高投与群(6000ppm)で甲状腺濾胞細胞腺腫の出現率(12/60)の増加。雄最高投与群の最後まで生存した2匹中1匹に、途中死亡または切迫と殺した2/53に甲状腺濾胞細胞腺がんガンが見られた(JMPR(1977))ているが、Fischer ラットの試験でのみ甲状腺濾胞細胞腺がんが見られ、発生率は低く、雄のみであることより区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットを用いた2世代試験においてF0、F1の高用量群に甲状腺、肝臓に異常が見られたが、F1a,F2a,F2bの機能検査で用量依存性の異常もなく、生殖毒性は認められなかった。ラットを用いた3世代試験において交尾、妊娠期間、妊娠率、F0、F1b、F2bの解剖において用量に依存した影響なく、F3bの仔に外見、臓器重量、病理学低指数、骨格に用量依存性の影響はなかった。妊娠ラット、及びマウスを用いて器官形成期に経口投与した試験において着床数、着床後の喪失、胎児仔体重、性比、生存胎児仔数、胎児仔奇形、発達異常に用量依存性の影響はなかった(いずれもJMPR(1977))。妊娠ウサギを用いて器官形成期に経口投与した試験において胎児仔に肋骨の数的異常、骨盤、椎骨の不完全な、非対称骨化等の骨変以外に影響は認められていない(JMPR(1977))。ラットによる経世代試験で生殖毒性は認められなく、ラット、マウス、ウサギで発生毒性は認められなかったことより区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - マウスを用いた湿潤粉体のエアロゾルの吸入試験で流涙、流涎の報告(HSDB(2002))が有るが、データ不足により分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(甲状腺) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(甲状腺) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
イヌを使用した24ヶ月の経口投与(カプセル)において50、250mg/kgで甲状腺重量の増加が見られたが病理検査では異常がなかった(HCE No.64(1986))。マウスを用いた6ヶ月の混餌投与試験では区分2のガイダンス値を大きく超える投与群(240mg/kg/day)で肝臓に異常が見られた。ラットを用いた6ヶ月の混餌投与試験で区分2のガイダンス値を超える投与群(400mg/kg/day)で甲状腺に異常が見られた。イヌを使用した3ヶ月の経口投与(カプセル)試験で50mg/kg/dayを含めてすべての投与群に甲状腺濾胞細胞の肥大が見られた。イヌを用いた1年間の経口投与(カプセル)試験で40mg/kg/dayに病理検査で甲状腺濾胞細胞の肥大が見られた(JMPR(1977))との報告がある。イヌの3ヶ月、1年間試験で区分2のガイダンス値内で甲状腺濾胞細胞肥大が認められたことより、区分2(甲状腺)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)での48h-EC50=5.4mg/L(AQUIRE 2008)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分2であり、急速分解性が無い(推定値:SRC: BioWin V4.10)ことから、区分2とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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