GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

名称:3‐アミノ‐1H‐1, 2, 4‐トリアゾール (別名アミトロール)
CAS番号:61-82-5

結果:
物質ID: 21B3075
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - nonflammable(IUCLID(2000))
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点>225℃(IUCLID(2000))。これは70℃を超えるので区分外とした。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - nonflammable(IUCLID(2000))
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。なお、鋼、アルミニウムを侵す(ICSC(J)(1994))という情報がある。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50 = 25000 mg/kg(ACGIH(2001))および24600 mg/kg(EHC158(1994))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットLD50 =>2500 mg/kg(EHC158(1994))および、ウサギLD50 =>10000 mg/kg(EHC158(1994))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義により固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ラットLC50(4h)=>0.439 mg/Lの報告があるが(ACGIH(2001))、区分を特定できないので分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた2件の皮膚刺激性試験の結果、「高用量でのみ軽度の紅斑が認められたが48時間後には回復」および「非常に軽度の刺激性あり」と記述されている(EHC158(1994)、ACGIH(2001))。また、ヒトでは職業曝露により非常に軽度の皮膚炎、また24時間適用パッチテストにより6人中3人に軽度の刺激性が報告されている(EHC158(1994))。以上より、ヒトおよび動物とも報告されている刺激性は軽度あるいは非常に軽度との結果から、分類JISによる基準に基づき区分外(国連GHS分類基準の区分3に該当)とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギの試験で軽度刺激性と評価されている(EHC158(1994)、ACGIH(2001)、IUCLID(2000))。また、ほとんどが24時間以内に回復したとの記述(EHC158(1994))もあることから、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットのマキシマイゼーション試験(maximization test)では陽性結果(EHC158(1994),(DFGOT vol.18(2002))が得られており、また、接触皮膚炎を有する1人の除草剤散布者がパッチテストでアレルギー性接触皮膚炎を示唆する強い陽性反応を示した症例報告(DFGOT vol.18(2002))(EHC158(1994))がある。これらの事実に基づき、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスに経口投与による2件の優性致死試験(経世代変異原性試験)(EHC158(1994))、およびマウスに経口または腹腔内投与による骨髄細胞を用いた3件の小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)(IARC79(2001)、EHC158(1994))がいずれも陰性であることに基づき区分外とした。なお、In vitro試験では、頻繁に実施されたエームス試験を含む微生物を用いた突然変異試験では大半が陰性(IARC79(2001)、EHC158(1994))、ほ乳類の培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験ではマウスリンパ腫L5178Yで陰性(IARC79(2001))、シリアンハムスターの胚細胞では一部陽性(IARC79(2001))、また、チャイニーズハムスターのV79細胞およびヒトリンパ球を用いた染色体異常試験で陰性(IARC79(2001))、シリアンハムスターの胚細胞を用いた細胞形質転換試験では陽性(IARC79(2001)、EHC158(1994))などの結果が報告されている。
6 発がん性 区分外 - - - - 複数の機関で評価され区分が異なるが、最新のIARCによるgroup3の分類(2001年)に基づき区分外とした(IARC79(2001))。なお、ラットに長期の経口ばく露による試験で、腫瘍発生頻度の有意な増加が見られなかったとする報告(DFGOT vol.4(1992))とともに、甲状腺、肝臓、下垂体の腫瘍発生が増加したとの報告(DFGOT vol.4(1992)、IARC7(1974))もある。また、疫学調査でアミトロールのみにばく露された群で腫瘍発生が記録されているが、DFGOT vol.4(1992)の記載によると、IARCワーキンググループ(IARC7(1974))はこの調査の結果は決定的なものではないとしている(DFGOT vol.4(1992))。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの1世代ばく露により離乳後に児の死亡率増加(DFGOTvol.18(2002))、2世代ばく露により交配や生殖の指標の変化(JMPR926(1997))、また、器官形成期のばく露によりマウスで吸収胚の増加(DFGOTvol.18(2002))、胎児死亡の増加(JMPR 926(1997))、ウサギで流産の増加、胎児の無眼球症や小眼球症など形態的変化(JMPR 856(1997))が観察されている。これらの用量では親動物にも体重増加抑制や臓器重量の変化などの一般毒性が認められるので区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ラットに吸入ばく露(439mg/m3/4h)により毒性症状の発生は見られていない(ACGIH(2001))が、ヒトでは本物質を含む混合物の経口または吸入ばく露により肺、神経系への影響が報告されている(EHC158(1994、IARC79(2001))。主な原因として混在するチオシアン酸塩が示唆されている(IARC79(2001))が、本物質による可能性も否定されていないのでデータ不足のため分類できないとした。(EHC158(1994)、IARC79(2001))。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(甲状腺)、区分2(肝臓) 危険
警告
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(甲状腺)
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた反復経口投与試験において、0.5〜15 mg/kg(ばく露日数90日換算値)の用量で甲状腺の肥大、過形成および甲状腺腫の報告が複数ある(EHC158(1994)、IARC79(2001)、DFGOT vol.18(2002)、JMPR280(1974)、ACGIH(2001))。また、35 mg/kg(ばく露日数90日換算値)では肝細胞の空胞化、脂肪変性が認められている(EHC158(1994))。これらの事実に基づきガイダンス値を参照して区分1(甲状腺)、区分2(肝臓)とした。(上記のラット0.5 mg/kg/dayは10ppm飼料/11-13週間投与、15 mg/kg/dayは316ppm飼料/100日間投与、35 mg/kg/dayは1000ppm飼料/63日間投与の各試験から求めた。)
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50=1.54 mg/L(EHC158, 1994)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分2であり、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存点検, 1989))ことから、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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