GHS分類結果

名称:ポリ臭化ビフェニル(FireMaster BP-6(臭素数5-7のポリ臭化ビフェニルの混合物)及び FireMaster FF-1(FireMaster BP-6に2%のCalcium polysilicateを添加(anti-caking))
CAS番号:59536-65-1,67774-32-7

結果:
物質ID: 21A3753
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不活性固体で難燃剤として利用されてきた(Sax(11th, 2004))との情報により区分外とした。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 難燃剤(Sax(11th, 2004))との情報により区分外とした。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不活性固体で難燃剤として利用されてきた(Sax(11th, 2004))との情報により区分外とした。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50 = 21500 mg/kg(FireMaster BP-6)(IARC 41(1986))に基づいて区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットのLD50 = 5000 mg/kg (FireMaster BP-6)(EHC 152(1994)) に基づいて区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットに71 mg/L(FireMaster BP-6)を1時間 [= 18 mg/L/4時間相当] 暴露して死亡例が無かったデータ(EHC 152(1994))より、区分外とした。 試験物質が常温で固体であることから、投与形態は粉塵と推定される。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - FireMaster BP-6のラットの精祖細胞または骨髄を用いた染色体異常試験(生殖細胞または体細胞in vivo 変異原性試験)およびFireMaster FF-1のマウスの骨髄を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo 変異原性試験)でいずれも陰性(IARC 41(1986))に基づき区分外とした。なお、マウス肝細胞を用いた不定期DNA合成試験で陰性結果(EHC 152(1994))、in vitroでは、チャイニーズハムスターV79細胞を用いた遺伝子突然変更試験で陰性結果(IARC 41(1986))、エームズ試験で陰性結果(EHC 152(1994))がある。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARCによりポリ臭化ビフェニルがグループ2Bに分類されている(IARC suppl. 7 (1987))ことから、区分2とした。 動物実験では雌雄のラットにFireMaster FF-1を25週間反復経口投与後23ヶ月間観察して、雌雄に肝細胞癌、あるいは胆管癌が見られており、同じく、マウスでは雌雄に肝細胞癌発生率の有意な増加が報告されている (IARC 41(1986))。 更に、ラットの雌にFireMaster FF-1を単回経口投与後23ヶ月間観察で、肝細胞癌と肝新生物結節の発生率増加が、あるいは、週2回を3週間毎で計12回観察で、肝細胞癌と肝新生物結節の発生率増加が報告されている (IARC 41(1986))。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
妊娠中ラットにFireMaster BP-6 用量40 ? 800 mg/kg bwを、妊娠6日目から14日目の何れかに単回経口投与した試験において、全投与群で母動物の体重減少が見られ、用量800 mg/kg bwでは、投与日に関係なく奇形(主に横隔膜ヘルニアと口蓋裂)が発生したデータ(IARC 41(1986))、さらにマウスの器官形成期にFireMaster BP-6を最大130 mg/kg/dayで反復経口投与した試験において、脳脱出および口蓋裂と水腎が増加したデータ(PATTY(5th, 2001))に基づき区分2とした。なお、母ラットに妊娠6日目から分娩後24日目まで投与した試験で仔に神経系の発達障害と見られる影響が報告されている(ATSDR(2004))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(肝臓) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(肝臓) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットにFireMaster FF-1 を用量1000 mg/kgを単回経口投与して2 ? 23ヶ月観察した試験において、線維化から延いては腫瘍結節につながる脂肪性、壊死性変化を伴う肝臓肥大が見られたとの報告 があり(ATSDR(2004)、EHC 152(1994))、以上の試験結果は区分2ガイダンス値範囲内であることから区分2(肝臓)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、神経系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓、神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
いづれもFireMaster FF-1を用いた試験において、ラットに104週間反復経口投与した試験で、用量0.5 mg/kg/day以上で肝細胞肥大、細胞質空胞化、不定形病巣および卵円形細胞増殖が見られ、マウスの4 ? 6週間反復経口投与した試験では、用量3 mg/kg/day以上で肝細胞の壊死あるいは空胞化が見られた。またラットとマウスの6ヶ月間反復経口投与(3回/週)試験で、用量3-10 mg/kg/dayで、自発運動量、握力、および驚愕反応性の低下が見られた(すべてATSDR (2004))。上記の試験結果はすべて区分1のガイダンス範囲内であることから、区分1 (肝臓、神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)


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