NITE-化学物質管理分野　GHS分類結果表示

GHS分類結果

名称：クロルヘキシジン
CAS番号：55-56-1

結果：


物質ID:	21A3619
分類実施者:	厚生労働省・環境省
分類実施年度:	平成21年度
使用マニュアル:	政府向けGHS分類ガイダンス（H21.3版）

物理化学的危険性

危険有害性項目		分類結果	シンボル	注意喚起語	危険有害性情報	注意書き	分類根拠・問題点
1	爆発物	分類対象外	-	-	-	-	分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2	可燃性／引火性ガス（化学的に不安定なガスを含む）	分類対象外	-	-	-	-	GHSの定義における固体である。
3	エアゾール	分類対象外	-	-	-	-	エアゾール製品でない。
4	支燃性／酸化性ガス	分類対象外	-	-	-	-	GHSの定義における固体である。
5	高圧ガス	分類対象外	-	-	-	-	GHSの定義における固体である。
6	引火性液体	分類対象外	-	-	-	-	GHSの定義における固体である。
7	可燃性固体	分類できない	-	-	-	-	データなし。
8	自己反応性化学品	分類対象外	-	-	-	-	分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9	自然発火性液体	分類対象外	-	-	-	-	GHSの定義における固体である。
10	自然発火性固体	分類できない	-	-	-	-	データなし。
11	自己発熱性化学品	分類できない	-	-	-	-	融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12	水反応可燃性化学品	分類対象外	-	-	-	-	金属または半金属（B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At）を含まない。
13	酸化性液体	分類対象外	-	-	-	-	GHSの定義における固体である。
14	酸化性固体	分類対象外	-	-	-	-	塩素を含んでいるが、この塩素は炭素以外の元素と化学結合していない。
15	有機過酸化物	分類対象外	-	-	-	-	-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16	金属腐食性物質	分類できない	-	-	-	-	固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性

