GHS分類結果

名称:クロロチオホスホン酸=O , O -ジメチル
CAS番号:2524-03-0

結果:
物質ID: 21A3617
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - 引火点105℃(Lange(16th, 2005))により93℃超である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - UNRTDG(UN2267)でクラス6.1PGIIに分類されていることから、上位のクラス4.2(自然発火性)PGIには該当しないと推定できる。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に徐ーに反応して腐食性を有する塩化水素が発生する(IMDG(2006))という情報があるが、可燃性ガスではないため区分外と判断した。
13 酸化性液体 分類できない - - - - 酸素と塩素を含み、これらが炭素以外の元素と結合しているが、データがなく分類できない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値として6件のデータ(664 mg/kg、1260 mg/kg、500-1000 mg/kg、1605 mg/kg、360 mg/kg、500-2000 mg/kg)が得られ(IUCLID(2000))、すべてが区分4に該当している。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値は590 mg/kg(IUCLID(2000))より区分3に該当し、また、ウサギのLD50値は >2150 mg/kg、>1500 mg/kg、> 1000 mg/kg(IUCLID(2000))より区分4あるいは区分外に該当する。危険性の高いラットの区分を採用し、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの4時間ばく露のLC50値は2件(0.34 mg/L(51.8 ppm)、0.48 mg/L(73.1 mg/L))(IUCLID(2000))あり、いずれも区分1に該当している。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(4.32 mg/L)の90%より低いので、気体の区分基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギを用いたドレイズ試験で4時間ばく露で強い刺激性(highly irritating)、24時間ばく露で腐食性(corrosive)と評価されている(IUCLID(2000))ので、ガイダンスに従い4時間ばく露の結果に基づき、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギを用いた試験において腐食性(corrosive)または強い刺激性(highly irritating)との報告(IUCLID(2000))、およびヒトで眼に対する強い刺激性の記述(HSDB(2003))に基づき、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - 製剤を用いたラット優性致死試験(生殖細胞in vivo 経世代変異原性試験)での陽性知見(HSDB(2003))があるものの、本物質としての評価が困難であり、また、マウス小核試験(in vivo 変異原性試験)で陰性(HSDB(2003))であることから、分類できないとした。なお、in vitro試験については、エームス試験で陰性、チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いた染色体異常試験、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験、マウスのBALB/3T3細胞を用いた細胞形質変換試験ではそれぞれ陽性結果の報告(HSDB(2003))がある。また、当該物質は労働安全衛生法第57条の3に基づき変異原性が認められた既存化学物質である。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットの器官形成期の吸入曝露による発生毒性試験において、母獣の毒性用量で着床前胚死亡と早期吸収の軽度の増加が認められたと記述されている(IUCLID(2000))が、同じ生殖指標の変化がさらに高用量で予め行われた用量設定試験では認められていない(IUCLID(2000))こと、また、軽度の増加が有意かどうかも記載がなく不明なため、「分類できない」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(神経系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(神経系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスの腹腔内投与で、200 mg/kgで異常歩行、過敏性、300 mg/kgで運動失調, 振戦、チアノーゼ、麻痺、下垂が見られ(HSDB(2003))、ウサギの経皮投与試験で、ガイダンスの区分1に相当する316 mg/kgの用量で活動の低下(RTECS(2006))が見られている。さらに急性の影響として、縮瞳、視力障害、頭痛、めまい、筋攣縮、高度の脱力と嘔吐、下痢、腹痛、痙攣、昏睡。経口、経皮のばく露で心拍数の減少(SITTIG(SITTIG(5th, 2008)))、有機リンの毒性として頭痛、めまい、視力障害、胸苦しさ、発汗、吐き気、嘔吐、下痢、筋攣縮、痙攣、昏睡を示す(HSFS(2001))と記載されている。これらのデータは腹腔内投与のデータもしくはリスト3の情報であることから、ガイダンスの基準に従うと「分類できない」となるが、有機リン化合物であり、リスト3の情報に神経系に係る症状が記載されていることから区分2(神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(呼吸器) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの13週間吸入試験(GLP準拠)において、0.030 mg/Lで肺および気管の重量増加に加え呼吸窮迫症候群が認められた(IUCLID(2000))との記載があり、ガイダンス値から判断すると区分1相当であるが、List 2のデータであって、判定基準1b3)を満たさないため、ガイダンスにしたがって区分2(呼吸器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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