名称:塩化ビニル
CAS番号:75-01-4
物質ID: | 21B3089 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義におけるガスである。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 区分1 | 危険 | H220: 極めて可燃性又は引火性の高いガス |
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P377: 漏洩ガス火災の場合:漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。 P381: 安全に対処できるならば着火源を除去すること。 P403: 換気の良い場所で保管すること。 |
ICSC(2000)による爆発限界下限値は3.6vol%であり、「区分1」に該当する。国連危険物輸送勧告では安定剤入りのものがクラス・区分2.1(国連番号1086)。 | |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 区分外 | - | - | - | - | 可燃性ガスに分類されている。 |
5 | 高圧ガス | 低圧液化ガス | 警告 | H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ | P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 | 臨界温度は151.5℃であり(HSDB(2005))、低圧液化ガスに該当する。 | |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義におけるガスである。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義におけるガスである。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義におけるガスである。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義におけるガスである。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義におけるガスである。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義におけるガスである。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義におけるガスである。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義におけるガスである。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義におけるガスである。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義におけるガスである。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値が>4000 mg/kg bw(SIDS(access on May. 2009))との報告に基づき、JIS分類基準で区分外(国連分類基準で区分5又は区分外)とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLC50値=152880ppm/2h(4時間換算値:108,102ppm)、200,000-250,000ppm/2h(4時間換算値:141,421-176,777ppm)(SIDS(access on May. 2009))、150,000ppm/2h(4時間換算値:106,066ppm)(NITE初期リスク評価書No.75(2005))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義によるガスである。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義によるガスである。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
塩化ビニルを誤って手に吹きかけて紅斑と2度の熱傷を負ったが、余病を発することなく回復したヒトの報告(EHC215(1999))に基づき区分2とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
マウスのin vivo小核試験(NITE初期リスク評価書(2005))、ヒト末梢血リンパ球染色体のモニタリング解析(ATSDR(2006))(以上全て体細胞in vivo変異原性試験)における陽性結果に基づき区分2とした。なお、マウスを用いた優性致死試験およびスポットテスト(in vivo経世代変異原性試験)では陰性(NITE有害性評価書No.75(2005))、in vivo遺伝毒性試験として姉妹染色分体交換試験とDNA損傷試験では陽性(NITE初期リスク評価書(2005))がそれぞれ報告されている。また、in vitro変異原性試験として、ラットの骨髄細胞およびチャイニーズハムスターのV79細胞を用いたin vitro染色体異常試験で陽性、Ames試験では、陰性と陽性の両方の結果が報告されている(NITE初期リスク評価書No.75(2005))。 | |
6 | 発がん性 | 区分1A | 危険 | H350: 発がんのおそれ |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
