GHS分類結果

名称:クロロトリメチルシラン
CAS番号:75-77-4

結果:
物質ID: 21A3558
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点-28℃(C.C)(ホンメル(1996))、引火点-18℃(Chapman(Ver.17:1, 2009)ほか)、初留点57℃(Chapman(Ver.17:1, 2009))は区分2(>35℃)に相当する。なお、UNRTDG(UN1298)はクラス3PGIIである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点は395℃であり(ICSC(J)(2002))、70℃を超える。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 半金属Siを含み、水に触れると爆発的に分解する(IUCLID(2000))が、発生ガスは不燃性の塩化水素(ICSC(J)(2002))であるので区分外とした。
13 酸化性液体 区分外 - - - - 酸素、フッ素を含まず、塩素を含んでいるが、この塩素が半金属と結合しており、「酸化剤ではない(Not oxidising agent)」(IUCLID(2000))という報告があるので区分外とした。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。なお、水の存在下で多くの金属を侵す(ICSC(J)(2002))という情報がある。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値:100-300 mg/kg bw(媒体:オリーブオイル)(IUCLID(2000))に基づき区分3とした。なお、媒体にシリコンL-45を使用した試験では4868 mg/kgおよび5700 mg/kg(HSDB(2007))との結果がある。
1 急性毒性(経皮) 区分4 警告 H312: 皮膚に接触すると有害 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値 .1500-2000 mg/kg bw(IUCLID(2000)に基づき区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3 危険 H331: 吸入すると有毒 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P311: 医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値 1498 ppm/4hr(OECD TG403)(IUCLID(2000)に基づき区分3とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(307895 ppm)の90%より低いので、ミストがほとんど混在しない蒸気として気体の基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギの皮膚に0.5 mLを4時間適用後、1時間以内に重度の紅斑と中等度の浮腫およびを落屑を伴う壊死が見られ、1週間の観察期間中には回復せず、皮膚一次刺激指数は2.2/8.0であった(HSDB (2007))が、ウサギを用いた別の試験では強い腐食性(highly corrosive)と報告され(IUCLID (2000))、また、本物質は皮膚に腐食性があると記載されている(HSDB (2007))ので、区分1とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギの眼に試験物質原液を0.005 mLを適用した試験で、角膜傷害、虹彩炎、壊死を伴う中等度〜重度の結膜炎が認められ、平均ドレイズスコアの最大値は 31.5/110であった(HSDB (2007))が、ウサギを用いた別の試験では強い腐食性(highly corrosive)との報告(IUCLID (2000))があり、また、本物質は眼に腐食性があると記載されている(HSDB (2007))ので、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - ラット骨髄を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)の陰性結果(IUCLID(2000))により、区分外とした。なお、in vitro試験では、Ames testが概ね陰性(NTP DB(access on Aug. 2009))、マウスリンパ腫を用いる染色体異常試験の結果は曖昧であった(IUCLID(2000))。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(全身毒性、呼吸器系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(全身毒性、呼吸器系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに172〜688 mg/kgを経口投与後、不活発、呼吸困難、虚脱などの症状を示し、30分〜2日に死亡が発生し、剖検では胃腸の赤〜黒色化、肝臓の白色化、黒色の胃内容物、胸腔に赤色液体が観察された(HSDB(2007))。ラットに10.414〜16.840 mg/Lの蒸気ばく露により、高濃度群では動物の死亡、生存動物では鼻の痂皮、被毛の乱れ、体重増加抑制などが見られ、主要な剖検所見として角膜混濁、肺にび慢性または限局性黒色域が認められた(HSDB(2007))。ウサギに860〜3440 mg/kgを経皮投与により、全身影響として不活発、不安定歩行、下痢などを呈し、30分〜8日に死亡が発生し、剖検で肝臓に桃色〜暗赤色の領域が見られた(HSDB(2007))。以上の経口、吸入、経皮の3経路ともガイダンス値区分2に相当する用量で毒性症状および剖検による変化が認められているが、標的臓器を特定できないので区分2(全身毒性)とした。一方、ヒトへの影響として、蒸気吸入が粘膜を刺激し、咽喉に重度の刺激を起こすこと(HSDB(2007))、さらに、本物質およびその蒸気は気道に腐食性があり、肺水腫を起こす可能性があるとも記述され、吸入ばく露による症状として、灼熱感、咳、咽頭痛、努力性呼吸、息切れの記載(HSDB(2007))があり、List2の情報であることから区分2(呼吸器系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットに34 ppm(0.151 mg/L)の濃度を2週間吸入ばく露により、毒性影響を示さなかったとの結果(IUCLID(2000))があるが、区分1ガイダンス値の上限値(50 ppm)未満の低濃度ガイダンス値範囲に相当する低濃度の試験であり、データが不十分で分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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