GHS分類結果

名称:酢酸アリル
CAS番号:591-87-7

結果:
物質ID: 21A3612
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点が6℃(ホンメル(1996))で23℃未満、沸点が103.5℃(Howard(1997))で35℃超である。なお、UNRTDG(UN2333)でクラス3副次危険6.1PGIIである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 タイプG - - - - 自己反応性に関わる原子団(不飽和結合)を含むが、UNRTDG(UN2333)でクラス3副次危険6.1PGIIであり、上位の自己反応性に該当しないと推定されるためタイプGとした。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が374℃(ホンメル(1996))で70℃超である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素または塩素を含まず酸素を含むが、酸素は炭素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値 130 mg/kg(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足で分類できない。なお、ウサギのLD50値 1021 mg/kg(RTECS(2006))のデータがある。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値 1000 ppm/1h(500 ppm/4h)(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分2とした。なお、毒性値1000 ppm)が飽和蒸気圧濃度(31579 ppm)の90%より低いので、気体の区分基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギを用いた試験で皮膚に対し軽度の刺激性(slight skin irritation)を起こすとの結果(HSDB(2003))があることに加え、本物質は皮膚に対する刺激物質であり、原液との接触により1〜2度の熱傷を起こす可能性がある(NTP TR48(2006))との記述もあり、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験で眼に対し中等度の刺激がある(moderate eye effect)との結果(HSDB(2003))、および本物質の蒸気は粘膜に刺激性があり、流涙および角膜の熱傷を起こす(NTP TR48(2006))との記述により区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスに13週間経口投与(最高用量 62.5 mg/kg)による末梢血を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)において、雄は陰性、雌では弱陽性を示した(PCEで陰性、NCEで弱陽性)が明確な用量依存性はなく、またラットに24時間間隔で3回経口投与(最高用量 400 mg/kg)による骨髄細胞を用いた小核試験で、5匹中の2匹が死亡した150 mg/kgまでの用量でも陰性であることにより(いずれも、NTP DB(access on June 2009))、証拠の重みを考慮し区分外とした。なおin vitro試験としてはエームス試験で陽性(代謝活性化無し)および陰性(代謝活性化有り)の報告(NTP DB(access on June 2009))がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(骨髄、リンパ系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(骨髄、リンパ系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットおよびマウスの経口投与(強制投与)による14週間の試験において、区分2の用量(雄ラット>12 mg/kg;雌ラット25、50 mg/kg;雄マウス32、62.5 mg/kg;雌マウス16、32、62.5 mg/kg)で前胃偏平上皮細胞の過形成、ほとんどのラットで前胃の出血・壊死(100 mg/kg)、雄マウスでは腺胃の出血の有意な増加(62.5 mg/kg)、骨髄過形成・リンパ節枯渇・胸腺の壊死などの影響(ラット100 mg/kg;マウス62.5 mg/kg)が認められた(以上、NTP TR48(2006))ことに基づき、区分2(骨髄、リンパ系)とした。なお、胃に関しても悪影響が明らかであるが、刺激性物質の経口投与(強制投与)による局所影響とみなし、本項の分類には考慮しなかった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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