GHS分類結果

名称:プロピレン四量体
CAS番号:6842-15-5

結果:
物質ID: 21A3653
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点49℃(Weiss(2nd, 1986))は>23℃<60℃であることから区分3とした。なお、UNRTDG(UN2850)はクラス3PGIIIに分類されている。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 タイプG - - - - 分子内に自己反応性の原子団(不飽和結合)を含むが、UNRTDG(UN2850)クラス3に分類されており、上位の4.1には該当しないためタイプGと判断した。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が 255℃(ホンメル(1996))であり発火点70℃を超える液体のため、区分外とした。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内に、酸素、フッ素または塩素を含んでいない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値は > 2000 mg/kg bw(概ね5000 mg/kg)(厚労省報告(access on Oct. 2009))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足で分類できない。 なお、RTECS(1997)に、ラットLD50値が > 2 g/kg bw との記載がある。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足で分類できない。 なお、RTECS(1997)に、ラットLC50値が > 735 ppm(5.06 mg/L)との記述がある。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データがなく分類できない。 なお、類縁物質の C10-13 Internal Olefins は、ラットLC50値が > 2.1 mg/L(mist)(SIDS(2004))より、区分4又は区分外に該当する。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データがなく分類できない。 なお、類縁物質の 1-Dodecene(CAS No. 112-41-4)は、ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP準拠)において皮膚一次刺激指数は PI I = 4.67であり、24-72時間の紅斑及び浮腫のスコア値がそれぞれ、2.2及び2.4であった(SIDS(2004))ことより、区分2に該当する。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データがなく分類できない。 なお、類縁物質の 1-Dodecene(CAS No. 112-41-4)は、ウサギを用いた眼刺激性試験(Draize法)において、投与後24時間では角膜および結膜に刺激が認められたが、48時間および72時間には全てのスコアが0(SIDS(2004))との結果より、区分外に該当する。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データがなく分類できない。 なお、類縁物質の C10-13 Alpha Olefins(CAS No. 872-05-9、CAS No. 821-95-4、CAS No. 112-41-4及びCAS No. 2437-56-1の混合物)及びC12-16 Alpha Olefin Fraction(linear 1-dodecene(CAS No. 112-41-4), 1- tetradecene(CAS No. 1120-36-1)及び1-hexadecene(CAS No. 629-73-2)の混合物)は、モルモットを用いた皮膚感作性試験(Maximization test)で陰性(SIDS(2004))との報告がある。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo試験のデータがなく分類できない。 なお、in vitro 試験では、細菌を用いる復帰突然変異試験で陰性及びチャイニーズハムスター培養細胞を用いる染色体異常試験で陰性(SIDS(2004))の結果が得られている。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データ不足で分類できない。なお、ラットを用いた経口投与試験(投与量不明)で感覚器(特に眼)への影響の記述がある(Journal of the American College of Toxicology, Part B. vol.1, p.741, 1992)。 また、類縁物質CAS No. 68526-58-9(Alkenes, C11-13, C12 rich)、CAS No. 112-41-4(1-Dodecene)についてラットを用いた経口投与試験(7.74g/kg及び10g/kg)で毒性の所見(可視的、組織学的)は認められず、CAS No. 68526-58-9(Alkenes, C11-13, C12 rich)についてマウス、ラット及びモルモットを用いた吸入試験(4.4 mg/L(639 ppm)、6時間)で自発運動の活発化(全動物)、流涙(ラット及びモルモット)がみられ、C10-13 Internal Olefins(Shop Olefins 103 PQ 11)についてラットを用いた吸入試験(ミスト、> 2.1 mg/L(~305 ppm))で 流涙及び唾液分泌の増加があり、C12-16 Alpha Olefin Fraction(GULFTENE 12-16)についてウサギを用いた経皮投与試験(10g/kg、24d時間)で内臓及び全身への毒性はなかったとの報告がある(以上すべてSIDS(2004))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データがなく分類できない。 なお、類縁物質の C12-16 Alpha Olefin Fraction は、ラットを用いた2週間(投与9回)の亜急性毒性試験(経皮)で、ガイダンスの区分2に相当する用量(200 mg体重/日)(90日換算値)で体重増加の抑制、内臓器官重量/体重の比の変化及び内臓器官重量/脳重量の比の変化が報告されている(SIDS(2004))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがなく分類できない。 なお、類縁物質の ドデセン(dodecene)は、「経口摂取時に吸引性呼吸器有害性を示すであろう」(PATTY(5th, 2001))との記述がある。 また、炭素数C6からC18のアルケンについて、ラットを用いた動物実験で吸引性呼吸器有害性が評価され、C8からC14のアルケンにばく露したすべての動物は24時間以内に死亡し、影響を受けた動物には化学肺炎が見られたことより、C6からC14のアルケンに明確な吸引性呼吸器有害性があると、報告書は結論づけている(SIDS(2004))。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)による48時間EC50=0.015 mg/L(環境省生態影響試験, 2002)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(既存点検, 1988)ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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