GHS分類結果

名称:(4RS,5RS)‐5‐(4‐クロロフェニル)‐N‐シクロヘキシル‐4‐メチル‐2‐オキソ‐1,3‐チアゾリジン‐3‐カルボキサミド(別名ヘキシチアゾクス)
CAS番号:78587-05-0

結果:
物質ID: 20A2302
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性及び自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。(融点: 105.5℃, Merck(14th, 2006))
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素を含まず、塩素と酸素を含む有機化合物であるが、これらの元素が炭素あるいは水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値が > 5000 mg/kg bw(JMPR(1991))より、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットのLD50値が > 5000 mg/kg bw(JMPR(1991))より、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ラットのLC50値 > 2.0 mg/kg bw/4h(JMPR(1991))は区分3〜区分外であることから分類できないとした。なお、被験物質の飽和蒸気圧濃度は 2.90E-004 mg/L であり、試験濃度 > 2.0 mg/Lは飽和蒸気圧濃度を超える値であるから、粉塵と判断した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験で、4時間の適用で72時間まで皮膚刺激は観察されなかった(JMPR(1991))とあり、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギを用いた試験で、軽度の刺激性を引き起こし、適用後48時間で刺激性影響は観察されなかった(JMPR(1991))ことから可逆的であると判断し、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いた試験(maximization test)で感作性を示さず(JMPR(1991))、他のモルモットを用いた試験でも感作性を示さなかった(農薬安全情報(農薬時代 154号 1999))ことから、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 経口投与によるマウスの骨髄細胞を用いた小核試験およびチャイニーズハムスターの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(いずれも体細胞 in vivo 変異原性試験)の陰性結果(JMPR(1991))に基づき区分外とした。なお、エームス試験(in vitro 変異原性試験)では、陰性(JMPR(1991))、CHO培養細胞を用いた染色体異常試験は陰性である(農薬安全情報(食品衛生研究 Vol. 149 1999))。
6 発がん性 区分外 - - - - ラットを用いた104週間の経口(混餌)投与試験で、腫瘍発生率は上昇しなかった(JMPR(1991))とあり。一方、マウスを用いた104週間の経口(混餌)投与試験で、研究終了後、増殖型の肝細胞からなる過形成リンパ節の発生率は雄、雌両方で上昇し(発生率(52+104週60匹のラット)肝細胞性腺腫又はがん腫の発生率の増加も観察されている(JMPR(1991))。これらの結果からUS-EPAはカテゴリー Cとしていることより区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - 妊娠ラット及び妊娠ウサギの器官形成期に経口投与した試験で、母動物の総着床数、黄体数、生存胎仔数、死亡または吸収胚数の変化は認められなかった(農薬安全情報(農薬時代 154号 1999))とあり、胎仔では性別、外表異常、骨格異常、内臓異常について投与による変化は認められていない(農薬安全情報(農薬時代 154号 1999))。ラットに2160 mg/kg/day、ウサギに1080 mg/kg/day の用量を投与しても胎仔に催奇形性は認められなかった(JMPR(1991)、農薬安全情報(農薬時代 154号 1999))とある。また、ラットの経口投与による二世代繁殖試験で親世代の交尾率、妊娠率、出産率、出産仔数などの繁殖に関して何ら影響は認められなかった(農薬安全情報(農薬時代 154号 1999))とあり、仔世代の新生仔生存率、発育分化においても投与による変化は認められず(農薬安全情報(農薬時代 154号 1999))、繁殖阻害作用及び催奇形性はないと判断されている(JMPR(1991)、農薬安全情報(農薬時代 154号 1999))。以上の結果から区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットを用いた13週間の経口(混餌)投与試験で、ガイダンスの区分2に相当する500ppm (25mg/kg)の用量以上で血液学的パラメータの変化と生化学値の変化、中心帯の肝細胞の腫張がガイダンスの区分2を超える3500 ppm (175 mg/kg)で雄・雌両方に観察され、副腎皮質の束状帯の脂肪変性がガイダンスの区分2に相当する500ppm (25 mg/kg)で雄・雌両方に観察されている(JMPR (1991)、IRIS (2002)、農薬安全情報 (農薬時代 154号 1999))。また、脳及び赤血球コリンエステラーゼ(ChE)に異常はなかったが、500と3500ppmで雌の血漿コリンエステラーゼの減少が見られている(IRIS (2002)、農薬安全情報 (農薬時代 154号 1999))。マウスの28日間の経口(混餌)投与試験において、肝細胞腫大が雄の1800ppm(90日換算値:90mg/kg)以上と雌の10800 ppm(90日換算:540mg/kg)で観察されている(JMPR (1991)、農薬安全情報 (農薬時代 154号 1999))。肝臓における肝細胞の腫張変化と副腎皮質における束状帯の脂肪変性以外に顕著な影響は見られないが、区分外にするには他に情報がなく分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=0.53mg/L(ECOTOX, 2008)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(SRC: BioWin V4.10)ことから区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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