名称:硫酸コバルト(II)
CAS番号:10124-43-3
物質ID: | 21A3758 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である(ICSC(J)(2001))。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である(ICSC(J)(2001)) |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性である(ICSC(J)(2001)) |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 金属(Co)を含むが水溶解度は38.3 g/ 100 g H2O(25℃)(Lide(88th, 2008))である。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 区分外 | - | - | - | - | Non oxidising(IUCLID(2000))である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 無機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値が510 mg/kg および424 mg/kg(ATSDR(2004))に基づき区分4とした。 [なお、健康有害性に関しては塩化コバルト(II)(CAS:7646-79-9)も参照のこと] | |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 呼吸器感作性 | 区分1 | 危険 | H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ |
P304+P341: 吸入した場合:呼吸が困難な場合には、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P285: 換気が十分でない場合には、呼吸用保護具を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
種ーのコバルト化合物に曝露された労働者において、気管支喘息がこれまで認められている(CICADs 69(2006))ことに加え、EUではR42/43(EU-Annex I(2009))、産業衛生学会では第1群(産衛学会勧告(2009))にそれぞれ分類されていることから、区分1とした。 | |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
健常人によるmaximization試験で25人中10人に硫酸コバルトによる感作誘発が認められたとする報告(DFGOT vol.23(2007))があり、日本産業衛生学会ではコバルトを皮膚感作性物質の第1群(「当該物質自体ないしその化合物を示すが、感作性に関与するすべての物質が同定されているわけではない」との但し書き有り)としている(日本産業衛生学会勧告(2008))ことから区分1とした。なおEU分類ではR42/43(EU-Annex I(2009))に分類されている。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | in vivoの試験データがなく分類できない。なお、硫酸コバルト7水和物(CAS 10026-24-1)によるAmes試験(in vitro変異原性試験)で弱陽性の報告(NTP TR471(1998))がある。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
コバルトおよびコバルト化合物として、IARCによりグループ2B(IARC 52(1991))に、日本産業衛生学会により第2群Bに分類(産衛学会勧告(2008))されていることに基づき区分2とした。なお、ラットおよびマウスに2年間吸入曝露した試験において、両動物種とも肺胞・細気管支腫瘍の発生頻度の増加が見られ、発がん性の明らかな証拠があると結論されている(NTP TR471(1998))。 | |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ラット、マウスおよびウサギの妊娠期間中に硫酸コバルトを経口投与した試験において、母動物の死亡をもたらす高用量の場合を除き、仔の発生に及ぼす悪影響は認められなかった(CICAD 69(2006))が、交配前からの曝露による親動物の性機能と生殖能への影響に関してはデータがなく不明であり、「分類できない」とした。なお、EU分類では、カテゴリー2;R60(EU-Annex I(2009))である。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、塩化コバルト(II)のデータとして、ラットによる強制経口試験では4.25 mg/kgにて自発運動、筋力、呼吸の低下が見られ(ATSDR(2004))、ヒトの影響として胸骨後部に痛み、耳鳴り、吐き気および嘔吐、神経性難聴、気管圧迫を伴う甲状腺過形成、粘液水腫、倦怠感などが記述されており(HSDB(2004))、水溶液を摂取した子供で赤血球の生成の抑制によるチアノーゼを起こし、昏睡および死に至ったとの記述がある(HSDB(2004))。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(心臓、呼吸器系) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(心臓、呼吸器系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトの影響として、1960年代前半から後半にかけ、欧米のビール会社で泡の安定剤として本物質がビールに添加され、そのビールを大量に飲んだ消費者が心筋症で死亡した例が多数報告され、原因は硫酸コバルトであった(CICAD 69(2006))との報告により区分1(心臓)とした。また動物試験では、ラットおよびマウスを用いた13週間の吸入曝露試験(0、0.3、13、10、and 30 mg/m3)で、両動物種とも咽頭の扁平化生(?0.3 mg/m3)、咽頭・鼻・肺の慢性炎症(0.3〜1 mg/m3)を示し、高濃度(〜30 mg/m3)ではより重度の影響が見られ(CICADs 69(2006))、用量はガイダンス値範囲区分1に該当していることから、区分1(呼吸器系)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=3.6 mg/L(CICAD 69, 2006)から区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急性毒性区分2であるが、低濃縮性(BCF=<37(コイ、6週間)、既存点検, 1998)から、区分外とした。 |
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