名称:フェノチアジン
CAS番号:92-84-2
物質ID: | 21B3049 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | 「可燃性」との情報(ICSC(J)(1998))があるが、規定試験法によるデータなし。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が470℃(IUCLID(2000))と70℃超である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に酸素、フッ素または塩素原子を含んでいない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値5000 mg/kg(ACGIH(2001))に基づき、JIS分類基準による区分外(国連GHSの区分5に該当)とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギのLD0値ca.9400 mg/kg(IUCLID(2000))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 | - | - | - | - | ラットでの200 mg/Lの1時間暴露(4時間暴露換算値:50 mg/L)で、毒性が発現しなかった(IUCLID, 2000)との記述に基づき、区分外とした。(飽和蒸気圧濃度以上で試験は実施され、粉塵またはミストと判断される。) |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
職業暴露により痛みと紅斑を伴う刺激性が認められた従業員に、1〜4週間以内に耐性ができたとの報告(ACGIH(2001))があり、ACGIHでは「Skin irr」に分類されていることにより区分2とした。なお、ウサギ、モルモットを用いた試験では刺激性なし(not irritating)及び軽度の刺激性(slightly irritating)の結果(IUCLID(2000))の結果がある。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた試験(OECD TG 405;GLP))で刺激性なし(not irritating)の結果(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。なお、当該物質はばく露時に直射日光にあたると光感作性を示し(ACGIH(2001))、また当該物質の取り扱い作業者の中で角膜炎が報告されている(ACGIH(2001))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | モルモットを用いた試験(Patch-test)で、2/5匹が僅かに感作され、さらに2/5匹が中程度に感作されたとの記述(IUCLID(2000))から陽性と判断されるが、List2のデータであり、推奨された試験法に基づく結果ではないため「分類できない」とした。なお、当該物質に暴露した作業者の光過敏症の症例報告があるが(ACGIH(2001))、光による感作であるため採用しなかった。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | 体細胞を用いた in vivo変異原試験として、ラットの経口投与による骨髄を用いた小核試験で陰性の結果(NTP DB(Access on 5. 2009))から、区分外とした。なお、in vitro変異原性試験では、Ames試験で陰性結果(NTP DB(Access on 5. 2009))がある。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | ラット雌を用い、膀胱腫瘍を誘発するN-[4-(5-nitro-2-furyl)-2-thiazolyl]formamide(FANFT)とともに混餌投与し、フェノチアジンがプロモーター作用を有するかどうかを検討した試験(IUCLID(2000))が行われているが、フェノチアジンの発がん性に関する直接の試験データはないので分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | 交配成立後にラット雌の妊娠期間中に混餌投与により、母動物の一般毒性が見られなかった用量で対照群と比べ胚吸収率の増加と胚生存率の減少が観察された(IUCLID(2000))が、この試験は1用量のみの試験であり、かつ有意な影響かどうかについて記述されていないのでデータ不足である。また、ラットおよびマウスの器官形成期に経口投与した試験では、ラットにおける体重増加抑制を除き、両動物種とも母動物の一般状態、催奇形性を含む仔の発生に関して試験物質の影響は認められず(IUCLID(2000))、発生毒性としてはデータが揃っているが、親動物の交配前からのばく露による性機能および生殖能に関してはデータがない。以上の理由により「分類できない」とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(肝臓、腎臓、血液、神経系、循環器系) 区分3(気道刺激性) |
危険 警告 |
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) H370: 臓器の障害(肝臓、腎臓、血液、神経系、循環器系) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトへの影響として、事故によるばく露で、溶血性貧血、肝毒性を起こしたとの記述があり(HSDB(2005))、経口ばく露により同じく肝毒性と溶血性貧血、その他に腹部痙攣、頻脈、腎臓への障害を起こす可能性がある(ACGIH (2001)との記述がある。また心停止を起こし死に至ったとの報告があり、低血圧、不整脈特に心室頻拍を起こし、中枢神経抑制、昏睡も起こすおそれがある(HSDB(2005))との記述により区分1(肝臓、腎臓、血液、循環器系、神経系)とした。また、皮膚の刺激に加え呼吸器への刺激性が示唆されており(HSDB(2005))、気道を刺激する(ICSC(J)(1998))との記述があるため区分3(気道刺激性)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(血液) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
イヌを用いた13週間混餌投与試験(IUCLID(2000))が実施され、2000 ppm(換算:約154 mg/kg/day)において本物質の溶血作用によるとされるヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数の減少があり、顕微鏡検査の結果は脾臓の髄外造血、脾臓、肝臓、腎臓、骨髄のヘモジデリン沈着、骨髄細胞と赤血球の変化または異常を示した。さらに500 ppm(換算値約39 mg/kg/day)でも軽度ながら肝臓と腎臓のヘモジデリン沈着と骨髄細胞の変化が観察されている。また、ラットに18日間混餌投与した試験の0.5%濃度(約250 mg/kg/day = 90日補正50 mg/kg/day)で末梢血破壊に伴った骨髄の変化、125日混餌投与した試験の0.3%(約150 mg/kg/day)以上では血中ヘモグロビン濃度の低下、骨髄で造血亢進の徴候が見られている。以上の結果より、イヌ13週間混餌投与試験の500 ppm(換算値約39 mg/kg/day)およびラット18日間混餌投与試験の0.5%(約250 mg/kg/day = 90日補正50 mg/kg/day)はいずれもガイダンス値範囲区分2に該当することから区分2(血液)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50 = 0.055 mg/L(環境省生態影響試験, 2004)であることから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存点検, 1983))ことから、区分1とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |