GHS分類結果

名称:ヘキサン酸
CAS番号:142-62-1

結果:
物質ID: 21A3576
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 分類できない - - - - 引火点102℃(Chapman(Ver.17:1, 2009)、Sax(11th, 2004))は開放式のデータであり、密閉式のデータは無いため、分類できないとした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点は380℃(Lide(88th, 2008)、Sax(11th, 2004))または402℃(Chapman(Ver.17:1, 2009))であり、70℃を超える。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素を含んでいるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。なお、国連危険物輸送勧告でクラス8、III(UN No.2829)に分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値は6440、3000 mg/kg bw(JECFA No.40(1998))、5970 mg/kg bw(PATTY 5th(2001))であるとの報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギLD50値は630 mg/kg bw(PATTY 5th(2001))であるとの報告に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
マウスLC50値(2時間)は4.1 mg/L(4時間換算値:2.05 mg/L)(BUA Report 241(2002))であり、区分4とした。なお、LC50値は飽和蒸気圧濃度(0.27208 mg/L)よりも高く、ミストと判断し分類した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギを用いた試験(OECD TG 404:GLP準拠)において壊死(necrosis)とその後の瘢痕形成(scar formation)がみられ、適用後21日間瘢痕が残留している(BUA Report 241(2002))ことから、区分1とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いた試験において角膜に重度の熱傷(severe burn)がみられ(PATTY 5th(2001))、かつ、皮膚に対し腐食性として区分されていることから、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 26人のボランティアによるMaximization Testにおいて、陽性反応はみられなかった(BUA Report 241(2002))と報告されているが、この他に試験データは無く分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivoにおける試験データは無いため、分類できないとした。なお、in vitroにおけるエームス試験(JECFA No.40(1998)、NTP DB(access on 8. 2009)、PATTY 5th(2001))は全て陰性、マウスリンフォーマ試験(JECFA No.40(1998))は代謝活性化なしでは陰性(代謝活性化ありでは擬陽性)である。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。なお、ICSC(J)(1998)において、短期曝露の影響として「気道を刺激する」との記載がある。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットを用いた2つの3週間混餌投与試験(用量:約 1000, 2000, 4000 mg/kg(90日換算値:233, 467, 933 mg/kg))において、一方は肝臓のペルオキシソームおよびペルオキシソーム酵素に影響はみられない(JECFA No.40(1998))との記載、他方は低用量では血清中のトリグリセリドレベルが減少したがコレステロールレベルに影響は無く、中・高用量ではトリグリセリド・コレステロールともに影響はみられない(BUA Report 241(2002))との記載のみであり、その他臓器への影響に関する記載は無い。ラットを用いた150日間混餌投与試験(用量:約 5000 mg/kg)においても、腺胃および前胃に変化はみられない(JECFA No.40(1998))との記載のみである。以上の結果から経口では本物質投与による影響はないと思われ区分外に相当するが、他の経路での情報がないため分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。なお、ICSC(J)(1998)において「この液体を飲み込むと、肺に吸い込んで化学性肺炎を起こすことがある」との記載がある。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ファットヘッドミノー)での96時間LC50 = 88 mg/L(AQUIRE, 2010; HSDB, 2006; BUA 241, 2002)であることから、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分3であり、急速分解性に関する信頼性があるデータがないことから、区分3とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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