GHS分類結果

名称:ジエチルスチルベストロール
CAS番号:56-53-1

結果:
物質ID: 21A3734
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 分子内に自己反応性に関連する原子団(不飽和結合)を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素を含んでいるが、炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値は、>3 g/kg(HSDB(2003))であるとの報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データがなく、分類できない。 接触による皮膚への刺激の可能性(HSFS(2002))、皮膚に対する局所刺激(SITTIG(5th, 2008))との記述あり。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データがなく、分類できない。 接触による眼への刺激の可能性(HSFS(2002))、眼に対する局所刺激(SITTIG(5th, 2008))との記述あり。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスを用いた26週間、混餌投与によるin vivo 小核試験(骨髄細胞)において陽性の結果(NTP DB(access on Oct., 2009))が得られているため、区分2とした。なお、in vitro試験では、染色体異常試験で陽性の結果(CHO cell)(NTP DB(access on Oct., 2009)、IARC vol.21(1979))及び陰性の結果(ヒト白血球)(IARC vol.21(1979))、SCE試験で陰性の結果(NTP DB(access on Oct., 2009)、IARC vol.21(1979))、微生物を用いた突然変異試験で陰性の結果(NTP DB(access on Oct., 2009)、IARC vol.21(1979))及び遺伝子突然変異試験では陽性の結果(NTP DB(access on Oct., 2009)、IARC vol.21(1979))が得られている。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARCでGroup 1に分類されている(IARC vol.100A(2008)、IARC suppl.7(1987))ことから、区分1Aに分類した。
7 生殖毒性 区分1A 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
疫学的には、エストロゲン療法で当該物質を投与された母親から出生した女子に、膣及び子宮頸がん発症の報告が多数あり(IARC vol.21(1979))、出生子に心血管及び手足の欠損を含む先天的な奇形及び頸膣部及び子宮腔の構造異常の発生率の増加の報告(HSDB(2003))があるため、区分1Aとした。 動物実験では、ハムスターを用いた妊娠中の強制経口投与試験(IARC vol.21(1979))において出生仔の雄には副睾丸及び精巣に肉芽腫の形成、雌には膣と子宮頸がんが確認されたとの記述、サルを用いた経口投与試験(IARC vol.21(1979))では出生仔の膣の隆起、子宮頸部の腺疾患が観察され、マウスの経口投与試験では、出生仔の雌で下垂体重量の増加、発情周期の不明確、雄では副睾丸及び前立腺の縮小が確認され(NTP DB Report#RACB83046(access on Oct. 2009))、妊娠率低下が雄への生殖毒性によるものであるとの報告(NTP DB Report#RACB83094(access on Oct. 2009))がある。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(全身毒性) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(全身毒性) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ホスフェストロール(リン酸ジエチルスチルベストロール)の医薬品添付文書における副作用情報において、重要な副作用として、血栓症(冠動脈血栓症、脳血栓症、四肢血栓症等)、心筋梗塞、心不全。その他の副作用として心悸亢進、黄疸、肝機能異常、高カルシウム血症、ナトリウム貯留や体液貯留、脂質代謝異常、頭痛、知覚異常、(頻度不明)眩暈、精神障害再発、悪心・嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛、発疹、肛門そう痒感・肛門灼熱感・肛門しびれ感・陰部周囲のそう痒感・陰部周囲の灼熱感・陰部周囲のしびれ感、倦怠感、陰萎、胸部圧迫感、尿道狭窄、発熱、浮腫、蛋白尿が記載されているが、急性影響かどうか不明なため区分2(全身毒性)とした。HSDB(2003)では薬物警告として初期症状に「吐き気と嘔吐」、「急性毒性として吐き気と嘔吐 ; 腹部の痛み ; 頭痛」の記述がある。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(心血管系)、区分2(肝臓、全身毒性) 危険
警告
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(心血管系)
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓、全身毒性)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ホスフェストロール(リン酸ジエチルスチルベストロール)の医薬品添付文書における副作用情報において、重要な副作用として、血栓症(冠動脈血栓症、脳血栓症、四肢血栓症等)、心筋梗塞、心不全が述べられていることから区分1(心血管系)とした。その他の副作用として心悸亢進、黄疸、肝機能異常、高カルシウム血症、ナトリウム貯留や体液貯留、脂質代謝異常、頭痛、知覚異常、(頻度不明)眩暈、精神障害再発、悪心・嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛、発疹、肛門そう痒感・肛門灼熱感・肛門しびれ感・陰部周囲のそう痒感・陰部周囲の灼熱感・陰部周囲のしびれ感、倦怠感、陰萎、胸部圧迫感、尿道狭窄、発熱、浮腫、蛋白尿が記載されていることより区分2(肝臓、全身毒性)とした。なお、HSDB(2003)では薬物療法(エストロゲン)での副作用として高血圧、頭痛、吐き気、嘔吐、膣出血、血栓症の障害及び耐糖能の低下、遅延毒性として男性の女性化乳房、胸の痛み、性欲の喪失、血栓静脈炎、血栓塞栓症、肝臓障害、浮腫を伴うナトリウム貯留、高血圧、月経変化の記述がある。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(Nitocra spinipes)の96時間LC50=1.55mg/L(AQUIRE,2010)から区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分2であり、logKowが4以上 (logKow=5.07、PHYSPROP Database, 2009) であることから、区分2とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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