GHS分類結果

名称:3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸
CAS番号:92-70-6

結果:
物質ID: 21A3528
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点が>400℃(IUCLID(2000))で70℃超である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素を含むが、この酸素原子は炭素、水素以外の原子とは結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値 823 mg/kg bwおよび1040 mg/kg bw(SIDS(2004))に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分4 警告 H312: 皮膚に接触すると有害 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットのLD50値がおおよそ1000-2000 mg/kg bw(SIDS(2000))に基づき区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験(OECD TG 404:GLP)で極く僅かな紅斑と浮腫が認められたが48時間以内に完全に消失し、皮膚一次刺激指数は0.3との結果(SIDS(2004))に基づき区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験(OECD TG 405:GLP)において、適用1時間後に3匹全例に分泌物とともに結膜の浮腫と充血を起し、24〜72時間後に結膜炎と角膜混濁、1匹には虹彩炎が認められ、7日目には全例で角膜糜爛と血管新生が観察された。これらの影響は試験終了時の14日目までには回復せず(SIDS(2004))、21日以内の回復性については不明であるが、24〜72時間のドレイズの平均スコアが角膜混濁1.1、結膜発赤1.9、結膜浮腫1.3であった(SIDS(2004))こと、およびウサギに試験物質を希釈せずに適用した別の試験における一時的軽度の刺激性の結果(SIDS(2004))から腐食性物質に相当しないので区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットの改変マキシマイゼーション試験において陽性率66.7%(6/9)の結果(SIDS(2004))に基づき区分1とした。なお、モルモットを用いた別のマキシマイゼーション試験およびヒトのパッチテストで感作性なし(not sensitising:)の結果が報告されている(SIDS(2004))が、いずれも少数例の試験であり特にヒトのパッチテストでは少数(8例)のため最終的評価はできないと述べられている(SIDS(2004))。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞in vivo変異原性試験(マウスの骨髄細胞を使用した小核試験(厚生省報告(2005)及びチャイニーズハムスターの骨髄細胞を使用した染色体異常試験(SIDS(2004)))でいずれも陰性の報告により区分外とした。なお、in vitro試験では、エームス試験で陰性(SIDS(2004))、チャイニーズハムスターの肺細胞を用いた染色体異常試験では非代謝活性条件下でのみ陽性(SIDS(2004))の結果が得られている。また、当該物質は労働安全衛生法第57条の3に基づき変異原性が認められた既存化学物質である。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの経口投与による一世代生殖毒性試験において、交尾、受胎、分娩、哺育状態に異常は観察されず、出生率や出生仔の一般状態ならびに生存性にも影響はなかった。しかし、親に一過性の流涎、体重増加抑制がみられた高用量群で、仔の曲尾、短尾、小眼の外表異常がやや増加し、精巣の位置異常、脾臓の低形成、横隔膜ヘルニアの内臓奇形も認められ、特定の腹に偏った異常の発生であるが、本試験の結果からは投与による催奇形性を否定できなかった(厚生省報告(2005))と結論されていることから区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(全身毒性) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(全身毒性) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの急性経口毒性試験(OECD TG 401)(SIDS(2004))において、315〜800 mg/kgで活動低下、腹臥位、側臥位が見られ、1000〜1250 mg/kgでこれらの症状に加え呼吸促進、閉眼が見られ、下痢が全用量で発生した。死亡例の剖検では肝臓の暗色化と明色のスポット、消化管の充血が観察された。14日の観察期間終了時までの生存例では病理学的変化は認められなかった。LD50値(823〜1040 mg/kg)は単回ばく露のガイダンス値では区分2相当の用量であるが、上記の一般症状および剖検所見のデータから標的臓器を特定できないので、区分2(全身毒性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットに28日間反復経口投与した試験(OECD TG 407)において、高用量群の300 mg/kg/day(90日補正値:93.3 mg/kg/day)で血清リン酸塩とビリルビンの変化、肝臓重量の増加、組織検査では高・中用量群の雌1例ずつに副腎の壊死が認められている(SIDS(2004))が、これらの変化をばく露に起因する悪影響とするにはいずれもデータ不足である。なお、ラットに100 mg/m3を10日間吸入ばく露試験により、腎障害、血中尿素窒素の増加、組織検査では壊死を含む腎臓の変化が見られた(SIDS(2004))とあり、腎臓への影響が示唆されるが、先の28日間経口投与試験では腎臓への影響が認められていないことに加え、本情報は二次引用の文献のため分類に使用するには元文献における確認が必要であることから、「分類できない」とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 33 mg/L(環境省生態影響試験, 2003)から区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分3であり、急速分解性がない(難分解性、BODによる分解度:19.9%(既存点検, 1979))ことから区分3とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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