名称:塩化ベンジル
CAS番号:100-44-7
物質ID: | 21B3090 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分4 | - | 警告 | H227: 可燃性液体 |
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点がは67℃(密閉式)(ICSC(2004))で>60℃および≦93℃である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が585℃(ICSC(2004))で70℃を越えている。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素およびフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、水の存在下で多くの金属を侵す(ICSC(2004))との記載がある。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLD50値:440-1230 mg/kg(NITE初期リスク評価書No.122(2008))、1231 mg/kg(環境省リスク評価第3巻(2004))に基づき、区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | モルモットLDLo値:10mL/kg(11000 mg/kg)(環境省リスク評価第3巻(2004))に基づき区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分1 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLC50:0.74 mg/L/2h(4時間換算:0.52 mg/L=100ppmV)(環境省リスク評価第3巻(2004))、150ppmV/2h(4時間換算:106ppmV)(ACGIH(7th, 2001))に基づき、危険性の高い区分1とした。なお、飽和蒸気圧濃度(1618ppmV)の90%以下の濃度であるため、気体(ガス)の基準値に基づき分類した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギの24時間皮膚刺激性試験において、「重度の紅斑・浮腫に引き続く壊死」との記述(SIDS(1998))、またヒトへの健康影響にて「皮膚、眼、粘膜に対する刺激性が極めて強い」と報告されている(環境省リスク評価第3巻(2004))ことから区分1とした。なお、EU分類はXi;R37/38-41(EU-Annex I(2006))である。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
「本物質は眼に対して腐食性を示し、蒸気は眼、皮膚、気道を刺激する」(環境省リスク評価第4巻(2005))との記述があり、また、EU分類においてXi、R41であることから、区分1とした。なお、ウサギの試験では、「軽度(slight)の発赤と結膜浮腫および一過性の角膜混濁」(BUA188(1996))との報告がある。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | モルモットを用いた皮内感作試験で「感作性あり」(SIDS(1998))とする報告があるが、報告年度が1936年でデータが古く、試験法も推奨された方法ではなく、結果の詳細も不明なため「分類できない」とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | マウスの経口投与(NITE総合検索(2008)、IARC71(1999))、腹腔内投与(IARC71(1999))、皮下投与(NITE初期リスク評価書(2008))による小核試験(in vivo変異原性試験)がいずれも陰性であることに基づき、区分外とした。なお、in vitro変異原性試験として、Ames試験で陽性、CHO細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陽性の結果がある(NITE初期リスク評価書(2008))。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ACGIHでA3に分類されている(ACGIH(1996))ことに基づき、区分2とした。なお、2年間経口投与により、ラットでは唯一甲状腺C細胞腫瘍の発生頻度が雌で統計学的に有意に増加した(ACGIH(2001))が、マウスでは前胃の乳頭腫および癌腫の発生頻度の増加が雌雄で見られている(ACGIH(2001))。 また、EPA(1994)でB2(IRIS(2006))、IARCはα-塩素化トルエン及び塩化ベンゾイルの混合物に対して2Aに分類している(IARC71(1999))。 | |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットおよびウサギを用い器官形成期に経口投与した発生毒性試験において、両動物種とも仔の発生に対する悪影響は認められなかった(環境省リスク評価第4巻(2005))が、性機能および生殖能に及ぼす影響に関してはデータがなく分類できない。なお、ラットの妊娠期間中に経口投与した別の試験で胚死亡率の増加が報告されている(NITE初期リスク評価書No.122(2008))が、「試験の詳細が不明で信頼性を確認できない(NITE初期リスク評価書No.122(2008))」と記述されているので、分類の根拠としなかった。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(呼吸器、神経系) | 危険 | H370: 臓器の障害(呼吸器、神経系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質は粘膜に対する刺激性が極めて強く、蒸気は気道を刺激し、多量の摂取により肺水腫、四肢麻痺、意識喪失などを生じ、死亡することもあるとの記述(環境省リスク評価第3巻(2004))、また、10mg/m3の本物質に暴露された労働者に健康診断で無力症、自律神経失調症が認められたとの報告(環境省リスク評価第3巻(2004))があることから、区分1(呼吸器、神経系)とした。なお、動物試験においては、ラットに経口投与後の症状として自発運動低下と鎮静(NITE総合検索(2008))が記載され、ネコに吸入暴露により呼吸器への刺激症状及び麻痺、肺水腫が認められた(NITE初期リスク評価書No.122(2008))ことが報告されている。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(肝臓、神経系、呼吸器系)、区分2(心臓) |
危険 警告 |
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓、神経系、呼吸器系) H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(心臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
10mg/m3以上の濃度を定期的ばく露された労働者が脱力感、疲労感、頭痛、食欲不振、不眠を訴え、健康診断で血清ビリルビンの高値を伴う肝機能障害が明らかになり、さらに震戦のような神経症状も観察されていた(DFGOTvol.6(1994))。また、肝臓についてはマウスの26週間(週3回)経口投与試験で重度〜中等度の過形成が認められたとの報告(環境省リスク評価第4巻(2005))もある。以上の主にヒトでの情報に基づき基づき区分1(肝臓、神経系)とした。一方、マウスに3週間吸入ばく露により240mg/m3(90日補正:40mg/m3/6h)で重度の呼吸上皮及び嗅上皮傷害(環境省リスク評価第4巻(2005))、ラットに5週間吸入ばく露により530mg/m3(90日補正、206mg/m3/6h)で呼吸障害(環境省リスク評価第4巻(2005))、モルモットに5週間吸入ばく露により180mg/m3(90日補正、69mg/m3/6h)で慢性の肺水腫および出血(環境省リスク評価第4巻(2005))がそれぞれ認められ、発現用量がいずれもガイダンス値区分1に相当していることから、区分1(呼吸器系)とした。さらに、ラットの26週間経口ばく露により、62mg/kg/day(週3回)以上の雌で心筋の壊死が認められ、またラット雄37週間、雌27週間の経口ばく露試験で雌雄共に62mg/kg/day群で、心筋の過形成および限局性壊死の発生率の有意な増加(環境省リスク評価第4巻(2005))が認められたことから、区分2(心臓)とした。なお、ラットを用いた2年間(週3回)経口ばく露試験で、30mg/kg/day群の雄で甲状腺の変性が見られたが、同時に甲状腺腫瘍の発生頻度の増加が認められており、発がん性の項で採用しているため分類根拠としなかった。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(クルマエビ属)での96時間LC50 = 140μg/L(環境省リスク評価第4巻, 2005, 他)であることから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急速分解性があり(BODによる分解度:70.9%(既存点検, 1975))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=2.3(PHYSPROP Database、2009))ことから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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