名称:アジ化ナトリウム
CAS番号:26628-22-8
物質ID: | 21B3070 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 区分外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関わる原子団(アジド基)を含むが、国連危険物輸送勧告ではクラス1に分類されていない。副分類でも該当しない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | 可燃性固体(ホンメル(1996))、not flammable(Weiss(2nd.1985))(HSFS(2008))、Not considered flammable unless heated above 300degC(HSDB(2009))(SITTIG(5th, 2008))と文献の記載が分かれるので分類できないとした。なお、UNRTDG(UN1687)ではクラス4.1(可燃性物質)には分類されていない。 |
8 | 自己反応性化学品 | タイプG | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関わる原子団(アジド基)を有するが国連分類はクラス6.1(毒物)であり、クラス4.1(可燃性物質)には分類されていないのでタイプGとした。なお、この物質は自動車衝突時の安全バッグを膨らませる推進剤に実用化されたことがある(ACGIH(2001))。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 常温では燃焼しない(PATTY(5th.2001))という情報により区分外とした。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水溶解度41.7g/100ml(17℃)(ICSC(J)(1997))により、水に対して安定と判断した。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素、またはハロゲンを含まない無機化合物である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 無機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。なお、アルミニウムを強く腐食する(HSDB(2009))という情報がある。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分2 | 危険 | H300: 飲み込むと生命に危険 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50 = 45 mg/kg(DFGOT vol.20(2003))から区分2とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分1 | 危険 | H310: 皮膚に接触すると生命に危険 |
P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。 P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギのLD50 = 20 mg/kg(ACGIH(2001))から区分1とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足で分類できない。なお、ラットLC50 = 37mg/m3(RTECS(2008))が報告されているが、ばく露時間が不明である。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギの皮膚に適用した試験の結果、適用4時間後に腐食性を示し、6匹中3匹が死亡したとの報告(DFGOT vol.20(2003))に基づき区分1とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
皮膚腐食性が区分1なので、眼も「区分1」とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | in vivo試験のデータがなく分類できない。なお、in vitro変異原性試験では、微生物復帰変異試験で陽性の結果(ACGIH(2001))、ヒトリンパ球またはチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いた染色体異常試験、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験ではいずれも陰性結果(DFGOT vol.20,(2003))であった。強い変異原性は微生物に特有のものとみなされている(DFGOT vol.20(2003))。 |
6 | 発がん性 | 区分外 | - | - | - | - | ACGIHによりA4に分類されている(ACGIH-TLV(2005))ので「区分外」とした。なお、ラットを用いた2年間経口投与による試験で、用量依存的な体重増加抑制と高用量群における生存率の低下が見られたが、発がん性の証拠は見出されていない(NTP TR389(1991))。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ハムスターの皮下に埋め込まれた浸透ミニポンプから妊娠7〜9日目にばく露した結果、2/15匹が死亡、早期吸収の有意な増加、脳ヘルニアの発生が認められている(DFGOT vol.20(2003))が、併せて、証拠文書として不十分なため出生前の毒性評価には使用できないと述べられている(DFGOT vol.20(2003))。かつ、投与方法も特殊であることから「分類できない」とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(心血管系、肺、中枢神経系、全身毒性) | 危険 | H370: 臓器の障害(心血管系、肺、中枢神経系、全身毒性) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
経口摂取による中毒事故で心臓の強い鼓動、気絶、心臓虚血を呈した5人の実験技術者の例(NTP TR.389(1991))、10〜20gを摂取後、精神状態の変化、顕著なアシドーシス、心律動異常、心拍数低下、低血圧を招き死亡した化学者の例(NTP TR.389(1991))、極めて少量摂取した場合でも頻脈、過換気、低血圧を示した実験技術者の例(HSDB(2009))などの症例報告がある一方、本物質の標的器官は心臓血管系であり、末梢血管の拡張を起こし血圧低下を招くと記述されている(DFGOT vol.20(2003))ことから、区分1(心血管系)とした。また、上述のヒトの事例ではさらに症状として、めまい、気絶、精神状態の変化、非心臓性の肺水腫、代謝性アシドーシスが見られ、また、本物質を数グラム摂取した自殺例(ACGIH(2001))の所見として、肺水腫と脳水腫の記載があることから区分1(肺、中枢神経系、全身毒性)とした。なお、動物試験では経口投与により、ラットで心拍数低下と全身痙攣(DFGOT vol.20(2003))、ウサギで血圧低下と心臓障害(PATTY(5th.2001))が記録されている。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(中枢神経系、心血管系) 区分2(肺) |
警告 危険 |
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肺) H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(中枢神経系、心血管系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの13週間反復経口ばく露試験の最高用量(20mg/kg/day)で臨床症状として嗜眠、努力呼吸、死亡、組織学的病変として大脳と視床に壊死が観察された(NTPTR389(1991))。さらに、2年間反復経口ばく露試験では最高用量(10mg/kg/day)で生存率の低下が見られ、この低下は試験物質ばく露に起因する脳の壊死と心血管虚脱が原因である述べられている(NTPTR389(1991))ことから、区分1(中枢神経系、心血管系)とした。また、上記のラット13週間経口ばく露試験の20mg/kg/dayでは、肺のうっ血、出血と水腫も観察されているので区分2(肺)とした。なお、イヌの反復経口ばく露試験(1〜10mg/kg/day)でも運動失調が見られ、大脳の組織形態学的変化が報告されている(HSDB(2009))が、ヒトのばく露に関しては重大な有害影響の発生を伝える報告は特に見当たらない。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)での96時間ErC50=348μg/L(AQUIRE, 2010)であることから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(直接測定(HPLC)による分解度:1%(既存点検, 2000))ことから、区分1とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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