GHS分類結果

名称:アルファ, 4‐ジクロロトルエン
CAS番号:104-83-6

結果:
物質ID: 21A3532
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点は>650℃(ホンメル(1996))であり70℃を超える。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 塩素を含むが、この元素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値は 500 mg/kg bw(厚労省報告(access on Aug. 2009)、OECD TG423)であるとの報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分4 警告 H312: 皮膚に接触すると有害 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値は 1287 mg/kg bw(BUA Report 236(2002))であるとの報告に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギの皮膚刺激性試験(OECD TG404)において、紅斑の平均スコア値は、パッチ除去後24、48および72時間において0.7、0.7、0.3、3日後には症状が軽快し、浮腫も認められたが24時間以内に回復していること、及び試験結果はnot irritatingであること(BUA Report 236(2002))から、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - 眼刺激性試験(OECD TG405)において、試験物質滴下後24、48および72時間における評価の平均スコア計算値は、@角膜混濁で0.3、0、0.3、2日後には回復、A結膜発赤で0.7、0.7、0.7、3日後には回復、B結膜浮腫で0、0.7、0.7、3日後には回復、虹彩には損傷が認められない(BUA Report 236(2002))ことから区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットを使用したmaximization test(OECD TG406、GLP)において、陽性率100%(10/10)の結果が得られており、結論はsensitizingとされている(BUA Report 236(2002))ことから区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - ラットを用いた優性致死試験(生殖細胞を用いる in vivo 経世代変異原性試験)において陽性結果があるが、詳細が不明であり評価できないとしている(BUA Report 236(2002))。したがって適切なin vivo変異原性試験の結果がなく分類できない。同報告において染色体への影響は陰性である(BUA Report 236(2002))。なお、in vitro変異原性試験としてエームス試験は4件中3件が陰性(厚労省報告(access on Aug. 2009)、BUA Report 236(2002))、染色体異常試験は陽性(厚労省報告(access on Aug. 2009))との報告がある。また、当該物質は労働安全衛生法第57条の3に基づき変異原性が認められた既存化学物質である。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データ不足により分類できない。なお、ラットの実験において、親動物での一般毒性に関する記述はないが、着床前及び着床後における胚致死が認められており(BUA Report 236(2002))、親動物の性機能・生殖能力に対する毒性影響及び 胚・胎仔に対する毒性影響が発現している、とのデータがあるが、いずれもデータに不備があるとの記述があることから不採用とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの経口曝露試験において、経口投与後の症状の一つに麻酔が認められることから(BUA Report 236(2002))、区分3(麻酔作用)とした。また同試験において、LD50値=1090 mg/kg bwで胃穿孔、胃と脾臓の融合が認められる(BUA Report 236(2002))が、ガイダンス値との関係が不明である。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データなし。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ゴールデンオルフェ)の2.24-2.5 mg/L(BUA 236, 2004)から区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分2であり、急速分解性がない(難分解、BODによる分解度:0%(既存点検, 2005))ことから区分2とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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