GHS分類結果

名称:1-ペンタノール
CAS番号:71-41-0

結果:
物質ID: 21A3545
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点33 ℃(c.c.)(Ullmanns(E)(2003))は区分3に該当する。なお、UNRTDG(UN1105)クラス3PGIIIである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が300 ℃(Lide(88th, 2008))で70℃超である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素または塩素を含まず酸素を含むが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値が2690 mg/kg、3030 mg/kg(PATTY(5th, 2001))より、分類JISの区分外(国連分類基準の区分5)とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50値が2000 mg/kg、4500 mg/kg(PATTY(5th, 2001))、あるいは >3200 mg/kg(PATTY(5th, 2001))より、分類JISの区分外(国連分類基準の区分5)とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足。 なお、ラットに22℃の飽和蒸気 [推定用量6.2 mg/L/8h = 8.8 mg/L/4h] を投与して死亡例なしとの報告(IUCLID(2000))がある。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットにエアロゾルで用量14 mg/L/6h [= 21 mg/L/4h] を投与して、10匹中2匹が暴露中に死亡したとの報告(PATTY (5th, 2001))によりLC50値は>14 mg/L/6h [= 21 mg/L/4h] であるため区分外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギに24時間閉塞適用して重度の刺激が見られたとの報告(PATTY(5th, 2001))があり、EU分類ではXi; R37/38に分類されている(EU-Annex 1(access on May 2009))ことから区分2とした。なお、この他に、ウサギに刺激性あり(IUCLID(2000))、あるいは、ウサギに4時間閉塞適用して刺激性なし(IUCLID(2000))との報告もある。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギに適用して、結膜の紅斑と浮腫、虹彩炎、および角膜損傷が見られ、重度の刺激性であったとの報告(PATTY(5th, 2001))、ウサギのドレイズ試験において重度な可逆的影響が見られた報告(IUCLID(2000))、あるいは、ウサギに重篤な角膜損傷が見られ、刺激の程度は10段階中8であったとの報告(IUCLID(2000))を勘案し、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - In vivoのデータがなく、分類できない。なお、in vitroではエームズ試験で陰性(NTP DB(access on Aug. 2009))、ヒト白血球を用いた染色体異常試験で陰性(IUCLID(2000))、V-79細胞を用いた異数性誘起を含む染色体異常試験で陽性(IUCLID(2000))が報告されている。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 妊娠中のラットに飽和蒸気を19日間反復吸入投与した試験で、発生毒性の証拠は無しとの報告(PATTY(5th, 2001))があるが、親動物の性機能および生殖能に及ぼす影響関しては、データがなく分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(中枢神経系)、区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
H371: 臓器の障害のおそれ(中枢神経系)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトの影響として興奮、難聴、複視、CNS抑制、痙攣の前兆等の神経毒性症状が報告(HSDB(2006))されているが、リスト2の文献であることから区分2(中枢神経系)とした。また蒸気は気道を刺激するとの記述があり(HSDB(2006))、EU分類ではXi; R37/38に分類されている(EU-Annex 1(access on May. 2009))ことから区分3(気道刺激性)とした。なお、マウスに吸入ばく露(エアロゾル)で区分2のガイダンス値の上限を超えた用量ではあるが明らかに肺水腫が見られたとの報告(PATTY(5th, 2001))もある。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットに最大用量1000 mg/kgを13週間、経口反復投与した試験で、摂餌量および摂水量、血液学的および血液生化学検査、尿検査、腎機能、臓器重量、あるいは組織病理検査結果に投与の影響はなかったとの報告 (PATTY (5th, 2001)) により、経口投与では区分外に相当するが、他経路のデータがないので「分類できない」とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - 動粘性率が4.1 mm2/s(20℃)(Ullmanns(E)(2003))より40℃で14 mm2/s以下と推定され、3以上13を超えない炭素原子で構成された一級のノルマルアルコールであることから、国連GHSの区分2に該当するが、区分2を用いないJIS準拠のガイダンス文書に従い分類できないとした。なお、ラットによる0.2 mLの吸引で10匹中10匹死亡とのデータ(PATTY(5th, 2001))がある。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ニセネコゼミジンコ)の48時間EC50 = 53 mg/L(AQUIRE, 2010)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分3であるが、急速分解性があり(BOD:87、95、94%、TOC:100、98、99、GC:100、100、100%(既存点検, 2008))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow = 1.51(PHYSPROP Database, 2010))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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