GHS分類結果

名称:メルファラン
CAS番号:148-82-3

結果:
物質ID: 21A3736
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素及び塩素を含んでいるが、酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合しておらず、塩素は炭素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2 危険 H300: 飲み込むと生命に危険 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値は13.0 mg/kg(雄)及び16.0 mg/kg(雌)であるとの報告(HSDB(2009))に基づき、区分2とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギを用いた試験で、軽度から中等度(mild to moderate)の皮膚刺激、及び組織病理検査において軽度の刺激確認(HSDB(2009))との記述があるため、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データがなく分類できない。 眼及び粘膜に対して強い刺激性がある(HSDB(2009))との記述がある。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分1B 危険 H340: 遺伝性疾患のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスを用いた優性致死試験および相互転座試験(生殖細胞 in vivo経世代変異原性試験)で陽性の結果があることから区分1Bとした(HSDB(2009))。なお、マウス骨髄細胞を用いた小核試験、染色体異常試験、SCE試験(いずれも腹腔内投与)で陽性の報告(NTP DB(access on Sep., 2009))及びラット骨髄細胞を用いた変異原性試験で陽性の報告(IARC vol.9(1975))がある。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARCでGroup 1に分類 (IARC vol.100A (2008)、IARC suppl.7 (1987)) 、及びNTPでKに分類 (NTP ROC 11th (2004)) されていることから、区分1Aに分類した。 なお、当該薬物による卵巣がん、多発性骨髄腫又は乳がん治療により、骨髄性白血病及び気管支がんの発症報告 (IARC suppl.7 (1987)、IARC vol.9 (1975)) がある。動物試験では、マウスを用いた皮膚塗布試験で皮膚乳頭腫の発生、マウスおよびラットを用いた腹腔内投与試験では肺腫瘍、リンパ肉腫、乳腺線維腺腫及び腹膜肉腫の発生の報告 (以上 IARC vol.9 (1975)) がある。
7 生殖毒性 区分1B 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物試験では、妊娠前期のラットを用いた試験において胎仔の種ーの奇形が確認され(IARC vol.9(1975))、ウサギに対して催奇形性がある(ラットにはない)との記述(Birth Defects(3rd, 2000))があることから区分1Bとした。FDAではヒトの胎児に明らかに危険であるという pregnancy category D に分類されており、変異原性及び発がん性物質という理論的な判断による(十分な検証はされていない)(HSDB(2009))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(骨髄) 危険 H370: 臓器の障害(骨髄) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトの影響として、本物質は抗がん剤であり、重大な副作用として骨髄抑制(赤血球減少、白血球減少、貧血)を起こす(医療用医薬品集(2010))ため区分1(骨髄)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(骨髄、肝臓、全身毒性) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(骨髄、肝臓、全身毒性) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
当該物質で治療(経口又は静脈内投与)を受けている患者で骨髄減少による白血球、血小板の減少、吐気及び嘔吐の副作用の記述(HSDB(2009))があり、DHP(13th, 2002)の臨床所見の記述には、白血球減少症、顆粒球減少、血小板減少、骨髄全組成の形成不全、吐き気、嘔吐及び食欲不振、低カルシウム血症、可逆性肺障害がある。また、臨床上の重大な副作用情報(医療用医薬品集(2010))に、骨髄抑制(汎血球減少、白血球減少、血小板減少、貧血)、ショック、アナフィラキシー様症状、重篤な肝障害、黄疸、間質性肺炎、肺線維症、溶血性貧血がある。以上より標的臓器は骨髄、肝臓、全身毒性と考えられ、分類は区分1(骨髄、肝臓、全身毒性)とした
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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