GHS分類結果 (過年度実施分類結果の再分類)

名称:4, 4'-チオビス(6-ターシャリ-ブチル-3-メチルフェノール)
CAS番号:96-69-5

結果:
物質ID: 21B3042
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値約5000 mg/kg(ACGIH(2001))、5000-7000 mg/kg(NTP TR435(1994))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 本物質を含むゴム手袋で接触性皮膚炎を起こした患者2人がパッチテストで陽性を示した(ACGIH(2001))との記載があるがこの1症例しかないためデータ不足により分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo試験のデータがないため分類できない。なお、Ames試験やCHO細胞を用いた染色体異常試験(in vitro変異原性試験)では陰性(厚生省報告(2006)),(ACGIH(2001))の報告がある。
6 発がん性 区分外 - - - - ACGIHによりA4に分類されている(ACGIH-TLV(2005))ことに基づき区分外とした。なお、ラットおよびマウスを用いた2年間混餌投与試験(NTP TR435(1994))において、両動物種とも発がん性を示す証拠は認められない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 妊娠マウスの器官形成期に経口投与により、母獣の死亡率、幼獣の生存率の減少に影響があったが、生存胎児数、同腹仔数、出生時体重、幼獣の体重増に影響はなかった(NTP TR435(1994))との記載はあるが、詳細が不明であり、データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ラットの経口による急性毒性試験で、LD50が5000〜7000 mg/kgであり、死亡に先行して重度の下痢が認められた(NTP TR435(1994))との記述のみで、データ不足で分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの28日間の強制経口投与による主な変化は60 mg/kg/day以上で腸管に, さらに250 mg/kg/day(90日補正:77.8 mg/kg/day)では肝臓にみられた(厚生省報告(2006))。また、ラットおよびマウスに13週または2年間混餌投与した4試験(NTP TR435(1994))では、主な変化としてALPやGOTの肝酵素上昇に加えクッパー細胞肥大、胆管増生、肝細胞壊死などの組織学的変化に見られた肝臓への影響、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリットの低値に見られた血液の変化、腎皮質尿細管上皮の色素沈着と変性、腸間膜リンパ節におけるマクロファージの大きさと数の増加が記載されている。これらの変化は主にガイダンス値範囲の上限を超えた高用量群での所見であり、中には腎臓の所見のように一部の試験でしか記述されていない。しかし、肝臓への影響に関しては、ラット28日間経口投与試験を含む5試験全てで観察され、かつ、ラット2年間混餌投与試験において2500 ppm(100〜120 mg/kg/day)でクッパー細胞肥大、細胞質空胞化、好塩基性混合型細胞巣の組織学的変化に加え血清GOTの著しい上昇、さらに1000 ppm(40-45 mg/kg/day)以上でのALPの上昇は、肝胆管系の障害を示すものであると記述されている(NTP TR435(1994))ので区分2(肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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