名称:1,1′‐メチレンビス(イソシアナトベンゼン)
CAS番号:26447-40-5
物質ID: | 20A2267 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が>600℃(IUCLID 2000)で70℃超である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 融点140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素または塩素を含まず酸素を含むが、この酸素が炭素以外の元素と化学結合していない有機化合物である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50 >2000 mg/kg(OECD TG 401 GLP)(EU-RAR(2005))であること、さらにラット雄でLD50=31600 mg/kg(CICADs No. 27(2001))であることより、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分2 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの4時間吸入試験においてLC50=0.369 mg/L(雄), 0.380 mg/L(雌)であったことより(EU-RAR 2005 of Final Report)、区分2とした。 | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ウサギのドレイズ試験(OECD TG 406 GLP)の結果、紅斑/痂皮および浮腫のスコア共に7日目が最大値を示している(EU-RAR(2005))ことから遅発性刺激物質であると考えられる。また、紅斑/痂皮の平均スコアが72時間後で2.33、7日後で3.17である(EU-RAR(2005))ことから、3日間連続して平均スコア値が2.3以上4.0以下であったと推定される。以上の試験データから区分2と判断した。また、EU分類においてXi; R36/37/38 に区分されている。なお、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)も区分2に分類されている(NITE Access on Feb.(2009))。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ウサギの試験において6匹中5匹で中等度の結膜炎が見られ、1匹はわずかな角膜上皮の剥離が見られているが、6日後には4匹で回復が見られたことから軽度の(slightly)刺激性と結論付けている(EU-RAR(2005))。また、ウサギの雌におけるドレイズ試験(OECD TG 405)において、全てのドレイズスコアが0であったことから刺激性なしと位置づけている(EU-RAR(2005))。以上の結果から刺激性はあっても軽微と考えられ、EU分類においてXi; R36/37/38に分類していることから区分2Bとした。なお、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)は区分2A-2Bに分類されている(NITE Access on Feb.(2009))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。なお、EU分類においてR42/43に分類され、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)は区分1に分類されている(NITE(Access on Feb 2009))。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
雌モルモットのMaximization試験において強いアレルギー反応を示し(EU-RAR 2005 of Final Report)、さらにEU分類においてR42/43に分類されていることより区分1とした。なお、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)は区分1に分類されている(NITE Access on Feb.(2009))。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | in vivo試験のデータがなく、複数指標のin vitro変異原性試験のデータもないことから分類できない。なお、in vitro変異原性試験:エームス試験で陽性結果が得られている(EU-RAR(2005))(NITE Access on Feb.(2009))。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | EU分類においてCarc. Cat. 3; R40に分類されているが、他の分類機関による分類データおよび試験データがないため、分類できないとした。なお、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)はIARCでクループ3(IARC 71, 1999)であることから区分外に分類されている(NITE Access on Feb.(2009))。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。なお、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)では、ラットを用いた妊娠中吸入暴露試験において親動物に一般毒性が認められる用量でも明確な生殖毒性は認められなったことから(IARC 71, 1999; IRIS, 1998; CICAD 27, 2000)区分外としている(NITE Access on Feb.(2009))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。なお、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)ではヒトに対して気道刺激性があるとの記述があり(DFGOT vol. 8, 1997; IARC 71, 1999)、区分3(気道刺激性)に分類されている(NITE Access on Feb.(2009))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ラットの14日間経口投与試験においてガイダンスの区分2を超える2000 mg/kg(90日換算:311mg/kg)の用量において死亡例および体重の変化に影響は見られていないが(EU-RAR(2005))、他に症状、血液、生化学的検査、病理学的所見の有無についての記載がないことよりデータ不足で分類できないとした。なお、本物質の異性体であるメチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(CAS: 101-68-8)では吸入暴露試験結果より、区分1(呼吸器)に区分されている(NITE Access on Feb.(2009))。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 | - | - | - | - | 藻類、甲殻類及び魚類の急性毒性はいずれも>100mg/L(EU RAR, 2005)であることから区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 本物質は加水分解した後に重合することが知られ、重合化物は急速分解性はない、かつ蓄積可能性の低い物質とみなされる。GHSマニュアルに従えば、急速分解性がなく(SRC: BioWin V4.10)、かつlogKow=4.5(EU RAR, 2005)であり、急性毒性が認められないことから区分4とするべきであるが、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC:>10mg/L(EU RAR, 2005)だけではなく藻類、魚類に対しても慢性毒性の懸念が低い(NOEC>1mg/L)と推測されることから、区分外とした。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |