GHS分類結果

名称:乳酸エチル
CAS番号:97-64-3

結果:
物質ID: 21A3515
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点47℃ [密閉式](Merck(14th, 2006))は ≧ 23℃ かつ ≦60℃ であることから、区分3に該当する。なお、UNRTDG(UN1192)クラス3PGIIIである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が400℃(Sax(11th, 2004))で70℃超である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素と塩素は含まず、酸素を含むが、この元素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値は>2000 mg/kg(PATTY(5th, 2001))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5または区分外)とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギLD50値は >5 g/kg(HSDB(2002))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - ラットLC50値 >5.4 mg/L(1117.648 ppmV)(PATTY(5th, 2001))のデータがあるが、区分を特定できないので分類できない。なお、試験濃度5.4 mg/L は飽和蒸気圧濃度(23.8537 mg/L)の90%より低いため、ガスの基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - ヒト被験者にワセリン中本物質の8%濃度を48時間閉塞貼付して「刺激性なし」の結果(HSDB(2002))があるが、濃度選択の適切性および詳細が不明のため、データ不足で分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギの眼に刺激性あり(irritating)との報告(HSDB(2002))より区分2とした。なお、EU分類はXi; R41に分類されている。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - ボランティア25人を用いたマイキシマイゼーション試験で感作性を示さなかったとの結果(HSDB(2002))があるが、List 2の情報のため分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトに対し吸入ばく露により200 ppm以上で強い臭いのため不快感を生じ、400 ppmで鼻と咽喉に刺激を引き起こすとの記載(HSDB(2002))に加え、EU分類においてXi; + R37.に分類されていることから、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - 実験動物の吸入ばく露により鼻腔の変性と再生変化が認められたとの報告(HSDB(2002))があり、一方、ヒトでは375-1500 ppmを数ヵ月間ばく露された労働者に有害症状は何も認めなかったとの報告(HSDB(2002))があるが、それ以上の詳細が不明で他にデータもなく分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ゼブラフィッシュ)の96時間LC50 = 320 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=560 mg/L、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間ErC50=3500 mg/L(いずれもAQUIRE, 2010)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性ではなく(水溶解度:1000000 mg/L(PHYSPROP Database, 2010))、急性毒性区分外であることから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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