GHS分類結果 (過年度実施分類結果の再分類)

名称:プロピレングリコールモノメチルエーテル
CAS番号:107-98-2

結果:
物質ID: 21B3053
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点32℃(c.c.)(HSDB(2009))(23℃≦引火点≦60℃)および初留点が120℃のため区分3とした。なお、UNRTDGではUN3092でクラス3PGIIIに分類されている。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が270℃(ICSC(J)(1997))で70℃超である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内にフッ素および塩素を含んでいない。酸素を含むが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値:6100, 5200, >5000, 5900 mg/kg(SIDS(2001)、7350(ACGIH(2001)), 7510 mg/kg(DFGOT vol14(2000))より区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50値、13000および14100 mg/kg(SIDS(2001))に基づいて区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットのLC50値>6 mg/L/4h(>1626ppm)あるいは>24 mg/L/1h(>3252ppm/4h)((SIDS(2001))からは区分を特定できないが、マウス雄のLC50値:6038〜7559ppm/6h=7395〜9258ppm/4h(GLP準拠;(SIDS(2001))に基づき区分4とした。なお、試験濃度が飽和蒸気圧濃度16435ppm(60.6 mg/L)の90%より低いので、分類には, ガスの基準値(ppmV)を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギの皮膚に24時間適用したドレイズ試験において明らかな刺激性を認めず、極めて軽度の刺激で皮膚一次刺激指数2の結果(SIDS(2001)に基づきJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3に該当)とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギを用いた複数の試験でいずれも刺激性が低い、または軽度との結果(SIDS(2001))に基づき、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットを用いた皮膚感作性試験(modified Maguire test)で感作性なし(not sensitizing)の結果(SIDS(2001))が得られているが、OECDで承認された試験法でなく、陽性率など詳細も不明なため分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスに腹腔内投与による骨髄赤血球を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)での陰性結果(SIDS(2001))に基づき、区分外とした。なお、in vitro試験では、エームス試験、チャイニーズハムスターの細胞株(CHO、V79)を用いた遺伝子突然変異試験、染色体異常試験および小核試験のいずれも陰性(SIDS(2001))であった。
6 発がん性 区分外 - - - - ラットおよびマウスの雌雄に2年間吸入ばく露(OECD TG453:GLP)により、ばく露に関連する腫瘍発生頻度の増加は両動物種雌雄のいずれの組織においても認められなかった(SIDS(2001))ことから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - マウスに経口ばく露、ラットには吸入ばく露による2世代生殖試験(SIDS(2001))において、ラットの高用量(3000ppm)群でのみ発情周期延長、受胎率低下、仔の生存数・同腹仔数の低下などが認められたが、この所見については同用量で親動物に現れた鎮静症状の持続や対照群に比べ21%の体重減少などの著しい毒性に伴う影響として記述されているので、分類の根拠としなかった。その他の用量およびマウスの2世代試験では性機能および生殖能に対する悪影響は認められていない。一方、ラットおよびウサギの器官形成期に吸入ばく露した試験(SIDS(2001))、また、ラット、マウス、およびウサギの妊娠期間に経口ばく露した試験(SIDS(2001))では、一部の試験で骨化遅延を認めたのみで、催奇形性を含め仔の発生に対する悪影響は見出されなかった。以上の結果から、複数の動物種と複数のばく露経路による試験でいずれも生殖および発生に対する悪影響が示されなかったことから区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性試験における麻酔作用に関連する症状として、ラットの経口投与では傾眠、協調障害性歩行、運動失調(ECETOC95(2005))、吸入投与では横臥位、無反応、中枢神経抑制(SIDS(2001))、また、ウサギの経皮投与では軽度の脱力、嗜眠から深麻酔の状態まで程度の異なる麻酔兆候(ECETOC95(2005))がそれぞれ記載されている。これらの結果に基づき、区分3(麻酔作用)とした。なお、ヒト被験者を用いた試験(SIDS(2001)、DFGOT vol.14(2000))で鼻および咽喉への刺激性が報告されているが、試験物質が有する強い臭気の結果としてデータの歪曲の疑いが持たれているので採用しなかった。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分外 - - - - ラット、マウスおよびウサギに高濃度の吸入ばく露により一過性の中枢神経抑制、肝臓に軽度の組織学的変化などが認められている(SIDS(2001))が、13週間(6時間/日)吸入ばく露による各試験のNOELまたはNOAELは、ラットで300ppm(1.11 mg/L)および1000ppm(3.68 mg/L)、マウスで1000ppm(3.68 mg/L)、ウサギで1000ppm(3.68 mg/L)であった(SIDS(2001))。NOELがいずれもガイダンス値範囲を超えていることから、吸入経路では区分外に該当する。また、経口および経皮投与の場合も、ラットの35日間経口投与試験のNOELが919 mg/kg bw/day(90日換算:357 mg/kg bw/day)(SIDS(2001))、ウサギの90日間経皮投与試験のNOELが2mL/kg bw/day(1840 mg/kg bw/day)(SIDS(2001))といずれもガイダンス値範囲を超えており、区分外に該当する。以上より、吸入、経口および経皮の3経路とも区分外に該当していることから、モデルGHS分類として区分外とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 魚類(ニジマス)での96時間LC50>1000 mg/L(EU-RAR, 2006)、甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50>500 mg/L(SIDS, 2003, 他)、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)での96時間EC50>1000 mg/L(EU-RAR, 2006)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分外であり、難水溶性ではない(水溶解度=1000000 mg/L(PHYSPROP Database、2009))ことから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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