名称:エチレングリコールモノ‐ノルマル‐ブチルエーテル(別名ブチルセロソルブ)
CAS番号:111-76-2
物質ID: | 21B3020 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関わる原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分4 | - | 警告 | H227: 可燃性液体 |
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点が62℃(c.c.)(SIDS(Access on 4. 2009))、141°F(60℃)(換算値:60.55℃)(c.c.)(Merck(14th, 2006))との記載により、60℃超 93℃以下である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に自己反応性および爆発性に関わる原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が240℃(ホンメル(1991))との記載により、70℃を超えている。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内にフッ素または塩素を含まず、含まれている酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLD50値10件(1746 (雄)、1950(雌)、2410mg/kg(雄) (SIDS(1997))、1480、1590(雄)、1480(雄)、2417、2400mg/kg(ATSDR(1998))、917、470mg/kg(環境省リスク評価(6巻(2008)))のうち区分4が7件、区分5が3件であることから区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 | 危険 | H311: 皮膚に接触すると有毒 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギの場合は9件のLD50値(610、99、435、567(雄)、635 mg/kg(雌)(SIDS(1997))、220、580、638(雄)、568(雌)mg/kg(ATSDR(1998)))より、区分2が1件、区分3が8件あり、区分3となる。また、ラットではLD50 = 2273 mg/kg(ATSDR(1998))に基づき区分4となる。したがって、危険性の高い方のウサギのデータを採用し、区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分2 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLC50(4h)は、雄: 2.4 mg/L(486 ppm)、雌: 2.2 mg/L(450 ppm)(SIDS(1997))、500ppm(ATSDR(1998))に基づき区分2とした。LC50が飽和蒸気圧濃度(1158 ppm)の90%より低いので、気体の分類区分を適用した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ウサギに4時間適用した試験(OECD TG404に類似)で、6匹中3匹に痂皮と浮腫を伴う重度の紅斑が観察され、刺激性あり(irritating)との評価(SIDS(1997))に基づき、区分2とした。なお、高濃度の本物質を含む床剥ぎ剤を使用した掃除人が、紅斑と接触性皮膚炎を起こしたとの報告もある(SIDS(1997))。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ウサギを用いたDraize試験(OECD TG405:GLP準拠)において、角膜混濁・虹彩炎・結膜発赤・結膜浮腫などの症状が認められ、7日目の時点で角膜混濁と虹彩炎は回復したが結膜発赤と結膜浮腫は残っており、また、MMAS(Modified Maximum Average Score)は68.7であった(ECETOC TR48(1998))。このMMAS値はAOI(急性眼刺激指数)30-80に相当し、7日目の時点で結膜の発赤と浮腫が残っていたことから、区分2A とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | 2つのモルモットMaximization testでいずれも陰性(SIDS(1997))、さらにヒトのrepeated insult patch testでも皮膚感作性なし(SIDS(1997))との結果に基づき、区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | マウスおよびラットに腹腔内投与による骨髄細胞を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陰性結果(SIDS(1997)、CICAD 10(1998))が得られおり、ヒト疫学調査でも小核・姉妹染色分体交換の増加が認められていない(ATSDR(1998))。これらの結果に基づき区分外とした。なお、Ames試験(SIDS(1997))、ヒトリンパ細胞を用いる染色体異常試験(ECETOC 95(2005))、CHO細胞を用いる染色体試験および遺伝子突然変異試験(SIDS(1997))、CHL細胞を用いる遺伝子突然変異試験(ATSDR(1998))で陰性の結果が得られている。 |
6 | 発がん性 | 区分外 | - | - | - | - | IARCでは3(IARC 88(2006))、ACGIHではA3(ACGIH(7th, 2003))、EPAではC(IRIS(1999))とそれぞれ分類されているが、機関により区分が異なる。ガイダンスに則って評価年度が最新のIARCによる分類3に従い区分外とした。なお、ラットおよびマウスを用いた2年間の吸入曝露試験において、雌では前胃扁平細胞乳頭腫、雄では肝血管肉腫の発生頻度の有意な増加が報告されている(NTP 484(2000))。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
妊娠中のラットおよびウサギの主として器官形成期に曝露した試験において、着床数の減少、吸収胚の増加など発生に対する悪影響が認められ、同時に母動物において体重増加抑制、臓器重量の変化、血液パラメータの変化など一般毒性の発現も記述されている(SIDS(1997))ので区分2とした。なお、ヒトの疫学調査で口唇裂発生のリスクに言及されているが、本物質との関連性は確かではない(PATTY(5th, 2001))。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(中枢神経系、血液、腎臓、肝臓)、区分3(気道刺激性) |
警告 危険 |
H370: 臓器の障害(中枢神経系、血液、腎臓、肝臓) H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
動物では赤血球への影響が特徴的である(SIDS (1997))が、ヒトではヘモグロビンや赤血球数の減少、ヘモグロビン尿など血液への影響のみならず、昏睡、眩暈、呼吸困難、代謝性アシドーシス、血尿、肝機能異常などの症状(SIDS (1997))と、時にはかなり重度で入院に至ったケース(SIDS (1997) 、PATTY (5th, 2001))の報告もある。これらのヒトの情報を総合して区分1(中枢神経系、血液、腎臓、肝臓)とした。一方、ヒト吸入試験(SIDS (1997))では「鼻および喉の刺激」、また別の症例報告(HSDB (2004))では「反復性の呼吸器への刺激および乾性咳」などの記述もあるので、区分3(気道刺激性)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(血液) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの雌雄を用いた90日間の吸入暴露試験において、用量77 ppmで赤血球数やヘモグロビンとヘマトクリット値の減少、また、平均赤血球ヘモグロビンの増加などの血液学的諸症状が観察された〔SIDS (1997)〕、また、別のラット雌雄を用いた14週間の吸入暴露試験において、125 ppmまたはそれ以上の用量で雄ラット、全群で雌ラットに再生(不良性)かつ正色素性貧血が認められた〔PATTY (5th, 2001)〕、以上の貧血を示す証拠に基づき、区分2(血液)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 | - | - | - | - | 魚類(シープスヘッドミノー)での96時間LC50 = 116mg/L(環境省リスク評価第6巻, 2008, 他)、甲殻類(ウシエビ属)での96時間LC50 = 130mg/L(環境省リスク評価第6巻, 2008, 他)であることから、区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急速分解性があり(BODによる分解度:96%(既存点検, 1976))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.83(PHYSPROP Database、2009))ことから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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