危険有害性項目		分類結果	シンボル	注意喚起語	危険有害性情報	注意書き	分類根拠・問題点
1	急性毒性（経口）	区分外	-	-	-	-	ラットLD50値は5000 mg/kg bw（HSDB（2004））に基づき、区分外（国連GHS分類基準の区分5）とした。
1	急性毒性（経皮）	分類できない	-	-	-	-	データなし。
1	急性毒性（吸入：ガス）	分類対象外	-	-	-	-	GHSの定義における固体である。
1	急性毒性（吸入：蒸気）	分類できない	-	-	-	-	データなし。
1	急性毒性（吸入：粉塵、ミスト）	分類できない	-	-	-	-	データなし。
2	皮膚腐食性／刺激性	区分外	-	-	-	-	ウサギを用いた試験（OECD TG 404）で刺激性なし（not irritating）の結果（IUCLID（2000））に基づき、区分外とした。
3	眼に対する重篤な損傷性／眼刺激性	区分1		危険	H318: 重篤な眼の損傷	P305+P351+P338: 眼に入った場合：水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋／保護衣／保護眼鏡／保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。	ウサギ3匹の眼に試験物質100 mgを適用した試験で、適用24時間後に3匹とも角膜混濁（スコア2以上）、虹彩炎（スコア1以上）、結膜浮腫（スコア2以上）を示し、72時間後も回復が見られず、MMAS（AOIに相当）82.3であったこと（ECETOC TR48（1998））から、区分1とした。なお、別にウサギを用いた試験（OECD TG 405）でも強い刺激性（highly irritating）との結果（IUCLID 2000））が得られている。
4	呼吸器感作性	区分1		危険	H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ	P304+P341: 吸入した場合：呼吸が困難な場合には、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合：医師に連絡すること。 P261: 粉じん／煙／ガス／ミスト／蒸気／スプレーの吸入を避けること。 P285: 換気が十分でない場合には、呼吸用保護具を着用すること。 P501: 内容物／容器を．．．に廃棄すること。	本物質とアルコールのエアゾールばく露により、2人の医療従事者が職業性喘息を発症したことが報告されている（HSDB（2004））。最初の症例は54歳の看護補助者で本物質を含むエアゾール使用後頻繁に咳と喘鳴の発作を起こし、本物質による惹起試験では胸部逼迫と咳を伴い、1秒間強制呼気量が低下した。二番目の症例は6ヵ月に亘り本物質とアルコールのエアゾールのばく露後に胸部逼迫起こしていた43歳の助産婦で、気管支誘発試験で1秒間強制呼気量の低下が見られた。両者とも喘息の病歴はなく、また、ヒスタミンに対する気道反応性の増強もなく、本物質の使用を止めると症状は消失した。その結果、職業性喘息の診断が確認されたと述べられている（HSDB（2004））。また、クロルヘキシジンの継続的、繰り返し使用の後に、即時性の反応として喘息、アナフィラキシーショックを起こすと記載されている（FROCH, TEXTBOOK OF CONTACT DERMATITIS）ことから区分1とした。
4	皮膚感作性	区分1		警告	H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ	P302+P352: 皮膚に付着した場合：多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合：医師の診断／手当てを受けること。 P261: 粉じん／煙／ガス／ミスト／蒸気／スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋／保護衣／保護眼鏡／保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である（このラベルの．．．を見よ）。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物／容器を．．．に廃棄すること。	クロルヘキシジンのグルクロン酸塩と酢酸塩を湿疹の患者にパッチテストした結果、1063人中52人（5.4%）が陽性反応を示し、このうち29人は再試験でなお陽性であり、使用試験では皮膚炎を発症した（HSDB（2004））。また、クロルヘキシジンの継続的、繰り返し使用の後に接触性皮膚炎、光過敏、皮膚湿疹を起こし、即時性の反応として接触性蕁麻疹、アナフィラキシーショックを起こすと記載されている（FROCH, TEXTBOOK OF CONTACT DERMATITIS）。さらに、副作用情報に「ショック症状」が挙げられ、その他の副作用として「過敏症（発疹等）」の記述（JAPIC医療用医薬品データベース（access on Feb 2010））があることから区分1とした。
5	生殖細胞変異原性	分類できない	-	-	-	-	データなし。
6	発がん性	分類できない	-	-	-	-	データなし。
7	生殖毒性	分類できない	-	-	-	-	データなし。
8	特定標的臓器毒性（単回暴露）	分類できない	-	-	-	-	データ不足で分類できない。なお、本物質を含有する外皮用殺菌消毒剤としての医薬品添付文書の副作用情報に、聴神経及び中枢神経に対して直接使用した場合は、難聴、神経障害を来すことがある。また、膣、膀胱、口腔等の粘膜面［クロルヘキシジン製剤の前記部位への使用により、ショック症状（初期症状：悪心・不快感・冷汗・眩暈・胸内苦悶・呼吸困難・発赤等）（医薬品検索イーファーマ（access on Feb 2010））即時性の反応としてアナフィラキシーショックを起こすと記載されている（FROSCH, TEXTBOOK OF CONTACT DERMATITIS）が中枢神経作用については特殊な投与径路であり、ショック症状については急性影響か不明である。
9	特定標的臓器毒性（反復暴露）	分類できない	-	-	-	-	データなし。
10	吸引性呼吸器有害性	分類できない	-	-	-	-	データなし。

環境に対する有害性

危険有害性項目		分類結果	シンボル	注意喚起語	危険有害性情報	注意書き	分類根拠・問題点
11	水生環境有害性（急性）	区分1		警告	H400: 水生生物に非常に強い毒性	P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物／容器を．．．に廃棄すること。	魚類（ニジマス）による96時間LC50 = 0.0013 mg/L（HSDB, 2004）であることから、区分1とした。
11	水生環境有害性（長期間）	区分1		警告	H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性	P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物／容器を．．．に廃棄すること。	急性毒性区分1であり、急速分解性がない（BIOWIN）ことから、区分1とした。

分類結果の利用に関する注意事項：

　政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
　本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報：

使用マニュアル
解説・用語集（エクセルファイル）
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