GHS分類結果

名称:プロピオン酸エチル
CAS番号:105-37-3

結果:
物質ID: 21A3583
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点12℃ [密閉式](Merck(14th, 2006))は < 23℃ であり、かつ、初留点99℃(Merck(14th, 2006))は >35℃ であることから、区分2に該当する。なお、UNRTDG(UN1195)はクラス3PGIIである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点は475℃であり(ホンメル(1996))、70℃を超える。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素または塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、その酸素は炭素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値 8732 mg/kg、9550 mg/kg(雄), 8670 mg/kg(雌)(HSDB(2002))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギを用いた試験において、14000 mg/kgでの死亡率 1/10(HSDB(2002))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - 飽和蒸気圧濃度(47105 ppm; 196.8 mg/L)、45分間暴露で全例死亡(4時間換算:85.2 mg/L/4h)(HSDB(2002))は区分外相当であるが、区分を特定できず分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギの皮膚に4時間閉塞適用した試験において、適用後7日間の観察期間中に刺激性の兆候は見られなかったとの記述(HSDB(2002))に基づき区分外とした。なお、7日目に発生した1匹の死亡は試験物質のばく露とは関連はないと記述されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギ6匹を用いた眼刺激性試験において、投与後4時間までに全例で著しい分泌物を伴う虹彩炎と中等度の結膜刺激が認められたが、24時間以内に2/6例が正常となり、残り4/6例では軽度の結膜発赤が持続し、48時間後には全例で刺激症状が消失したとの結果(HSDB(2002))によれば、24、48および72時間の平均スコア値は24時間後のみが結膜発赤で1以下の皮膚反応を示し、その他の反応、および48、72時間のスコアは全て0となることから、区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - In vivo試験のデータがないので分類できない。なお、エームス試験(in vitro変異原性試験)の結果は陰性(NTP DB(access on Aug. 2009))である。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ラットに経口投与により、11.3 mL/kg(10080 mg/kg)以上では不活発、虚脱の症状を呈し、15分〜3時間に死亡したが、8.0 mL/kg(7136 mg/kg)以下の用量では毒性影響は観察されていない(HSDB (2002))。また、ウサギに16mL/kg bw = 14000 mg/kgを経皮投与により、雌1例が羸痩を呈して死亡したことを除き、その他には全身毒性の症状は観察されなかった(HSDB (2002))。さらに、ラットに飽和蒸気(推定濃度197 mg/L)を11.2、22.5または45分間ばく露により、努力性呼吸、活動低下、呼吸緩徐、正向反射の低下または消失、圧刺激による反射消失などが観察され、45分ばく露では9/10例が死亡し、LT50(半数致死時間)は32〜35分と報告されている(HSDB (2002))。以上の結果から、経口投与では7136 mg/kg以下の用量で毒性影響が認められていないので区分外に相当するが、経皮および吸入の場合はガイダンス値範囲を超えた用量では死亡を含む悪影響が認められており、カットオフ値付近のデータがない。したがって、特定標的臓器毒性として総合的な分類は「分類できない」とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - 375〜1500 ppmの濃度に数ヵ月間ばく露された作業者に有害症状は認められなかった(HSDB(2002))との情報があるのみで、それ以上の詳細および元文献も不明であり、データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(Daphnia cucullata)による48時間LC50 = 44 mg/L(AQUIRE, 2010)より区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分3であり、急速分解性に関する信頼性があるデータがないことから、区分3とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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