GHS分類結果

名称:1‐メチル‐1‐ニトロソ‐3‐[(2S, 3R, 4R, 5S, 6R)‐2, 4, 5‐トリヒドロキシ‐6‐(ヒドロキシメエチル)オキサン‐3‐イル]尿素 (別名ストレプトゾシン)
CAS番号:18883-66-4

結果:
物質ID: 21A3750
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類できない - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団(隣接する窒素およびニトロソ基)を含むが、データがなく分類できない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団(隣接する窒素およびニトロソ基)を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - データなし。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスLD50値は 260 mg/kg bw(IARC(1978))であるとの報告に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスに腹腔内投与による骨髄細胞を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)において、陽性の結果(Mutagenesis Vol. 7 No. 6, 1992)に基づき区分2とした。なお、in vitro試験ではAmes試験での陽性結果(IARC 17(1978))が報告されている。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARCによりグループ2B に分類されている(IARC Suppl.7(1987))ことより、区分2とした。なお、マウスおよびラットに6ヵ月間の腹腔内投与後12ヵ月間観察した試験においては、マウスで雌雄の肺および腎臓の腫瘍、雌の子宮腫瘍の発生頻度の有意な増加、ラットで雌雄の腎臓および膵臓の腫瘍、雌の肝臓腫瘍、雄の腹膜肉腫の発生頻度の有意な増加がそれぞれ報告されている(IARC 17(1978))。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに腹腔内投与した試験において本物質は胎仔の成長遅滞と奇形をもたらしたとの報告(Birth Defects (2000))、ラットでは受胎能への悪影響と催奇形性を示し、ウサギでは流産をまねいたとの報告(HSDB (2003))に基づき、親動物への影響が不明のため区分2とした。なお、本物質がヒトの乳汁中に排出されるかどうかは明らかではない(Package Insert ZANOSAR (2007))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(膵臓) 危険 H370: 臓器の障害(膵臓) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は膵臓β-細胞への特異的毒性作用を持ち、高血糖症を誘発する(IARC(1978))との知見に基づき、動物試験において腹腔内投与であるがハムスターに100 mg/kgの単回ばく露により一過性の糖尿病状態を生じたとの結果(IARC 17(1978))も考え合わせ、区分1(膵臓)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(膵臓、腎臓、肝臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(膵臓、腎臓、肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は転移性膵島細胞癌の治療剤である(Package Insert ZANOSAR (2007))一方、膵臓β-細胞に対し特異的毒性作用を持ち、高血糖症を誘発する(IARC (1978))との知見に基づき、区分1(膵臓)とした。本剤の治療を受けた多くの患者が副作用として高窒素血、無尿、糖尿、尿細管性アシドーシスなどの腎毒性を示し、腎性尿崩症も2例報告されている(Package Insert ZANOSAR (2007))こと、さらに本剤の治療を受けた大半の患者で時には治療の中止を必要とするような重度の嘔気、嘔吐を認め、多くの患者が肝酵素の上昇および低アルブミン血症として肝毒性を示したこと(Package Insert ZANOSAR (2007))から、それぞれ区分1(腎臓、肝臓)とした。以上より、分類は区分1(膵臓、腎臓、肝臓)となる。なお、貧血、白血球減少、血小板減少等も報告されている(IARC 17 (1978))が、血液毒性は稀であり、大抵はヘマトクリット値の軽度の減少に関するものであるとの記述(Package Insert ZANOSAR (2007))により、分類の根拠としなかった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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