名称:沃化メチル
CAS番号:74-88-4
物質ID: | 21B3013 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類できない | - | - | - | - | 不燃性(ICSC(J)(2004))(ホンメル(1996))という情報と、引火点が1°F(-17.2℃)(NITE総合検索(Access on April. 2009))というデータがある。引火点と沸点からは、GHSの定義で引火性液体区分2に相当するが、着火しても継続的に燃焼しない液体と思われるので「分類できない」とした。なお、類似の物質で臭化メチル(ガス)もLEL, UELが報告されており、そのデータからはGHSの定義で引火性ガス区分1になるが、一般に不燃性ガスとされている(ISO-5145)。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点(355℃, GESTIS(Access on April. 2009))が70℃超である。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素、フッ素又は塩素を含まない有機化合物である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 低沸点の液体に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分3 | 危険 | H301: 飲み込むと有毒 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLD50値 76 mg/kg bw(IARC vol.41(1986))及び150-200 mg/kg bw(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギのLD50値雌雄とも >2000 mg/kg、かつ2000 mg/kgで死亡なし(農薬登録申請資料(2004)、農薬評価書 ヨウ化メチル(2008))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分2 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLC50値 232 ppm/4h(ACGIH(2001)、DFGOT Vol.7(1979)、PATTY(5th, 2001))に基づき、区分2とした。なお、被験物質の飽和蒸気圧濃度は 532894 ppm であり、試験濃度 232 ppm は飽和蒸気圧濃度の90%(479605 ppm)を下回る値であるから、ガスの基準値(ppmV)により分類した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ウサギ皮膚に半閉塞貼付した試験で腐食性はなく、4時間ばく露の皮膚一次刺激性指数は4.88で中等度の刺激性との評価結果(農薬登録用資料(2004)、農薬評価書 ヨウ化メチル(2008))に基づき区分2とした。なお、EU分類は Xi; R37/38である。ヒトではボランティアの被験者に1mLを30分皮膚に塗布後19時間に小水疱を伴う紅斑が認められ(IARC vol.15(1977))との報告がある。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
ウサギを用いた試験で、適用1時間後に6匹全例で結膜炎、24時間後には6匹全例で角膜混濁と虹彩炎が認められ、適用21日後に結膜炎が4/6例、角膜混濁が2/6例でそれぞれ未回復であり、21日目でも障害が完全に回復しなかった(農薬登録申請資料(2004))ことから、区分1とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | モルモットを用いた皮膚感作性試験(Maximization法:US. EPA. OPPTS 870.2600)で陽性率5〜15%(農薬登録申請資料(2004))を示し、感作性なしとの評価結果(農薬評価書 ヨウ化メチル(2008))に基づき区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | マウスの腹腔投与による骨髄を用いた染色体異常試験(体細胞を用いるin vivo変異原性試験)で陰性(農薬評価書 ヨウ化メチル(2008)、農薬登録申請資料(2004))に基づき、区分外とした。なお、ラットに経口または吸入によるDNA(共有)結合試験(体細胞 in vivo 遺伝毒性試験)において陽性結果(IARC 71(1999))があり、また、in vitro 変異原性試験試験では、エームス試験およびマウスリンパ腫を用いる遺伝子突然変異試験は陰性または陽性(IARC 71(1999)であり、農薬登録申請資料)、CHO細胞を用いるHPRT突然変異試験および染色体異常試験では陽性結果(IARC 71(1999、農薬評価書 ヨウ化メチル(2008))がある。 |
6 | 発がん性 | 区分外 | - | - | - | - | IARCによりグループ3に分類されている(IARC vol.71(1999))ことからガイダンス値に基づき、区分外とした。なお、ラットに24ヵ月吸入ばく露した試験およびマウスに18ヵ月経口ばく露した試験のそれぞれ高用量群で、甲状腺ろ胞細胞腺腫・癌の発生増加あるいは増加傾向(農薬登録申請書類(2006))が報告されている。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットに吸入ばく露による2世代繁殖試験で、繁殖能に対する影響は認められず(農薬登録申請資料(2004))、ラットの妊娠6-21日に吸入ばく露した試験で、親動物が体重増加抑制と摂餌量減少を示した用量で胎児に催奇形性を含め投与に関連した影響は認められなかった(農薬登録申請資料(2004))。しかし、ウサギの妊娠6-28日に吸入ばく露した試験で親動物の体重増加抑制、着床後死亡胚の増加に伴う生存胎児数の減少が認められ(農薬登録申請資料(2004))、さらに追加試験の結果により妊娠後期(23〜26 日)における暴露が発生毒性を誘発する可能性が予想されるとの結論(農薬評価書 ヨウ化メチル(2008))に基づき区分2とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系) | 危険 | H370: 臓器の障害(神経系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトの急性中毒からの生存者では神経学的傷害の回復は緩徐であり、中毒後しばしば錯乱、幻覚、妄想のような精神障害の状態となり、それが数年間持続するとの報告(DFGOT vol.7(1979))に基づき区分1(神経系)とした。なお、マウスに経口投与後認められた警戒性及び自発運動の低下、腹臥位、よろめき歩行及び半眠状態、反応性の低下、背臥位、歩行困難、呼吸緩徐などの症状(農薬評価書 ヨウ化メチル(2008))、また、ラットに吸入ばく露による、口・顎の反復運動増加、浅呼吸、頭部下垂座位、眼瞼下垂、流涎、ガスピング、円背位、歩行障害、移動及び自発運動の減少などの症状(農薬登録申請資料(2004))からも神経系への影響が示唆される。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経系)、区分2(甲状腺) |
危険 警告 |
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(甲状腺) H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
職業ばく露によるヨウ化メチル中毒の症例報告が多数あり(ACGIH(2001)、IARC 41(1986)、PATTY(5th, 2001)、HSDB(2005))、特徴的な症状として視覚障害、目まい、振戦、嗜眠、昏睡、不明瞭言語などが記載され、さらに回復困難あるいは回復に時間を要する精神障害も報告されている(IARC 41(1986)、PATTY(5th, 2001))。また、ラットの2年間吸入ばく露試験でも自発運動の低下、筋の協調性及び平衡性の低下、筋攣縮または振戦等の症状が観察されている。これらの知見に基づき区分1(神経系)とした。一方、マウス90日間経口投与試験の全投与群(23.6〜221.6 mg/kg/day)(農薬登録申請資料(2004))、イヌ14週間経口投与試験の12 mg/kg/day群(農薬登録申請資料(2004))、およびラット24ヵ月吸入暴露試験の60 ppm(蒸気:0.348 mg/L)群(農薬登録申請資料(2004))において、甲状腺濾胞細胞の菲薄化、あるいは肥大、過形成及び細胞質空胞化など甲状腺の病理組織学的変化が記載されている。この甲状腺の所見はいずれもガイダンス値範囲区分2に相当する用量以上で複数の動物種で見られていることから区分2(甲状腺)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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