GHS分類結果

名称:(RS)‐(O,S‐ジメチル=アセチルホスホルアミドチオアート)(別名アセフェート)
CAS番号:30560-19-1

結果:
物質ID: 20A2270
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 常温で固体(GESTIS(Access on Feb .2009))である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 常温で固体(GESTIS(Access on Feb .2009))である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 常温で固体(GESTIS(Access on Feb .2009))である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体(GESTIS(Access on Feb .2009))である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体(GESTIS(Access on Feb .2009))である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点が140℃以下の固体状物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - pHが5から7で加水分解に対して安定、pHが9で加水分解半減期が18日とのデータ(HSDB(2007))より、水に対して概ね安定と見なせるので区分外とした。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体(GESTIS(Access on Feb .2009))である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - データなし。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値が雄で1400 mg/kg(OECD TG準拠)、雌で1000 mg/kg(OECD TG準拠)とのデータ(JMPR(2005))に基づき、区分4とした。なお、EU-Risk PhraseはR22である。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50値が10,000mg/kg超(OECD TG準拠)(JMPR(2005))、あるいは2000 mg/kg超(OECD TG準拠)(JMPR(2005))とのデータに基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - 常温で固体(GESTIS(Access on Feb .2009))である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットのLC50が15mg/L 超(OECD準拠)とのデータ(JMPR(2005))に基づき区分外とした。 なお、投与には水溶液のエアゾールを使用。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギの皮膚に適用した試験において、処置後24時間で2匹に明瞭な紅斑、48時間でもう1匹に軽度の紅斑、72時間で全数が正常に回復し、一次刺激スコアが0.1であったとのデータ(JMPR(2002))より、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギの眼に適用した試験で、結膜刺激と軽度な角膜混濁および虹彩炎が見られたが14日後に完全回復したデータ(JMPR(2002))があり、回復に7日以上を要しているので区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いたModified Buehler test およびMaximization testで感作性なしとの情報(JMPR(2002))、あるいはモルモット20匹/グループを用いたmaximization testにおいて、陽性対照群全数に感作性が見られたが、本物質投与群には感作性なしとのデータ(JMPR(2002))に基づいて区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスの腹腔内投与による骨髄を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陰性(JMPR(2002))、マウスを用いた経口投与による体細胞突然変異試験で陰性とのデータ(JMPR(2002))に基づき区分外とした。なお、in vivoではこれらの他に、ラットの肝細胞を用いた不定期DNA合成試験で陰性結果(JMPR(2002))、マウスの白血球を用いたコメット試験で陽性結果(HSDB(2007))が報告されており、in vitroではエームズ試験で陰性結果と陽性結果が、マウスリンフォーマ試験で陽性結果がある。
6 発がん性 区分外 - - - - マウスを用いた104週間経口投与の発がん性試験において、雌のみに高用量(約170mg/kg/d)で肝細胞癌と過形成結節の有意な増加が見られたデータ(JMPR(2002))がある。また、ラットを用いた28ヶ月間の経口反復投与試験において褐色細胞腫が増加したが、用量との相関がなく、ヒストリカルコントロールの腫瘍発生頻度との比較から、「ラットに対する発がん性を示唆しない」とのEPA(1985)の結論が報告されている(IRIS(1993))。EPAはこれらのデータに基づいてCに分類していることから区分外とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの3世代試験において、交尾率低下、平均産子数20-25%低下および仔の生存率の低下が報告(JMPR(2002))されており、ラットの3世代試験でも交尾率、平均産子数、離乳までの生存率の低下が報告されている(JMPR(2002))。更に、交配前の雄のみに投与した試験で繁殖力の低下と、精巣重量減少等が報告(JMPR(2002))されていることから生殖毒性があるとみられるので区分2とした。なお、これらの試験で催奇形性の兆候は報告されておらず、ラットの器官形成期投与試験(JMPR(1976))あるいは、ウサギの器官形成期投与試験2件(JMPR(1976)、JMPR(2002))でも催奇形性なしと報告されている。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系) 危険 H370: 臓器の障害(神経系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口単回投与試験において、用量125と 500mg/kgで振戦や歩行異常が観察され、脳コリンエステラーゼ活性阻害が66-85%であったとの報告(JMPR(2002))、あるいは用量100と500mg/kgで振戦、運動失調、ロータロッドテストの成績低下、低体温 等の症状とコリンエステラーゼ活性阻害が観察されたデータ(JMPR(2002))から、コリンエステラーゼ活性阻害に伴う神経毒性が認められる。一方、ラットおよびマウスの経口急性毒性試験においてコリン作動性症候群の兆候が見られたが、剖検での病理所見は無かったとの報告(JMPR(2005))も有ることから区分1(神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(神経系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた最大用量89.7mg/kg/d(90日換算49mg/kg/d)での49日間経口反復投与試験において、臨床的影響あるいは神経行動作用はどの用量でも見られなかったが、脳のアセチルコリンエステラーゼ活性阻害は80%であったとの報告(JMPR(2005))がある一方、ラットの4週間吸入暴露試験では最大用量96mg/m3(90日換算0.022mg/L)で、脳のコリンエステラーゼ活性阻害は回復期間14週後で83?84%であり、血液パラメーター、剖検の所見および臓器重量には影響なかったが、雌雄に振戦が見られたとの報告(JMPR(2002))がある。これらの他に、ラットに最大用量58mg/kg/dで13週間経口反復投与して、投与と関連するの臨床的兆候はなく、機能テストにおいても投与の影響は見られなかったとの報告(JMPR(2002))もあり、神経毒性症状の発現事例は僅かであるが、強度のコリンエステラーゼ活性阻害があるのは明白であることから区分2とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ニジマス)の96h-LC50=1.3mg/L(AQUIRE 2008)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分2であり、急速分解性が無い(28日後の分解度=6%:OECD-TG301B、NICNAS 1995)ことから、区分2とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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