GHS分類結果

名称:アジ化水素
CAS番号:7782-79-8

結果:
物質ID: 21A3760
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 不安定爆発物 危険 H200: 不安定爆発物 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P372: 火災の場合に爆発する危険性あり。
P374: 適当な距離から注意して消火すること。
P380: 区域より退避させること。
P401: ...に保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
分子内に爆発性の原子団(隣接した窒素原子)を含む。文献には、Extremely explosive(Sax(11th, 2004)、PATTY(5th, 2001))、violently explosive(Bretherick(7th, 2007))、また「きわめて爆発しやすく、ガラス片や加熱により振動がなくても爆発する」(化学大辞典(1994第3刷))とあり、純品では「不安定爆発物」と判断できる。一般流通品は溶剤で希釈してあり火薬類にはならないと思われる。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 分類できない - - - - データなし。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 爆発性の原子団(隣接した窒素原子)を含むがデータがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データなし。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素及びハロゲン元素を含まない無機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 低沸点の液体に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データ不足で分類できない。なお、LD50値=33 mg/kg(RTECS(2008))のデータがある。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足で分類できない。なお、マウスのLC50値=12.2 ppm/2H(4時間換算8.6 ppm)(RTECS(2008))のデータがある。飽和蒸気圧濃度は636842 ppmである。試験はほとんどミストを含まないガスで試験されたと考えられる。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ヒトで蒸気ばく露による急性影響として眼の刺激をを起こすとの記載(ACGIH Sodium Azide(2001))より区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 分類できない - - - - データがなく分類できない。なお、ACGIHは1996年にアジ化ナトリウムをA4に分類している。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、心血管系)、区分3(気道刺激性) 危険
警告
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
H370: 臓器の障害(中枢神経系、心血管系)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトへの影響として、アジ化水素蒸気はアジ化ナトリウム水溶液から発生するため、アジ化ナトリウムと同程度の急性毒性を有する。アジ化ナトリウムの吸入および経口ばく露では、眩暈、視力障害、呼吸困難、頻呼吸、低血圧、頻脈、アシドーシス、痙攣などの症状を引き起こし、呼吸中枢の麻痺と心臓血管系に影響を及ぼすとの記述があり、それに加えアジ化物は血管拡張に直接的に作用するとの記述がある(以上ACGIH Sodium Azide(2001))ことから区分1(中枢神経系、心血管系)とした。またアジ化水素蒸気ばく露により気管支炎を起こした(ACGIH Sodium Azide(2001))との記載があり区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データなし。なおヒトで本物質の慢性的な職業ばく露者で頭痛などの訴えがあったが、ばく露に関連した病理学的な証拠はなかったとの報告がある(ACGIH Sodium Azide(2001))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る