IARC(1987)でグループ1(IARC Suppl.7(1987))、ACGIH(2001)でA1(ACGIH-TLV(2005))、EPA(2000)でA(IRIS(2005))、NTP(2005)でK(NTP RoC(11th, 2005))、日本産業衛生学会で第1群(産衛学会勧告(2004))に分類されていることから、区分1Aとした。 なお、ラットに30〜52週間吸入または経口ばく露による、またマウスおよびハムスターに30〜52週間吸入ばく露による多くの試験が実施され、肝臓の血管肉腫、腎芽細胞腫、乳腺の線維肉腫、肺の腺腫、腺がんなど複数の器官における腫瘍の発生頻度の有意な増加が認められている(NITE初期リスク評価書No.75(2005)、IARC vol.19(1979))。一方、世界各国で実施されている疫学調査によれば、職業ばく露を受けた労働者で肝臓がんや血管肉腫の発生頻度の増加(NITE初期リスク評価書(2005))が明らかにされており、また、一部に脳及び中枢神経系のがん、肺がんの増加(NITE初期リスク評価書(2005))も報告されている。 | |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラット雄を11週間吸入ばく露後に1度だけ交配した結果、雄生殖能の低下を示す雌妊娠率の有意な低下(EHC215(1999))が見られ、また、妊娠1〜9日目に吸入ばく露したラットでは吸収胎児数が有意に増加(SIDS(access on May. 2009))したとの報告に基づき区分2とした。なお、ヒトでは本物質のばく露により男性の生殖機能障害が報告(NITE初期リスク評価書No.75(2005))され、また、先天異常に関する疫学調査によれば、ポリ塩化ビニル生産工場を有する3地域の奇形発生率が対照地域に比べ有意に高く、中枢神経系の奇形、兎唇、口蓋裂、内反足などが顕著であったと報告(SIDS(access on May. 2009))されているがHC215(1999)においてこれらのデータはヒトでの生殖毒性を確認するには不十分であるとしていることから分類に採用しなかった。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(中枢神経系)、区分3(麻酔作用) |
危険 警告 |
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) H370: 臓器の障害(中枢神経系) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトに8000または20000ppmを3分間吸入ばく露により、嘔気、めまい、頭痛の訴え(ACGIH(2001))があり、2.5%を3分間吸入ばく露によりめまいや見当識障害などの症状(EHC215(1999))が見られ、かつ日本の労災認定で塩化ビニルにばく露する作業に従事した労働者に発生した疾病の主なものでは、急性ばく露による障害では「めまい, 羞明, 嘔吐, 見当識障害等の自他覚症状を伴う中毒症状のほか, 急性の高濃度ばく露による中毒症状としては重症の不整脈, 虚脱, 意識喪失あるいは死亡に至った例」がある(昭51・7・29基発第556号)」。これにより区分1(中枢神経系)とした。また、ヒトで単回ばく露後の主な症状は麻酔作用であるとの記述(DFGOT vol.5(1993))があり、動物試験ではラット、マウス、モルモットおよびイヌに吸入ばく露した試験の所見において深い麻酔作用との記載(EHC215(1999))があるので区分3(麻酔作用)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(肝臓、神経系、血管、血液、呼吸器、精巣、骨) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓、神経系、血管、血液、呼吸器、精巣、骨) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
塩化ビニルの職業ばく露に伴う有害影響に関して、多数の報告がある(NITE初期リスク評価書(2005)、IARC vol.19(1979))。ばく露された労働者にみられた有害影響に基づき標的臓器を特定し分類を行うと、肝機能障害、肝臓腫大、肝脾腫大、肝線維症、門脈性高血圧症など(NITE初期リスク評価書(2005))から区分1(肝臓)、多発性神経病を含む神経障害、大脳と錐体外路性運動神経障害、神経衰弱やうつ症状など(NITE初期リスク評価書(2005))から区分1(神経系)、レイノー現象あるいはレイノー病の症状(2005)、IARC vol.19(1979))から区分1(血管)、血小板減少、貧血、白血球減少、脾腫(IARC vol.19(1979))から区分1(血液)、肺気腫による死亡増加、呼吸不全、肺線維症など(NITE初期リスク評価書(2005))から区分1(呼吸器)、四肢先端の骨端融解、骨障害(NITE初期リスク評価書(2005))から区分1(骨)とした。また動物試験ではラットを用いた3、6、12ヶ月の吸入ばく露試験で0.026 mg/L/6h(10ppm/6h)で精巣の精細管障害が用量に依存して認められ(NITE初期リスク評価書No.75(2005))、区分1のガイダンス値範囲の用量であることから区分1(精巣)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義におけるガスである。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 | - | - | - | - | 魚類(ゼブラフィッシュ)の96時間LC50 = 210 mg/L (SIDS, 2001)であることから、区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 信頼できる慢性毒性データが得られていない。 魚類(ゼブラフィッシュ)の96時間LC50 = 120 mg/L (SIDS, 2001)であり、難水溶性ではない(水溶解度=11000mg/L、PHYSPROP Database, 2009)ことから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし |
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