GHS分類結果

名称:1, 1-ジフルオロエタン
CAS番号:75-37-6

結果:
物質ID: 21A3514
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1 危険 H220: 極めて可燃性又は引火性の高いガス P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P377: 漏洩ガス火災の場合:漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。
P381: 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
P403: 換気の良い場所で保管すること。
UNRTDG(UN1030)クラス2.1に分類されており、爆発範囲が3.7-18%(in air)(SIDS(2009))である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外 - - - - 可燃性ガスである。
5 高圧ガス 低圧液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 臨界温度が113.5℃(ホンメル(1996))で>65℃である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - ラットに1500 mg/kgまでの投与量で死亡はなく、おおよその致死量(ALD)は1500 mg/kg以上と推定されている(SIDS(2006))が、区分を特定できないので分類できない。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分外 - - - - ラットを用いた4時間吸入ばく露試験において319000 ppm以下の濃度では死亡はなく、383000 ppmでは1/6例、437500 ppmで2/6例がそれぞれ死亡し、おおよその致死濃度(ALC)は383000 ppmと推定されている(SIDS(2006))ことに基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHS定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHS定義におけるガスである。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - 蒸気が皮膚を刺激する(HSDB(2003))とあるがそれ以上の記載はなく、データ不足のため「分類できない」とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - 蒸気が眼を刺激する(HSDB(2003))とあるがそれ以上の記載はなく、データ不足のため「分類できない」とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - ラットの吸入投与による骨髄細胞用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)(OECD TG 474)で陰性の結果(SIDS(2006))にもとづき区分外とした。なお、in vitro変異原性としてAmes試験(OECD TG 471、GLP準拠)で陰性、ヒトリンパ球を用いる染色体異常試験(OECD TG 473)で弱陽性の報告がある(SIDS(2006)、PATTY(5th, 2001))。
6 発がん性 分類できない - - - - ラットを用いた2年間の吸入ばく露による試験でばく露に関連する腫瘍の発生は雌雄とも見られず、本物質はラットに対し発がん性を有しないと結論されている(SIDS(2006))が、動物一種のみの試験結果のためデータ不足により「分類できない」とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットの器官形成期に吸入曝露した試験で、本物質による母動物の毒性及び発生毒性は何全く認められなかった(SIDS(2006))との報告があるが、親動物の性機能及び生殖能に対する影響に関してはデータがないため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
数人のボランティアが50%濃度の本物質の曝露を数分間受け、心地よい無痛覚と切迫した意識消失を呈したことにより、麻酔作用を有すると報告されている(PATTY(5th, 2001))。また、動物試験ではラットに吸入曝露により、嗜眠、音への無反応、正向反射の消失などが認められている(SIDS(2006))。これらのヒトおよび動物における所見に基づき、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットに100000 ppm/16h(90日換算:108866 ppm/6h)を2ヵ月間吸入ばく露した試験において、一般状態および剖検とも悪影響はなかったが、組織学的検査で軽度ながら大小の円形細胞のびまん性浸潤が認められた(SIDS(2006))。また、100000 ppm/6hを2週間吸入ばく露により、ばく露中に睡眠と音に対する無反応が現れ、麻酔状態に見えた他には影響が見られなかった(SIDS(2006))。これらの影響はガイダンス値範囲を超えた濃度での所見であり、また、試験自体も検査項目数が少ないことや雄のみの試験であるなど完全な反復ばく露の試験ではないことから、データ不十分と判断され「分類できない」とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - QSARによる推算値が、魚類の96時間LC50 = 733 mg/L、甲殻類の48時間EC50=720 mg/L、藻類の96時間EC50=419 mg/L(いずれもSIDS, 2007)であり、これらはQSARによる推定値であるが、SIDSで引用されておりこの推定値は信頼してよいこと、実測値入手は困難であることから区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性ではなく(水溶解度:3200 mg/L(PHYSPROP Database, 2009))、急性毒性区分外であることから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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