GHS分類結果

名称:1, 1, 1, 2-テトラフルオロエタン
CAS番号:811-97-2

結果:
物質ID: 21A3509
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分外 - - - - 不燃性ガスである。(Merck(14th, 2006))
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告はクラス2.2(UN No. 3159)で副次危険性の記載は無いが、ERGは126であり、122(液化ガス(酸化性))ではないので区分外とした。
5 高圧ガス 低圧液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 臨界温度(101.05℃)(Merck(14th, 2006))は65℃超である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分外 - - - - ラット4時間暴露のLC50値 >500000 ppm(ECETOC(2000), 567000 ppm(IRIS(2003)), 289000 ppmV(環境省リスク評価 第7巻(2009.))に基づいて区分外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHS定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHS定義におけるガスである。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験で僅かな刺激性(PATTY(5th, 2001))もしくは刺激性を認めなかった(ECETOC JACC No.50(2006))との結果から区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験で、僅かな刺激性(PATTY(5th, 2001))および、刺激性なし(ECETOC JACC No.50(2006))との結果から区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いたマキシマイゼーション試験で感作性を示さなかった(ECETOC JACC No.50(2006)、DFGOT vol.13(1999)ことから、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスに吸入曝露による優性致死試験(in vivo 経世代変異原性試験)、マウスに吸入曝露による骨髄を用いた小核試験および染色体異常試験(体細胞in vivo 変異原性試験)でいずれも陰性の結果(ECETOC JACC 50(2006))から区分外とした。なお、in vitro のAmes testおよび染色体異常試験いずれも陰性(ECETOC JACC 50(2006))であった。
6 発がん性 区分外 - - - - ラットに104週間吸入曝露による慢性毒性・発がん性併合試験において、曝露に関連した影響は唯一雄の精巣に限られ、重量増加とライディッヒ細胞の過形成と腫瘍の発生頻度の増加が認められた(ECETOC JACC 50(2006))が、対照群でも発生が見られ、加齢ラットでしばしば発生する良性腫瘍であることと、その他には腫瘍性病変および非腫瘍性病変とも曝露に関連する影響は認められなかった。また、マウスに106週間吸入ばく露した試験でも曝露に関連する腫瘍の発生が認められていない(ECETOC JACC 50(2006))。以上から吸入ばく露のみによる試験結果ではあるが、本物質はガスで主なばく露経路は吸入であり、ラットおよびマウスによる動物試験でばく露に関連した腫瘍の発生は認められていないことから区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットを用いた吸入曝露による世代試験で生殖能および仔の発生に影響が認められていない(ECETOC JACC 50(2006))こと、ラットおよびウサギの器官形成期に吸入曝露した発生毒性試験で両動物種とも催奇形性を含む仔の発生に悪影響が認められていない(ECETOC JACC 50(2006))ことから区分外とした。なお、ラットの器官形成期の曝露では母動物の体重増加抑制と胎仔の骨化遅延が観察されている(ECETOC JACC 50(2006))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウス、ラットおよびイヌに吸入曝露により麻酔作用(ECETOC JACC 50(2006))の記載に基づき、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分外 - - - - ラットに52週間吸入曝露(1日6時間)による慢性毒性・発がん性併合試験のNOELは10000 ppm(ECETOC JACC No.50(2006))、ラットの90日間の吸入曝露試験(1日6時間)のNOAELは50000 ppm(IRIS(2003))であり、いずれも区分2のガイダンス値の上限(250ppm)を超える用量で影響は認められていない。その他にいずれも吸入による試験で、ラットを用いた28日間および13週間曝露、マウスを用いた90日間曝露、イヌを用いた3ヵ月および1年の曝露の各試験が報告されているが、ガイダンス値範囲内(250 ppm以下)の濃度における有害影響の記載または報告は見当たらない(IRIS(2003)、DFGOT vol.13(1999)、ECETOC JACC No.50(2006))。上記の試験の投与経路はすべて吸入であり他経路でのデータはないが、本物質はガスであり、主なばく露経路は吸入であることから区分外とした。なお、健常人のボランティアを用いた試験も実施されているが、本物質曝露による悪影響は報告されていない(ECETOC JACC 50(2006)、環境省リスク評価 第7巻(2009))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ニジマス)での96時間LC50=450 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50 = 980 mg/L(CICAD 11, 1998)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分外であり、難水溶性ではない(水溶解度推定値 = 2040 mg/L(PHYSPROP Database, 2009))であることから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る